第134回 駒田蒸留所へようこそ
何代も続くものづくりの工房に生まれていたら…と妄想することがあります。
慣わしという枠があり一見不自由だが、その中では自由だし、破って拡げる自由もある。
どうしてもと言われれば家業を継ぐこともやぶさかではないが、実は他に挑戦したいことがある。
青春期の気の迷いすら周囲の大人には見透かされ、やがて自分自身が町の空気に満たされていく。
大好きなドラマの最新作『京都人の密かな愉しみ Rougeー継承ー』が始まったのでつい(笑)。なにごとでも携わらない者には想像もできないご苦労があるに違いないのですが、それは都合よく横に置いておいて、「何世代にもわたって継がれた伝統の一部になること」に憧れます。
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とはいえ、継ぐ者の気持ちもいろいろ、継がせる側の気持ちもさまざまらしく…。
P.A.WORKSのオリジナル長編アニメーション映画『駒田蒸留所へようこそ』(2023)は、地方のウイスキー蒸留所を舞台にした仕事論と継承の物語です。
社長である父親が亡くなったことをきっかけに跡を継いだ駒田琉生(るい)。
彼女がブレンドした「わかば」がヒットし、クラフトウイスキー界隈で話題になりました。
いまは「独楽(こま)」という名ウイスキーを復活させようと、苦心しています。
そこへやってきたのは取材先の下調べすら満足にできていない全くやる気のないWEBライター君。
打ち込むものがある琉生を僻目で見ていたのですが、ひょんなことから距離を縮めていきます。
ストーリーは落ち着いていてとても良いですし、家業に愛着を持つ琉生の気持ち・気質が、抑えた演技でとてもよく伝わってきます。
ウイスキーの入ったグラスや瓶が何度も出てきて、この美しい琥珀色を楽しむ映画だともいえます。
京都は大山崎にあるウイスキー蒸留所を見学したことがありますが、ポットスチルっていうんですか、蒸留設備って美しいですね!
本作でも蒸留所の中がしっかり描かれていて大満足。
ブレンダーやクラフトウイスキーができるまでの過程に興味をそそられるお仕事アニメです。
リアル寄りの割合で描かれたキャラクターらが同じ顔に見えてしまうのが引っかかりますが、若者たちの「何者でもなさ」が滲み出ちゃっているーということでしょうか。
公開時に映画館で観ましたが、当時は別の話題作(『ゲ謎』)を取り上げました。いまでは多くの人たちにご覧になっていただけます。アマプラ他で配信中。

















































































