11月22日はカレー記念日

カレー記念日

落ちてゆく 枯葉のごとし 抜け毛かな

11月22日はカレー記念日

Jane

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

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50代、男のメガネは

織田作之助は東京に殺されたのか。

 

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織田作之助の小説は面白い。男と女の機微を描いているのに情に走らず、湿気ない。なのに、読み終えたときには、とても濃い人と人との立ち会ったような充実感がある。

 

昨年ドラマ化されて話題になった『夫婦善哉』にしても、いまの小説作法からするともったいないほどに出来事がスピーディーに羅列されていて、いちいち立ち止まらない。ここしばらく青空文庫で織田作之助の小説を読み返していて、改めてそのドラスティックな書きっぷりに驚いている。

 

そして、またいつもの、あの疑問が頭をもたげてくるのである。『夫婦善哉』のドラマ化の時にも感じたのだが、関西人である織田作之助が描いている小説世界は、関西以外ではどう受け入れられているのだろうか、という疑問だ。

 

確かに、大阪のお笑いが全国区となり、ゴールデンタイムのテレビ番組で関西弁を聞かないことのほうが少なくなっている昨今だが、ダウタウンの松本が嘆いていた通り、最後の最後、わかってもらえてない気がする、という気持ちがどこかにある。

 

その『わかってもらえていない気がする』と言っているものが本当にあるのかどうか、というところからわからないことだらけなのだが、どうしようもなく「関西なら言わずもがなのことを説明しないと伝わらない」のは事実だ。

 

そして、説明した時点でニュアンスの半分以上が失われていることもある。どんなに沖縄の文化がどれだけ好きでも、その根底にあるものは想像するしかない。だから、いくらTHE BOOMが『島唄』を歌っていても、なにか違和感を感じてしまう。どれだけちゃんと歌っても、よそ者として歌うしかない、という開き直りが彼らには感じられない違和感かもしれない。ライ・クーダーが沖縄で数ヵ月を過ごし、沖縄の音階で造り上げた『Going
Back to Okinawa』のほうが、よそ者感満載で好感が持てる。

 

話はそれたが、そんなことを考えていると、よく織田作之助が亡くなったとき、友人たちが『東京に殺された』と言ったという逸話があるが、それは違うという気がしてくる。織田作之助は東京に殺されたのではなく、大阪に殺されたのだ。大阪という色の濃い文化の中で培われたものが、東京で通じているように見えるのに、最終的には伝わっていないのではないか、という恐怖。それが織田作之助を怯えさせ、息の根を止めたのではないか。そんな風に思えてくる。

 

いま書いている話は、「そんなことはない、充分に伝わっている」とか「そんなことを言いだしたら、宮本輝の小説だって通じていないことになる」とか、いろんな自問自答がある。しかし、20年近く東京に住んでも、ときおり、ふと降りてくる疑問なので、そこにはきっと何かあるのだろうな、という気がする。もしかしたら、それが単なる大阪への郷愁であるおそれは充分にあるのだけれど。

 

 

 


植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、オフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京神楽坂で暮らしてます。 

★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。

 


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コメント、ありがとー!

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    つまみ

    uematsuさん、こんにちは。

    織田作之助の小説は読んだことがないのですが、おっしゃっていることのニュアンスはわかるような気がします。
    いや、ちゃんとわかってはいないのかもしれませんが、自分なりに勝手に解釈して納得したりしています。

    私は津村記久子さんの小説が好きなのですが、津村さんは関西の人で、小説の舞台もほとんど関西です。
    ですから、知らない地名や描写がふんだんに出てくるわけですが、それだけでうっすらアウェイな感覚を覚えます。
    どこそこから電車に乗ってどっかに行った、と書かれていても、距離感やその街のイメージが湧かない、そのことが良くも悪くもやけにミステリアスなのです。

    他の地方都市が舞台の小説にはあまり感じないのですが、なぜか大阪付近のそれには感じます。

    大阪の文化は、イメージだけではなく現実になにかのバリアに覆われているのかもしれません。
    それは防護壁にもなるけれど障壁にもなって、外部と頻繁に行き来していると、実はすっごい負荷がかかってるのでは?と思ったりして。

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    uematsu Post author

    つまみさん
    津村記久子さんの小説を読んだことがなかったので、今度読んでみます。
    これは、関西人である僕にもよくわからないのですが、
    ああ、伝わっていないかもしれない、と思う瞬間は確かにあって、
    でも逆に、こっちだって東京特有の言い回しや考え方を受け取れていない可能性だってある。

    で、そこをあんまり深く考え始めると、いや、それは東京と大阪の話ではなく、
    人と人に必ずある差異の話になるのではないか、というところに行き着きます。
    そして、さらに、いやいや、やっぱり地域による特性みたいなものはあるはずだ、なんて思い直します。

    最終的には、人は平等には生まれついていないし、人は絶対にわかり合えないものなのだから、
    と言うところに落ちつけて、一人納得しようとするのですが、
    それはそれで、また、なんというのか……ゴニョゴニョ。

    というわけで、とりあえず、津村記久子さんを読んでみるところから始めます(笑)。

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    カリーナ

    ども。カリーナです。
    植松さんにはメールでも書いたのにしつこくすみません。

    長崎に生まれて、京都・大阪でそれ以上の時間を過ごしています。

    関西弁とざっくり言っちゃっていいのかわからないのですが、
    この地域の言葉の豊饒さとものすごい洗練具合は、実は
    「くだけているように見せて、内面を見せない」ことに眼目が置かれ
    長い年月をかけて磨かれてきたように感じています。

    それを、一見、気さくに見える大阪のほうが
    京都の言葉以上に感じたりするのが
    自分でも不思議です。(ナニカアル)

    つまみさんのいう「バリア」は
    そんなところにも関係するんじゃないかなあーと思いました。
    一人ひとりの差異に結論づけられるのかもしれませんが、
    それよりこのあたりに踏みとどまっていろいろ話すの、面白いですよね。

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    uematsu Post author

    カリーナさん
    返信するのがすっかり遅くなりました。

    「くだけているように見せて、内面を見せない」ことに眼目が置かれている、

    というのは、ある意味あたっているかもしれませんね。
    個人的に東京での暮らしが長くなり、
    ある程度、東京の思考回路にも慣れてきた気がするのですが、
    東京は、特に男の場合は、「やせがまん」の文化だという気がします。
    仕事をしていても、白黒の決着がなかなかつかない。
    関西がいちがいに決断が早いとはいえないとは思いますが、
    それでも仕事については、「できるできない」「やるやらない」の決断は、
    早いという気がします。

    となると、内面を見せない、というのは、
    ニュアンスとしては、しっかりと本音で話すという大前提で、
    相手を傷つけないようにせめてオブラートに包もうという努力なのではないかと。
    そのあたりの言葉が豊かになり、
    逆に、他の地域から見るとわかりにくい、ということになるのかもしれませんね。

    言葉はエロか、悪口で豊かさがわかると僕は思っているのですが、
    大阪のケンカのときの言い回しで僕が、本当に怖いなあ、と思うのは、
    「なにしてくれてんねん!」という言い方です。

    「おまえ、なにしてんねん!」=「おまえ、なにしてんだ!」
    「妙なことしてるんとちゃうやろな!」=「妙なことしてんじゃねえだろうな!」
    「いてもたろか!」=「やってしまうぞ!」
    みたいに、だいたい、ケンカの時の言葉ってそのまま標準語にできるのですが、

    「おまえ、なにしてくれてんねん!」

    というのは、標準語に訳せない気がします。

    相手を威圧しながらも、相手がしたことを問いただし、
    しかも、「してくれている」という、
    普通の状況なら「〜してくれて、ありがとう」と続く文脈。
    優しく、丁寧に、しかも威圧する。
    こういう言い回しが、関西のケンカではわりによく登場します。

    長いわりにわかりにくくなってきたので、
    すべての誤解を怖れずに、このあたりで(汗

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