「最高の離婚」ファントーク
<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。
こちらからすべての対談をご覧いただけます♪ いよいよ最終回となりました。ゆっくりお読みください。
カリーナ:なるほどなあ。ポピュラーの話、聞いてみてよかった。私、しみじみ思うことがあるんですが、「偏見のなさを言葉で語ること」と「偏見をもたないこと」は別なんですよね。
私の義母は、言葉ではとても学歴重視だし、男性尊重だし、どうしようもなく昔の価値観の人なんです。でも実際に目の前にリアルな人物が現れると認めてしまうんですね。
私のように結婚しても演劇ばっかりして子どもを産まず、ふらふらしていた人間も何も言わず認めて不干渉だったし、
他の人に対してもそうなんです。彼女を見て「あ。人間ってつまりは目の前の人をどれだけ受け入れられるか」なんだなと思いました。
価値観が古いのは仕方がない。時代の制約もあるし、若いときの刷り込みもある。でも、それと偏見のの有無は別だと。
小関:前におっしゃっていた、「男の人が先ねー」と言うお義母さまですね。
カリーナ:そうなんです。
小関:価値観と実際に許容できるかどうかはまた別、確かにそうかもしれません。
カリーナ: 人間のそういった多面性というか、「凡庸に見えて深い」というところと、小関さんのおっしゃった「ポピュラーの力」は私のなかではつながるんです。目の前の人にどれだけ手を差し伸べられるか、という点で。
小関:ああ!! そうか!!
カリーナ:そうなんです!それで、わたし、そのツイートに、すごく刺激を受けたんです。
小関:私、自分が福島県出身だということもあると思うんですが、震災後、ほんとうにたくさんの創作を仕事にしている方たちの態度にがっかりしたんですよ…。いろんな考え、主張があるのはわかるけれど、そればっかりを作品に出すよりも、ちがうやり方があるんじゃないかと思って。だから、ポピュラーなもの、大衆的なものにすごく惹かれたんだと思います。作り手がどんな主張を持っているかわからないけど、それを横に置いておいてもらえる感じがよかった。
カリーナ:「横に置いてもらえる」ですか。それは、小関さんの当事者としての視点ですね。正しい主張にも、その表現者の「自分」が入っていてウザい的な?
小関:ですです。目の前にあるあまりにも大きな現実を、「自分の表現」のためにこねくりまわしてるのがいやだったんでしょうね。
カリーナ: ああ、それは鋭いというか、非常に納得します。「こねくりまわす」ですよね。それ、いらないんですよね。「こんなに考えている自分」を表現しても、その「自分」の部分がウザい。「最高の離婚」は、2013年ですから2年後の作品になりますが、小関さんの目に「こねくりまわしている」ようには見えなかったんですか。震災の日の東京からスタートしていますが。
小関: はい、とても誠実なドラマだと思いました。ちゃんと、わかっている方がつくってるんだなと思いました。
カリーナ: なるほど、そうなんですね。最後に※「ファーストキス」のようなキスをする。あの照れた関係に戻るところ、きれいでしたね。
※ガラガラの電車のなかで、光生は突然「あー!」と言い、その方向に気をとられた結夏にキスをするシーン。
小関:あの見送りにきたホームから電車に乗ってしまって、キスして、のくだりは、ロマンチックでしたねえ…!
カリーナ:ほんとに!ロマンチックでした。そして二人で歩いて帰る。あの会話を見て思ったんですが、二人は二人でいるときが一番、解放されているんですよね。喧嘩も盛大、楽しいことも盛大。「解放される」ってことを大事にしているところも好きです。
小関:そうですね。結夏が実家で見せる所在ない感じも、夜道を光生とふたりで歩いているときにはなくなっていましたね。
カリーナ:ほんとだあ。実家では、どこか所在なさげですね。結夏は、あの若い男の子といるときより、スペシャル(2014年2月に放送された)のお弁当屋さんといるときより、解放されて、自由で。解放されて自由でいられる関係のすばらしさを感じました。結夏さんってすぐ所在無くなるから(笑)。
小関:カリーナさん、何度かこの対談でおっしゃってますけど、結夏はすごく自己評価が低いですよね。とても魅力的で、かわいらしいし、優しい人なのに、自分なんてつまらない人間だと思ってる。
カリーナ: はい、今回見た中でも何度か「つまらない」「何もできない」と言っていたように思います。
小関:光生と一緒にいるときは、そんなことないんですよね。うむ、やはり、すごくいいカップルなんだな。
カリーナ: うんうん、ほんとです。彼女の中にパワーが宿りますよね。自分の言葉で明確に相手をズバっと否定している。これってすごいことです。
小関: 別に、光生を低く見ているわけじゃないんですよね。とてもフラットに接している。
カリーナ: そうなんです。彼女は、光生にダイレクトに子どもが欲しいって言いますが、その言葉もすごく積極的で堂々としている。光生の子なら、そんなふうに育てられるんでしょうね、かあちゃんとして、堂々と。でも、(スペシャルに登場する)お弁当屋さん(岡田義徳)とかじゃダメなんだなあ。何か、こう、不自由な「母親の檻」に入れられちゃう。繊細ですね、相性って。
小関:ああ〜。きっとそうですよ〜。お弁当屋さんだと、期待されているであろう「元気な肝っ玉かあちゃん」を演じてしまうんですよ。でも、それをやってると、本当は彼女自身が抱えている傷つきやすさを無視することになっちゃうから…。
カリーナ: そうそう!自己評価が低いままに!
小関:わーん、ぜったいダメ! そんなことしちゃ!!
カリーナ: ねえ!!ダメなんです!光生だって灯里といっしょにいると別の何か(解放されない彼氏役的な何か)をやっちゃってるし 笑
小関:そうだそうだ! うっすら期待されている「みつおくん」を演じてる!!
カリーナ: みつおくん(爆)
小関:なんか、あれですね。気負わなくていい、ふつう〜にしていられる人と一緒にいなくちゃ、人は壊れますね…。
カリーナ:ですね、ほんと。そしてあの二人がいっしょにいると衝突しているようで解放されているから、こっちも解放されているんですね。
小関:見ていて変な緊張感がないですもんね。
カリーナ: うんうん。抑圧がないんですよね!なんか、このドラマが好きな理由がわかったぞ(笑)。
小関:最後の対談回らしい、発見に満ちてますね今日(笑)。
カリーナ: ほんと!また「最後から二番目の恋」みたいに続編が作られたら、リアルタイムの対談をお願いします。本当にありがとうございました。
小関:はい、ぜひぜひ。
カリーナ: わたしはいつもツイートとかサイトとか熱心に見てますので(笑)。
小関:ふふふ、ありがとうございます!
小関祥子さんのプロフィール
福島県いわき市出身。女性向け、児童向けの実用ジャンルで
主に仕事をしているイラストレーター。映画好き、料理好き。
小関さんの詳細なプロフィールやお仕事はこちら→kittari-hattari
いまねえ
ファントーク、最終回なのですね。
このドラマ、放映時は存在は知っていましたが
ただそれだけ、という関心のなさのままに過ぎておりました。
こちらの対談もなあぁんとなく、お付き合い的な感じで(!失礼ですよね。。すみません)
読み始めたのですが、おおお。。。今、気持ちは、レンタル!と。
スペシャル版も放映されたけどそれもレンタルに入っているのかしら?
・・・ま。いいや、まずはレンタル屋さんに!
こちらの対談をきっかけとした私にとっては、このドラマは
予習後の鑑賞&鑑賞後の復習という特異な鑑賞方法になります。
55歳の当方、立ち位置の違いが浮き彫りになるかも知れません、
共有できるのか否か、・・・それもお楽しみということで。。
9回のトーク、ありがとうございました。
niko
本当に本当に、中身の濃いファントークでした。
楽しかったです、ありがとうございました。
改めて全回を読み返してみましたが、私の一番好きなところは結夏についてのあれこれです。
結夏の表面には出さない繊細なところとか、小さな女の子的なとか・・・わかっていたつもりでしたけれど
おふたりが対談のなかで的確に語ってくださったおかげで、ますます愛おしくなりました。
光生と結夏には幸せになってもらいたいです、思いっきり感情移入しまくりの大好きなドラマでした。
いつか叶うかも知れない、ドラマの続編とファントークの続編に期待しております。
koseki
>いまねえさん
コメント、ありがとうございます。
語るに足る豊かな土壌が実はあったドラマだと思いますので、
状況の変化、年齢の変化によって、感じることも変わってくるように思います。
ごらんになったら、またぜひ感想をお聞かせください。
>nikoさん
コメント、ありがとうございます。
あのドラマは、結夏の物語でもあったなあと改めて思いました。
自分を低く見積もりがちで、つい周りの期待に応えてしまう結夏ですが、
フラットな自分のままで向き合える光生という存在を知っているのだから
きっと大丈夫なのではないかなと思っています。(希望も含めて!)