お腹が空いていたからだと思うの : 揚げワンタンの甘酢あんかけ
基本、お腹はあんまり空かせちゃいけないと思っています。
デブの言い訳だと突っ込まれるのは承知の助。
「空腹感がくる前に追い打ちかけて食ってんじゃねぇぞ!」と、私だって毎日自分を罵倒してます。
もちろん、心身の健康のためには空腹である時間は大切です。
でもね、時に空腹が心をいじめることがある・・・ような気がするのですよ。
学生時代、私は寮で生活をしていました。
山形出身のEちゃんと広島出身のMちゃんが仲良くしてくれて、しょっちゅうお互いの部屋を行き来してはお喋りをしたものでした。
ある夜のこと、普通だったらとっくに帰ってきている時間になってもEちゃんが寮に帰ってこない。
何か用事があると聞いた記憶もない。
子供ではないから、どこで何をしようといいのだけど、なにぶん私たちは、ついこの間上京したはかりの山だし娘。
Mちゃんの部屋で2人、ちょっと不安を感じ始めたその時・・・
すごい勢いで扉が開き、すごい勢いで転がり込んできたEちゃんが、すごい勢いで床にしゃがみ込み、すごい勢いで泣き始めたではありませんか。
THE 号泣
(photo by Sam’s photograph)
その姿を呆然と眺めるMちゃんと私。
Eちゃんは、声を上げ、身を震わせててただただ泣き続けます。
とそこで、何を思ったかMちゃん、その日お母さんから送られてきた広島名物もみじ饅頭をEちゃんに差し出しました。
「食べる?」
いやいや、食べるわけないじゃん。号泣中だぞ。
えぐえぐとしゃくりあげながらEちゃん
「うん」
食べるのかーい?!
もみじまんじゅー!
またもやすごい勢いでもみじ饅頭を平らげたEちゃんは、しばらく呼吸を整えてから
きっ!と顔を上げて言いました。
「ごめんね。お腹が空いていたからだと思うの」
泣いた理由は、学校の人間関係だったような。
落ち着いてから話してくれたような気もするのですが、あまり記憶に残っていません。
ただ、まだ涙でドロドロの顔でEちゃんが言った
「ごめんね。お腹が空いていたからだと思うの」
が、私の心に深く鋭く突き刺さりました。
泣いたのには理由がある。
でも、もし空腹じゃなかったら、Eちゃんの感情はあそこまで大暴れはしなかったかもしれない。
だって本人が空腹のせいだと言うのだから。
だとしたら、強い空腹は人の心をいじめるのかもしれない。
そして逆に、食べることが、体だけではなくて心も助けてくれることがあるのかもしれない。
そういえば私も、入院中、苦しくて何も食べられない日々の後、やっと食パンを口にすることができた朝に泣いたものなぁ。
これで私の体と心は大丈夫、って思ったら涙がぽろぽろ出たもの。
そう考えると、今、九州で大変な思いをされている人たちに、
安心して笑いながらたくさん食べられる日が1日でも早く来るようにと祈らずにはいられません。
みんな、元気でいられるようにしっかり食べようよ!ということで、今日の料理は「揚げワンタンの甘酢あんかけ」です。
これは、ミカス家で長年作られてきたもの。簡単、安上がり、なのに美味しい。
揚げ物なのにこんなに食べちゃっていいのかよ、誰か止めてくれよ、的な悪魔の食べ物(笑)です。
『揚げワンタンの甘酢あんかけ』
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さぁ、もうすぐゴールデンウィーク。
オバフォーもちょっとお休みをいただきます。
たっぷりお休みになれる方は、ご家族やお友達と美味しいものをたくさん召し上がれ。
1人でのんびり過ごす方は、自分のために料理をしてみてはどうでしょう。
「GWも仕事だよ(泣)」という方は、いつもよりちょっと贅沢なランチを食べて頑張りましょ。
穏やかなGWになりますように。
ミカスでした。