四十路独女じじょうくみこの「崖っぷちほどいい天気」④ 〜その恋は待ったなしだから、出会ったら走れ。
先日、友人ハルミがつぶやいておりました。「ダンナが最近、妙な特訓をして困っているのよね」
サントリーの新ジャンル「グラン・ドライ」のCMをご存じでしょうか。(なんだっけ? という方はこちらをクリック)
舞台は、高層ビルのオフィス。大きな窓の前にたたずむのは、背中に男の生きざまがにじみ出るスーツ姿の渡辺謙もとい、ハリウッドスター、ケン・ワタナービ。そのケン・ワタナービが肩越しにふりむきながらニヒルに一言「……リアリィ?」
「これって日本人が発音できる最高級のリアリィだよねっ、キレッキレのリアリィ〜だよねっ。リアリィの最初はリじゃなくてウだよね、ゥリアリイ〜〜?」
つって会話の途中でいちいち背中を向けリアリィリアリィ言っているダンナもどうかと思いますが、そんな話を愉快そうに話しているハルミに涙が出ちゃう、だって女の子だもん、じじょうくみこです。
友人紹介ルートでの出会いを求めるあまり、とんだ大失敗をしたことは前回お話しましたが、友の友→友のダンナの友まで進んでもどうにもうまく事が運ばないので、ついには友の友のダンナの友というもはや知り合いってか他人?みたいなところまで進んできました。まあとりあえず網だけ張っとくかという気分でいたら、「いい人いるらしいって連絡きたよ」とまさかの朗報。
「55歳で広告代理店の男。けっこう遊んでるけど、いい?」
いいわけないやろがっ
これはきっと他力本願な私に神様が「自分で動けや」と告げているに違いありません。とりあえず婚活サイトでも登録してみるかと思った矢先に、今度はふるさとにいる姉から連絡がきました。
「知ってた? 母さん、最近モテキなんだよ♪」
リアリぃ〜〜?
田舎に暮らす母は、どこから見ても立派な高齢者。父はすでに他界しているので、独居老人ぶりもすっかり板についてきました。若かりし頃は巨乳母性あふれるたたずまいで、仕事も育児もバリバリこなすたくましい母でしたが、仕事を引退した頃から次第に病気がちになり、やがて腎臓をわずらうと家にひきこもりがちに。食事制限で身はやせ細り、里帰りするたびに(枯れっぷりハンパない…)と悲しくなるばかり。
ああ、この人がいなくなったら私は本当にひとりぼっちになるんだなあ…と心細くなっていたのに、まさかのモテキ宣言!
母は2年ほど前から人工透析を受けるため、近所のクリニックに週3回通院しているのですが、そのクリニックでは毎回同じメンバーの患者が一緒に治療を受けるシステムになっているそうな。2日に1回顔を合わせるわけですから、当然ながら患者同士は親しくなっていきます。ふさぎがちがった母も同じ悩みを持つ茶飲み友達できて、表情がすっかり明るくなってひと安心。
というところまではよかったのですが、人間というのは厄介なもので、男女が同じ場所にいると、さまざまな「関係」が生まれるもの。
そう。
恋
であります。
メンバーの1人である70オーバーのおじいさま、源さんが、何でもハイハイ話を聞いてくれる母をすっかり気に入ったというのです。源さんは妻に先立たれ、さびしい思いをしていたのでしょう。クリニックであからさまに母への好意を振りかざし、女同士でしゃべっているところを横入りしたり、母だけえこひいきをしたり、貢物を持ってきたりと、クリニック中に知れ渡るほどの猛烈アタックぶり。
そうなると、他の女性陣はいい気持ちがしないわけですわな。別にその源じいが好きじゃなくても、です。そのうちに源じいが母に近寄ると「ほらあ、じじょうさん、源さんからご指名よお〜〜〜〜」と女性陣にからかわれるように。
治療にいくはずが気づけばクリニックに行くのがストレス、というわけのわからない事態になり、とうとう母は源さんに「てか、あんたのこと好きじゃないし。迷惑」と言い放ったという話でありました。
それだけじゃありません。近所に住んでいるやもめ暮らしの徳さん75歳が、ひょんなことから母を気に入り、隙あらばプレゼントを持ってこようとしたり、食事に誘ってみたりと、すさまじいアピールぶり。
「嫌だって何度言っても来ちゃって困るのよ。私はもう男の人は、いいの」
って何その魔性っぷり? 母親がそんなモテ女だったとは知らなかったわ、てか女ざかりの娘より高齢者の母のほうがモテてるって思ったら死にたくなるわ?
そんなこんなで戦う前から全身ズタボロな心境になっていたのですが、後日「ねえ例のカレシとどうなったのお〜〜?」とからかい半分で母に尋ねてみたら
「ああ、源さんね、亡くなったよ」
じぇ〜〜〜〜(‘ jjjjj ’)
源さんはある日急に体調を崩し、あっけなくこの世を去っていたのでありました。「こんなことなら、もう少し優しくしてあげればよかったわねえ」と母は若干しょげていましたが(つっても発言が魔性)、それにしても老人の恋のなんというはかなさよ。源さんにとって母が最後の恋だったかと思うと、強引すぎた熱さがやけに切ない。
待ったなしだなあ、これからの恋は。
私もぼやぼやしちゃいられない! と決意を新たにして、まずは婚活サイトで活動開始。何人かの男性とやりとりを始めたところなのですが、
毎日2回、朝と夜に無言で私のページに足あとを残していく「タケさん 74歳」の熱視線が気になり始めた今日この頃です…。
By じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
*「崖っぷちほどいい天気」は毎週土曜日更新です。
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爽子
今回も渾身の更新ありがとうございました。
そうか、老人の恋って、本人の死によって、突然の最後が来る可能性が高いんですね。
いつまでも生きてるわけじゃないんだよなーーー。(感慨深
男の人はもういいの。。。とおっしゃるお母様の言葉もよくよくわかります。
実は、渡辺謙氏、はね駒に出てこられた瞬間から、わたくしの心の恋人(心の夫)なので、今回の記事は
最初からがっぷり食いついてしまいました。
彼との最初の出会いは、娘に授乳中で、おっぱい丸出しで横目で見たテレビでした。
ドキドキしたり、彼のもとへ走っていきたい衝動は、今後わたしに起こるのでしょうか。
起こる気がしないな・・・。
老人の恋は、体にいいような悪いような。。。なんかどちらともいえない感じですね。
でも、ただ命を長らえるだけが幸せかというとそうでもないかもな。。。
なんか煮え切らない独り言で、すみません。
じじょうさん、そうです、待ったなしです。
見る前に跳んでください。
祈ってます!!
花緒
初めてコメントします。
40代で結婚して4年目で、独身生活が長かったのでいつも親近感を持って読んでいます。
毎回とっても面白いです♪
今回のブログ、衝撃的でした!
お母さまのモテっぷりが、うらやましいような、モテる女も苦労があるんだと思ったり、複雑です。
じじょうくみこさんの婚活も応援しています!
横浜レイコ
好きでもない方からのアプローチは嬉しくないですねぇ・・。
しかし老いてなおモテ期が来るなんて・・素敵ですね。
くみこさんの婚活、目が離せません。見届けさせてください。
タケさんも気になる~~
じじょうくみ子 Post author
こんにちわ。今回みなさんコメントが熱いですね(^∇^)
>>爽子さま
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます!!
まさか「はね駒」とくるとは想像しておりませんでした(笑)
謙さん、本当にファンが多いんですねえー。
母の話を聞くと、人は年を取ると刹那に生きるのだなあーと実感しますよ。
明日会えるとは限りませんからね。
それだけに切ないし、厄介ですw
>>花緒さま
はじめまして、コメントありがとうございます!
なんと、40代で結婚されたのですか!
それはうらやましいっ。私も励みにがんばりますうー。
いやあ母のモテっぷりは45年生きてて初めて知りましたよ。
本人は本気で迷惑そうですが、
「なんなら紹介しようか?」と言われた時に
軽く舌打ちしたのは気づいてないと思います。
じじょうくみ子 Post author
>>横浜レイコさま
こんにちわ♩今週もいらっしゃいませー。
母は別として、老いてからの恋は楽しそうですよねえ。
もう少しゆっくり時間をかけてくれれば
母の気持ちも違った気がしますけど、そこは、ねええ( ̄▽ ̄)
タケさん、ヤバ目です(爆)
はしーば
一度目の結婚の際、結婚1年目にして夫との関係がどうにもこうにもうまくいかなくなり、悩みに悩んだ挙句、心理療法士の門を叩きました。
先生の「○○さん、50、60になってからの恋も素敵ですよ〜」の言葉で開眼。その時既に42歳。
今は結婚が三度目の夫と、二度目の結婚をして幸せです。
人はいくつになっても恋はできます。そのエネルギーさえあれば。
じじょうくみ子 Post author
>>はしーばさま
こんにちわ、コメントありがとうございます〜m(_ _)m
にににに二度目の結婚・・!ささささ三度目の結婚のダンナさま・・・・!!!!
すいません、めまいがして取り乱してしまいました失礼しました。
そうですね、恋はいつでもしていたいですねえ。
私もそこそこ恋はするんですけど、いかんせん連戦連敗でありまして(爆)
どうやったら恋をつかめるのか、極意を教えていただきたいですっ。
シャー
はしーばさんがおっしゃる通り、50でも60でも素敵な恋愛も結婚も可能だと思います(^_^)。私はサンフランシスコでサイコセラピーをしていますが、こちらは離婚が日常茶飯事で、(カップルセラピーは大繁盛です(^^;; )、結婚したら安泰ということがない反面、多くの人が、別居や離婚を機に、年齢にかかわらず、新しい出会いにオープンにのぞみます。清々しくも、心強くもあります。
くみこさんの婚活も、ワクワク楽しみです!
じじょうくみ子 Post author
>>シャーさま
こんにちわ、コメントありがとうございます〜(^_^)
確かにアメリカは離婚が多いですよね。
それがいいのかどうかはおいといて、出会いに対するガッツは見習いたいです!
思えば就職についても、スタンスが似ているかもですね。
いろんな方に応援されて、心強いやら気恥ずかしいやらですが
(若干プレッシャーもw)
ありがたいことでございます〜m(_ _)m
りこ
こんかい
りこ
私も、ガンバロー!!!って、気持ちになりました!ありがとうございます。
やっぱり、自分のことは、自分で!
私も、婚活ガンバロー!
じじょうくみ子 Post author
>>りこさま
いらっしゃいませ、いつもコメントありがとうございます〜m(_ _)m
自分のことは自分で!その言葉、私の心にも響きましたですっ。
婚活されているのですか? 同士ですね♪
合い言葉は「NO DANNA ,NO LIFE!」ですよ(^^)/
ジャスミン
始めまして
毎回歯切れの良い文章に、爽快感を感じています
お母様の恋話 良いですねぇ
私も高齢になったら「デイサービスとかで爺さん達にモテモテになって
取り合いになったら楽しそ~♪」と思っていたので
ますます、老後が楽しみになりました!
婚活頑張ってくださいね~
ちなみに私は40歳 バツイチ2児の母 内縁の旦那と暮らしています
結婚はしたくないけど、男がいないと生きていけられませ~ん
じじょうくみ子 Post author
>>ジャスミンさま
はじめまして、コメントありがとうございます〜m(_ _)m
ななな内縁の夫!うらやましいったらありゃしませんわっ。
この際ね、籍入れるかどうかとか吹っ飛びますね、
ええええもうなんだっていいですよ、タンナさえいれば(爆)
ある意味人間は後期高齢者になってからが本当の勝負かもしれませんよ(*^_^*)
老後を楽しみに生きてまいりましょう♪
いやいや私は老後の前にダンナですダンナ!
シャー
私も、45歳で、10年来のパートナーがいますが、結婚はしていません。彼にも二人の関係にもとても満足しています。
くみこさん、その通り!友人やクライアントを見てみると、(高齢者までいかなくても)一般に、2度目、3度目のカップルの方が、お互いの関係に対する意識や満足度が高いように感じます:)
じじょうくみ子 Post author
>>シャーさま
いやあ、みなさんすごいですねえ。。感服いたしました!
とりあえず二度三度といわず、まずは一度!をめざしたいと思います(笑)