おセンチな話 : 若竹煮
去年の事です。とても懐かしい人に会いました。
母方の伯母の近所に住む女性で、伯母とは家族ぐるみで親しくしてくれていた人です。
母を含む伯母の姉妹たちとも顔見知りで、私も子供の頃、伯母の家を訪ねた時に何度か顔を合わせたことがありました。それ以降は会う機会がなかったので、数十年ぶりの再会でした。
「ああ、ミカスちゃんね!」
私の顔を見るなり彼女は声を上げました。
そして、こちらが挨拶をするか否かという瞬間に私の手を握ってこう言いました。
「ちっとも変わってないわ」
変わってない?
いやいや、そんなわけがない。
私の記憶が確かなら、私たちが最後に会ったのは私が小学生だった頃。だとすれば、もう50年近くも会っていないのです。
「私、とっくのとうに50を超えているんですよ。ほら、シワも白髪も。別人でしょ?」と私が笑いながら言うと、彼女は「でも、ぱっと見た瞬間にあなただとわかったもの。変わってないわ」と私の顔を穏やかな表情で見つめながら言いました。
その後は、「あなたはこんな子だったわね」「その時あなたの伯母さんがこう言ったわね」と、あの頃の話がまるで泉が湧くようにさらさらとあふれ出しました。
56歳(当時)のおばさんを小学生の頃から変わらないと評することがとても可笑しくて、思い出話の正確さがうれしくて、終始楽しく話をしましたが、今思えば、50歳を優に超えた私の顔をまっすぐに見つめながら、その先に彼女は本当に子供の頃の私の顔を見ていたのかもしれません。私より年上の人たちが亡くなったり心身共に衰えたりしていく中で、彼女は子供の頃の私をしっかりと記憶してくれているごくわずかな人の中の一人なのです。
最近の私はしょっちゅうこんなことを嘆いているのですが、年を重ねることで手放さなければならない、見送らなければなければならないこと・もの・人のなんと多いことか。嘆いたところで詮無いこととはわかっていても、57歳のおばさんはほんの少しおセンチになってしまうのです。
今日ご紹介する1品は「若竹煮」です。筍の季節もそろそろ終わり。見送らなければなりません。もしまだお店で筍が売られているのを見かけたら、最後にこの正統派メニューを楽しんでみませんか。まぁ、筍は来年また会えるのですけどね。少しの間お別れでも、その季節がやってきたらまた会える。そんなものもあるのです。それを楽しみにおセンチを蹴散らして日々を暮らすのもまた一興ですね。
若竹煮
- 水煮にした筍を適当な大きさに切ります。
- ワカメはできれば生のものがいいですが、塩蔵でも構いません。しっかり洗って適当な長さに切り、塩蔵の場合は水に浸けて塩分を抜きます。
- 鍋に、だし汁、酒、砂糖、薄口醬油を入れて強めの中火にかけます。沸いてきたら火を弱め、1の筍を加えます。
- クッキングシートなどで落し蓋をして10分ほど煮ます。
- 鍋にワカメを加え、2~3分煮たら火を止めたら出来上がりです。ワカメは加熱し過ぎると食感がなくなってしまうので煮過ぎないように。
お知らせを2つ。
在宅デトックス5月回のお知らせ
日時: 5月30日(月) 11:00~ ※大体1時間半くらいです。
テーマ: 『介護のタイミング』
詳細とお申込みはこちらをご覧ください。
今月は昼の回です。
テーマは『介護のタイミング』。介護をしていると色々と決断しなければならない瞬間に出くわします。最近言動に変化が出てきたけれど、どんなタイミングで病院に連れていくべき?どんな状態になったら介護認定の申請をしたらいい?介護サービスの利用、施設への入所は? 1人で決断するのはとても重いけれど、みんなで話し合うと意見がまとまらないかも。介護に関わる人たちができるだけ納得して次のステップに進めるタイミングを見極めるためのヒントに話しましょう。(このテーマは来月・夜の回でも取り上げます)
過去に介護経験のある方、現在介護真っ最中の方、介護未経験だけど興味がある方、全て大歓迎です。夜に参加するのは難しいという方、ぜひご参加下さい。
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ミカスでした。
ぱろる
お写真から瑞々しさが伝わってきます。
呼ばれたーい!
食べたーい!
美味しそうです🎍
若竹煮、筍の新鮮さや旨味を一番シンプルに味わえる贅沢なお料理だなぁ,って思います。
食べ盛りがいる我が家では、できるだけ何度も楽しみたくてつい筍ご飯にしてしまうのですが(穂先の薄皮を箸でこそげて、できるだけ可食部分を増やして炊き込んでます。ちなみに写真の弁当箱は、「おかえりモネ」の川久保さんに心打たれて登米の木工品をポチったものです😅)
来年もまた、健やかに筍を味わえますように。
子ども時代のわたしを覚えていてくださる大人に出会うのも、どなたかのご葬儀の時になってしまうのがなんとも切ないですね。
喪服の同窓会とでもいうか。
忘れていた自分との出会い。
おセンチになりますとも。
私ももうすぐ57歳。同級生なのですね。
アメちゃん
ミカスさん。
その懐かしい方も、たくさん見送ったり手放したりした中で
自分のことを知ってくれてるミカスさんに会えて
とても嬉しかったんでしょうね。
私は、あちらに旅立って私の世界から居なくなった人に対してより
時間を戻せないこと、たとえば70代の母には二度と会えないことに
切なくなります。
詮ないことですけどねぇ(笑)
ミカス Post author
ぱろるさん
なんてお上品な筍ごはん!そして、なんて素敵なお弁当箱!
眺めのいい場所でぱろるさんと一緒に頬張りたいです。
変な言い方ですが、自分よりも大きな人がどんどんいなくなっていって
小さかった自分を知っている人がどんどんいなくなっていく。
年を重ねるというのはそういうことなんだと思うと、
ちょっと切ない気持ちになってしまいます。
喪服の同窓会というのもわかるなぁ。
同級生だったのですね、ぱろるさん。
これはちょっとうれしいです。
ミカス Post author
アメちゃんさん
あぁ、旅立ってしまった人との時間を戻すことができないと
改めて実感するのって本当に切ないですね。
私は最近、元気だった頃の母との時間を思い出しては、もう二度と戻ってこない時間に胸が詰まります。
大人の日々は詮無いことの連続ですね。
だからこそ、美味しいものを食べて、楽しく強くいきたいですね。
マンシイ
ミカスさん
こんにちは
昨年の春に腰のヘルニアを発症しパーソナルジムで肉体改造に挑戦と息巻いたものです
結論から…ジムは3回で休止
夏に持病が10年ぶりに再発し現在も通院中です
そしてヘルニアの原因はというと
飼猫(雄8キロ減量中)が私のお布団の上で寝て寝返りが出来ない状態が1年半続いたからだと思います
この子は保護猫で3年前に迎え入れました
持病も再発し1人でゆっくり寝たくなり一人暮らしで空いてる息子の部屋で寝始めてから
なんと調子がいいんです
太ももの裏を伸ばすストレッチを朝晩してるのも効いてると思いますが
あっちゃこっちゃ不具合が重なり57歳になり更年期から老年期に入ったなぁと感じております
パーソナルジム再開したらまたご連絡させて頂きます
お互いおいといしましょうね
ミカス Post author
マンシイさん
猫ちゃんを気遣って寝返りを打てない。ああ、私も同じです。不自然な姿勢のまま我慢してしまいますよね。
今は息子さんのお部屋で伸び伸びと寝ていらっしゃるんですね。猫ちゃんも別のお部屋なのでしょうか。
ヘルニアや持病の再発など色々と大変なご様子ですが、
朝晩のストレッチとのびのび睡眠で体をケアなさってくださいね。
同い年のマンシイさんの頑張りに思いを馳せながら、私ももう少し自分の体をケアしたいと思います。
1年後、お互いの好調を報告し合えたらいいですね。
ジム再開のお知らせもお待ちしています。