一石投じマン:筍と鶏もも肉の甘辛煮
4月から自治会の班長をすることになりました。
「もう年だから」と辞退される方もたまにいますが、基本的には持ち回りで担当するのでいつかは必ずお鉢が回ってくるわけです。
私が住んでいる町にはいくつかの自治会があって、その中にさらにいくつかの班があります。
私の自治会には13の班があって、13人の班長さんがいます。
先日、新しい班長さんたちが就任して初の月例班長会議が行われました。
会議と言っても、特別なイベントや議題が無い限り、毎月皆さんにお配りする町の広報誌を受け取ることぐらいしかやることは無いのですが。
とはいえ今月は初回ということもあり、班長がやる仕事の内容の確認や、新しい名簿に間違いがないかなどの確認があって、自治会長さんから「他に何かありませんか?無ければ…」と、そろそろお開きの空気が流れたところで一人の男性が「ひとつ…」と声を上げました。
見ると、明らかに他のおじさま方とは雰囲気が異なる、雑に言えば「しゅっとした」おじさまが挙手しています。年の頃なら60代後半から70代前半といったところでしょうか。
「雰囲気が異なる」「しゅっとした」と表現したのにはわけがあって、この会議、日曜日の夕方だったこともあって皆わりとリラックスした服装で参加していたのですが、その人だけがきちんとプレスされたシャツとジャケットを着ていたのです。
「会員の訃報の際には自治会から香典〇〇円とありますが、慶事の際には何も無いのでしょうか?もし無いのでしたら、それを規約として明示しておく方がいいのではないでしょうか」しゅっとしたおじさまが言いました。
そしてその場には何とも言えない空気が流れました。
おじさまが言う事は強ち間違いではありません。「それはおかしいと思います!」と真っ向から反対できるようなことではない。
ただ、これまでずっと、誰かが亡くなった時には香典を出すということになっている(その是非は別として)から「〇〇円」と明記されている。翻って言えば、慶事については何もしないから特に規約として明記されていない。そこにいたほとんどの人がそう考えたと思います。
私なんぞは「ああ、もう少しで終わるところだったのに。『相葉マナブ』見られそうだったのに。なんでここでそういうことを言い出すかなぁ」なんて虚空を見つめたりしたわけですが、しゅっとしたおじさまは「皆さん、どう思われます?」と、皆さんに問いかけ出しました。
結局、会長さんが「まぁ、慶事については今まで何もしていないので、規約に明記が無くても皆さん特に疑問に思わずにきたわけです。でも、これを機に少しずつ規約の文章を見直してもいいかもしれませんね」と言い、「追々」といういかにも大人っぽい曖昧な言葉でその場は治まりました。
さて帰りましょう、と皆がぱらぱらと席を立ち始めた時、しゅっとしたおじさんの言葉が耳に入りました。その日話題に上った育成会の廃品回収についてでした。
「廃品回収って月に1回やってるんですね。数か月に1回かと思っていました」
えっ?
育成会の廃品回収については、毎月開催日の2週間前に回覧板が回ってきます。つまり、しゅっとしたおじさまは回覧板を見ていないってこと?
自治会の規約云々を声高に語った人が自治会からのお知らせに目を通していないとは…と驚いた瞬間に思い出しました。このおじさま、先月開かれた前班長と新班長の引継ぎ会でも「なぜ今それを?」と思うようなことを言って流れを止めた人だ! やはりあの時もしゅっとした服装をしていたから印象に残ったんだ。
ああ…と思いました。
恐らく、このおじさまはただ一石を投じたいのだ。
なんとなく馴れ合いで平和に終わってしまいそう(とおじ様には見えている)な地域の集まりに、自分が一石を投じることで皆の目を覚ましてやろうぐらいに考えている一石投じマンなのだ。
「会議というのはそういうものではないのだよ」と皆に言いたくて、ではそれがどんなものなのかを皆に身をもって教えたい人なのだ。
そうなるとしゅっとした服装も合点がいく。もちろん常にしゅっとしているのかもしれないが、シャツにジャケットという自治会の集まりではセミフォーマルレベルの服装は、彼の考えや自意識をぐるぐるとかき混ぜて「はいっ!」と形にしたものなのだ。
これは興味深いぞ、と思いました。
この一石投じマンと田舎町ののんびりした住民たちとの間で、これからどんな石の投げ合いがあるのか。住民は投げられっぱなしになるのか、投げ返すのか。いや、もしかしたら一石投じマンVS他の住民という構図が崩れることもあるかもしれません。
とはいえそんな様子を見ながらも私は相変わらず「ああ、早く帰りたいなぁ。『相葉マナブ』予約録画するの忘れちゃったよ。ちぇっ!」なんてぼんやりと虚空を見つめるのだと思いますが。
春はこんなふうに新しいことが始まる季節。そして、私にとっては何と言っても筍の季節!
先日、今年初のたけのこを買いました。そして、『筍と鶏もも肉の甘辛煮』を作りました。今日はそれをご紹介。
筍と鶏もも肉の甘辛煮
- 筍は買ってきたらできるだけ早く茹でましょう。
数枚残して皮をむき、穂先を斜めにカットし、皮に縦に切れ目を入れます。 - 水をたっぷり入れた大きな鍋に、筍、米ぬか、鷹の爪を入れて強火にかけます。
沸騰したら弱火にして1時間ほど茹で(筍が浮いてしまう場合は落し蓋を)、茹で上がったらそのままゆで汁に浸かった状態で冷まします。
冷めた筍は水をはったタッパーなどに入れて冷蔵庫で保存します。 - 鶏もも肉は一口大にカットします。
- 深さのあるフライパンに油を引き、中火にかけて鶏もも肉を焼きます。
- 鶏肉の周りの色が変わったら筍を加えて炒めます。
- 砂糖、酒、醤油、水を加え、弱めの中火で蓋をして5分ほど煮込みます。
- 蓋を取って煮詰め、汁気がほぼなくなったら出来上がりです。
ちなみに私が住む自治会、班長の任期が2年間なんです。2年間、毎月28世帯分の広報誌やお知らせ書類を抱えて1軒1軒訪ねて回ります。体力を維持しなきゃ。
そうそう、Podcast『That’s Dance!』では配信108回を記念して、「あなたの煩悩お焚上げ祭り」を開催します。あなたの煩悩教えてください。詳しくはこちらから。
ミカスでした。
okosama
ミカスさん 班長さんご苦労様です!
今日のコメントは…
回覧板見てないんかーい
ワーイ筍だ!
え、2年なの?!
の3本です♪ ではまた〜\(^^)
ミカス Post author
okosamaさん
ありがとうございます。
来週もまたみて下さいねー!
ジャンケンポン!
いまねえ
ミカスさん、こんにちは。
出先でこの「一石投じマン」記事を読んで激しくうなずき帰宅したら直ぐコメントせねば!と思いました。我が家は今、3つの町内合同で運営する地域の公民館事務局長が終わってホッとしているところです。夫と二人三脚でなんとか乗り切りました。会合には夫に出てもらったのですがあるとき公民館に掲示板を設置したいという議案が出されました。話し合いの結果承認され、はいそれでは閉会、というところで「なんで掲示板が必要なんだ」と言い出した男性がいた、なんで質疑応答の時それを言わずに承認の決のあとに言い出すんだ?と憤慨して帰ってきたことがあります。聞くところによるとその男性はお隣の町内の人で難癖つけるので有名な人。それを知る人たちは「ああ、またあいつか。。」とうんざりしながらも黙って眺めていたと。言わせるだけ言わせておく作戦なんでしょうかね。そうしないと難癖に火がついて逆に面倒なことになるってことでしょうか。で時を見計らってもう少し年配の男性が「もう承認されたんだから」とおさめる。つまり本気でひっくり返す気はないんですよ。茶番劇です。本人は自己アピール自己マーキングができて満足なのかもしれないが付き合わされる方はたまりません。会合が苦手な夫はやっと終わった解放されると喜んだ直後、ちゃぶ台ひっくり返しを目の当たりにしたわけですから。そんな面倒くさい人、役員に選出しなければよいのに、と思うのですがそこの町内なりの理由があるんでしょうね。ほかにも町内会の行事に疎い人を突然怒鳴りつけて自分の優位性を誇示しようとする人、自分のミスなのに他人がミスしたようにミスリードする人、観察するには興味深いおじさん展覧会の場が自治会・町内会の世界ですね。でもミカスさんの目撃したおじさんのようなセミ・フォーマル姿の人は見ることがないんですよ。自意識を形に表現するくらいの技を見せる人がいたら観察も面白いかもしれない。。いや面白くはないか。
公民館事務局長は町内の区長からの依頼でしたのでもう受けることもないですが、我が家も2年後に組長が回ってきます。我が町内では1年任期ですが組長は約10年ごと、その上に班長というのがあって、それが約20年ごとに回ってきます。でも高齢化で役を回せないお宅が増えるともっと間隔が狭まります。我が家も次の班長の順は受けられるだろうがその次はないだろうな、と考えたりします。町内の役をこなすにも体力勝負、足腰動かないとできませんね。ミカスさんの地域は28軒ですか、多いですね。頑張ってください。
ミカス Post author
いまねえさん
ああ、旦那さんのお腹立ちよーくよかります。わかり過ぎて、駆け寄って握手したいくらいです。
どこの町内会にも大抵一人はいるのですね、一石投じマンもしくは自己マーキングマンが。
と、ここでふと考えました。なぜ、町内会で一石を投じたりマーキングしたがるのは男性が多いのでしょう?
会社勤めをしていた頃の諸々を引きずっているのでしょうか。
不思議です。
私も次に班長が回ってくる時はもはや引き受けることができないような年齢&体力になっているかもしれません。
とりあずは、2年間、28軒を回って歩く脚力を維持しなければ。うちの班、結構広くてちょっと厄介なんです。
Jane
「一石投じマン」のネーミング笑いました。せっかく気合いれてきた服、注目されずに終わったら手間のもととれない….。
ミカス Post author
Janeさん
注目されても、されなくても、あの服装があの人そのものなんでしょうね。他の服装はできないのだと思います。