慣れるわけがない : ニラ玉
父の介護認定レベルが要介護2から3になりました。
自宅に面談に来てくださった方が帰りがけに「もしかしたら状況が変わるかもしれません」と言っていた通り、ワンランクアップです。(ある意味ダウンのような気もしますが)
同じアルツハイマー型認知症でありながら、父と母のそれはまったく異なる出方をしています。
母は、とにかく物忘れでした。ちゃんと伝えたことでも数分後には「そんな話は聞いてない」「どうして私に秘密にするの?」と怒り出してしまう。
ところが父の場合、物忘れはさほどひどくはありません。デイサービスから帰って「かばんの中にお知らせの紙が入ってるから見てくれ」などとすらすら話す様子からは認知症のにの字も感じることはできません。でも、見当識障害がひどいのです。見当識障害とは、現在の年月や時刻、自分が今いる場所などを認識する能力に問題が生じることを言います。父は特に時刻に対する見当識が弱ってきていて、夜中に「おはよう」と起き出してきたり、夕食後に「どこからも連絡がこないんだ」と訳の分からないことを言い出すのでよくよく聞いてみるとデイサービスのお迎えを待っているのだと分かったり。
生活するための基本的なスキルが極端に落ちてきたのも父の認知症の特徴です。1人で着替えることができなくなりました。次はこれを着て、これを脱いで、と指示しないと上手く着替えられないし、指示をしても上手く着替えられないこともしばしば。
トイレの失敗も増えましたし、テレビのリモコンの使い方がわからなくなることも珍しくはなくなりました。
「お母さんを家で看ていたことがある分、お父さんの介護は慣れたものでしょ」と言われたことがあります。たしかに「こういう時はこうすればいいんだ」と、母の介護から学んだことはあります。それでも、介護に慣れるということはありません。
父と母のように、同じアルツハイマーでも症状が異なれば対応の仕方は全く違ってしまうし、何より、まるで少しずつ壊れていくような身内のケアをする辛さ、苛立ち、無力感、罪悪感に慣れることができる人なんてそうそういないと思うのだけど。
父の粗相で汚れたトイレを掃除しながら、「なんで私はこんなことをしなければならないの」と心の中で呪詛の言葉を唱えては泣くのを堪え、明日はやれるだろうかと弱気になって。
そんな毎日に、慣れるわけがない。
どんなことでも繰り返せば慣れるはず、なんて考え方は甘い甘い! それは料理も同じです。奇をてらわない、ごく平凡に思える料理の味や作り方を「慣れちゃったからつまらない」と簡単に片付けてしまうのは勿体ない。今日ご紹介するニラ玉もそんな料理です。簡単そうに思えますが、繊細な火加減で手早く仕上げなきゃ美味しくない。「作り慣れた」なんて一生言えないだろうと思える一品です。
ニラ玉
- ニラを5センチ幅に切ります。
- 卵をといて、軽く塩胡椒をします。
- 小さなボウルで、醤油、酒、砂糖、オイスターソース、水を混ぜ合わせておきます。
- フライパンにやや多めに油を引いて強めの中火にかけ、卵を加えます。
大きく混ぜ、7割くらい火が通ったら取り出しておきます。 - 卵を取り出したフライパンでニラを炒めます。油が足りないようだったら少し足してください。
さっと炒めたら(ニラに油がなじむくらい)、合わせ調味料と卵を加えて炒め合わせます。
ニラと卵、調味料がしっかり混ざり合ったら出来上がりです。
ニラを炒め過ぎない。これがポイントです!
カイゴデトックス、なかなか再始動できずごめんなさい。
日々私が苦悶しているように、「明日はやれるだろうか」と震えている人がたくさんいるかもしれないのにね。もう少し、私が落ち着くまでもう少し待ってください。
頑張ろうね。でも頑張り過ぎないようにしたいよね。
ミカスでした。
ぱろる
ミカスさん、おはようございます。
ニラ玉が上手に作れない女、参上!
自分の手順と比べて、ああ!なるほど〜🧐という気づきと、そのひとつひとつの丁寧な工程に、ささやかな矜持をみる思いです。
要介護5で施設に入った義母のアルツハイマー認知症の、要介護3-4の時のあらわれかたが、お父様と重なりました。生活のひとつひとつの動作が繋がらなくなっていくのは、時折見舞いお世話するだけの私にも衝撃で、それをご自身の暮らす場所で24時間…では、呪詛の言葉、唱えますとも!
カイゴ・デトックス、今はミカスさんが回す側じゃなくお客さんで、気が向いた時にこれるぐらいの感じで行けたらいいのにね。
題してカイゴ・デトックスバー。
ママは日替わり、みたいな。
私には経験値もなくて、できないけれど。
どうぞ今は少しでもエネルギー温存してくださいね。
私はオイスターソースを買いに行くところから始めます。
nemu
ミカスさんこんにちは。
ご無沙汰しています。
お父様の介護が、少しづつ大変になってきた感じですね。
記事を読んでいて、母の時のことを思い出しました。
認知症の介護は、本当に自分の神経をずりずりと削られていくような日々だと思います。
自分の日常がどんよりとくすんでしまうし。
周囲に協力してくれる姉妹がいてもやはり、一緒に暮らす自分がメインになってしまいますよね。
施設に入って貰えば、こちらの身体は楽になるけれど、でも常に付きまとう罪悪感。
なんか、ほんと、救いがないという感じですよね。。
ミカスさんの記事に、とても共感します。
でもどんな言葉をかけて良いのかがわからなくて。
ただ連載はずっと楽しみに読ませていただいています。
お料理も参考にさせてもらっています!
今日は年金の支給日だったのか、スーパー(例の)のATMは、すごい行列でした。
周囲を見回しても、本当に高齢の方が増えましたよね。
なんだか、まとまりのないコメントですみません!
saki
さっき、あさイチ見ました!!
びっくりしましたが、ミカスさんの記事が大好きなので、朝から嬉しい気持ちになりました。
ショートカットが綺麗なヘアカラーでお似合いですね。
Podcast、なんとなく敷居が高くて未視聴でしたが、聴いてみます!
ミカス Post author
ぱろるさん
ニラ玉ってシンプルなようでいて結構難しいですよね。いや、シンプルなものほど難しい。ごまかしがきかないです。
お義母さま、要介護5まで過ごされたのですね。
ご本人もご家族も頑張りましたね。
「生活のひとつひとつの動作がつながらなくなっていく」本当にその通りです。去年の今頃は普通に出来ていたことが少しずつ少しずつ出来なくなってきて、確実に変化していることを思い知るのはなかなか衝撃的です。
カイゴデトックスバー、いいですね!
毎回違う方がママになってその場を回して下さる。面白いアイディアです。デトックスもそろそろ再開せねばなぁ。
ところで、オイスターソース買いましたか?
ミカス Post author
nemuさん
お母さまのお世話、きっと大変だったのでしょうね。
「施設に入って貰えば、こちらの身体は楽になるけれど、でも常に付きまとう罪悪感」
本当にそれです。痛いほどわかります。
どんな言葉でもかけて下さい。介護に関することじゃなくても、記事の内容や料理に関することじゃくても、コメント欄を使ってどんどん話しかけて下さったらとてもうれしいです。
もちろん、記事を読んで下さるだけでもありがたい!
2月だというのに妙に暖かかったり、また寒さがぶり返す可能性があったり、体調を崩しがちな毎日ですが、
nemuさんもお体に気を付けてお過ごしくださいね。
ミカス Post author
sakiさん
見て下さったのですね。朝からお目汚し、申し訳ありませんでした。
Podcast、ぜひ聞いてください。That’s Dance!だけでなく、面白い番組がたくさんありますよ。お好みのキーワードで検索して見つけてみて下さい。