現代アートを見に行く。驚いた。
現代アートの作家さんの個展を見に行った。ところが、僕が曜日を間違えてしまい、クローズしていたのだ。という話を先週書いた。
作家というのは原口典之さんで、オイルプールという廃油を満たした作品で有名だ。東日暮里のギャラリーには、そのオイルプールも展示されているというので、いそいそ出かけたのだ。それなのに、曜日を間違えて僕は中に入れなかった。
でも、先週書いたように、ドアが開かないギャラリーの周りをグルグルまわりながら、僕はもしかしたら、中にオイルプールがあるとわかりながら、中に入れないという作品を感じ取ることが今回の展示の狙いなのだと言われているような気がして、それはそれで面白かった。
だからといって、そのままにしておくわけにもいかず、やっぱり僕は日を改めて出かけたのだ。今回は前日からしっかりとオープンしている曜日を確かめて、いまかいまかと待っていたのだ。
前回と同じように日差しの強い日だった。まだ6月だというのに、真夏のように日の光が肌を刺す。そんな中、慣れた足取りでギャラリーを目指す僕。そりゃそうだ、こないだ行ったばかりだもん。
ここをまっすぐ行って、あそこを曲がって、こっちへ折れれば、さあ、ギャラリーだ!さあ、オープン・ザ・ドアだ!
……あれ?しまっている。ドアが閉ざされている。前回と同じように、クローズしている。おかしい。スマホを取り出し、曜日を確認すると、ちゃんとオープンしているはずの曜日だ。おかしい。あれ、これはもしかすると。ほんとに、僕が想像したとおりの、外から想像するだけの展示なのか。そうなのか。僕の想像は、現代アートの最先端をいっているのか!と、思った瞬間、ドアが開いた。
そうか、ここは14時オープンなのか。僕は13時オープンだと思い込んでいた。なるほど。恥ずかしい。とても恥ずかしい。でも、恥ずかしい素振りも見せずに、僕は軽く会釈しながら中に入る。そして、えらく冷房の効いたギャラリーの中で、一人汗をかきかき、あのオイルプールを眺めながら、恥ずかしさのあまりかいている汗が引くのを待ち、また軽く会釈をしてギャラリーを後にするのだった。
うむ。現代アートは楽しいものだ。
植松さんのウェブサイトはこちらです。お問合せやご依頼は下記からどうぞ。
植松事務所
植松雅登(うえまつまさと): 1962年生。映画学校を卒業して映像業界で仕事をした後、なぜか広告業界へ。制作会社を経営しながら映画学校の講師などを経験。現在はフリーランスのコピーライター、クリエイティブディレクターとして、コピーライティング、ネーミングやブランディングの開発、映像制作などを行っています。