Posted on by サヴァラン
〈 いろんな言葉 〉 微差のさざなみ
老けたな、と感じた理由は、
髪がどうにも上手くいかなくなってきたときのこと。
コシと艶がなくなってきたのである。
慌てて、いろいろなトリートメントを買い込んだ。
ヘアスパにも行った。しかし、どうしてもぺったりとしてしまう。
そんなとき、仕事で出会ったヘアメイクの方に
「シャンプーの量を変えてみては?」とアドバイスされた。
「えっ、量?」
意外な指摘に驚いて聞き返した。
「多分、使いすぎなのだと思う。いまの量の三分の一にしてみてください」
その通りにしてみると、コシも艶も見事に戻った。
若かったとき、髪と肌は別々の存在だった。
それぞれ別々にケアをして、それでよかった。
けれどいまは髪と肌が密接に関係している。
肌がだめだと髪もしぼんで見えるし、
髪に艶がなければ肌もくすんで見える。
気がつかないほどの微妙な違い、気にも留めない小さな場所。
それらが大きな影響を及ぼす。
若い頃には取るに足らなかったことが、その一滴の「差」が、
大きな波紋となって広がる。
また反対に、微差に心を掛けることで、
きれいさはさざなみのように、そのひとの全身を包み込んでいく。
丁寧に、こまやかに自分を見ていくこと。そのことの大切さを改めて考えている。
光野桃 「あなたは欠けた月ではない」より~
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