Posted on by サヴァラン
愛という文字に、かなし、という訓がある。
つまり私は、『愛する』などと堂々たる言葉を語り、
『結婚』という宣言を発表するに見合うようなことは出来ないで、
そして今までそのままになっている。
愛という文字に、かなし、という訓がある。
私はこの訓みが好きなのだ。
愛している、とか、愛されてますか?などという言い方は好きでない。
今まで一度も口にしたことがない。
=中略=
ただ、わが心の愛しみ(かなしみ)に、
深い愛しみ をもっていたいと ねがう。
篠田桃紅『その日の墨』より ~