<今月の質問 回答(3)>母からわずかの株を相続。運用したほうがいいでしょうか。
プリ子さんの質問への回答が充実し、なんと3回目となりました。詳しい質問内容とにゃまの先生の回答1回めは、こちらから。2回目はこちらからご覧ください。今回は、ゆみるさんからのアドバイスを、(ゆみるさんといえば!)数々の切手といっしょにご紹介します。ゆみるさんも資産運用歴25年以上のベテランでした。
<一番手数料がかからないのはネット専業の証券会社>
ゆみる にゃまの先生の「卵運用」のニワトリのお肉と卵のたとえが素晴らしく腑に落ちて感動しています!プロがとても解りやすく説明して下さった後に、ただの素人が書くのはおこがましいのですが、私もにゃまの先生と同じく25年以上資産運用をしていること、そして株式を相続した経験があるという立場から少し書かせて下さい。

私もプリ子さんのように投資をしていないのによく知らない金融商品を相続してしまったら同じように戸惑ったと思います。そのうえ投資に興味がないのに営業をかけられたら落ち着かない気持ちになりますよね。本当にお疲れさまでした^^;
プリ子さんが書かれていた「現金化するのに手数料がかかって」の部分を拝見して、お母さまの年齢や営業の電話が掛かってくることから、証券会社の対面取引になっている可能性がありそうです。証券会社の対面取引だと証券会社の人を通して売買する事もできる設定なので、人件費の分余計に手数料が高くなります。売る場合はネット取引に変更した方が手数料は全然安くなりますし、面倒な営業もかからなくなります。
一番手数料がかからないのはネットだけで営業している証券会社です。ネットだけといっても何か問題が発生すれば多少待ち時間はかかりますがコールセンターもあります。ニュースになっていた証券口座のフィッシング詐欺も6月以降は対策もずいぶん進んで落ち着いてきました。

もしプリ子さんが私の従妹だとしたら、私からの意見は利益も出ていることだしそのまま持っていて、せっかくの機会だから現在再投資になっている配当金を受け取りに変更して、配当金の入る生活を一度体験してみては?と初めは書いていたのですが、にゃまの先生の素晴らしいアドバイスでプリ子さんもこのまま投信を継続されるようなので割愛しますね。
<狼狽売りしないためにケータイ(スマホ)を持たなかった>
少し前の新NISAが始まる時に何人かの知人や同僚に相談されたことがありました。その時はまず証券口座を作るように話しましたが、証券口座を作ったのは一人だけ。投資に興味を持ったとしても今まで投資をしていなかった人にとって、スタートである証券口座を開くこと自体かなりハードルが高いのです。
プリ子さんの場合は相続がきっかけとはいえすでに証券口座をお持ちだし、相続した投信で投資は始まっています。おそらく利益も出ているようなのでゼロから始めた人よりも相場が下がった時に精神的に楽だと思います。相続からのおそらく予想もしなかった投信なのでプリ子さんがコメントに書かれていたように、オマケ的ゆえに一歩引いて冷静に見られるのではないかという点と、投資したお金がいきなりマイナスになるより、含み益から減ることがクッションとなって精神的に楽なのではないかという点です。
私もまあまあ長い投資期間の中で何度も相場のショックに遭ってきて、評価額が半分位になったこともありました。にゃまの先生も書かれているように人の損を恐れる気持ちは非常に強力なので、初めのころはその損を恐れる気持ちから一部売却したこともあります。

さすが何度もそんな目に合うとショックの時に耐えることの大切さに気が付き、狼狽売りをしないための予防策の1つとして、私はケータイ(スマホ)を持ちませんでした。スマホがあったらどこからでも証券口座にアクセスして売却できてしまいますから。最終的には夫の病気がわかりスマホを持ちましたが。そのくらい損を恐れる気持ちはわかっていても強力なのです。

私は新NISAから初めて積み立て投資を始めましたが、個別株投資に比べて精神的にとっても楽でした。(積み立てていたことを忘れていたくらい!)老後のためにこれから始める方なら新NISAでの積み立て投資が税金の面からも精神的にもよいと思います。
<老後、貯金が減るのが怖い…。取り崩しの額を抑えられる>
私の両親の話になりますが、二人とも八十を超えているのに未だに貯金をしているようです。これも貯金が減るのが怖いことも理由の一つだと私は思っています(あとは亡くなるまで一体いついくら必要なのかが不明という点でしょうか)。

けれど投資から配当が入れば貯金を取り崩すにしてもその額はより少なく抑えられます。また自分が売却せずに寿命を迎えたとしても、プリ子さんのお母様や私の夫のように子どもや配偶者に相続させることが出来るのです。世代を超えたらどれほどニワトリは大きくなることでしょう、卵は増えるでしょうか。(ニワトリの例えがもう本当に気に入っちゃって^^)

そういえばプリ子さんの相談一回目のコメントの中で、お父様が施設で株を楽しんでいると拝見して、私の理想の老後の姿と一緒でお父様にシンパシーを感じました^^お母さまからの相続した投信がプリ子さんのこれからの人生のサポーターになることを祈っています。
★ゆみるさんのアドバイス、いかがでしたか?25年の経験から生まれる言葉は説得力がありますね!次回は、カリーナがほんの少しだけお邪魔し、そのあと、にゃまの先生に締めていただきます。まだまだ続くよーー!?笑 お楽しみに!
★第1回の「遺族年金の非課税について教えてください」の記事にいただいたゴンさんのコメント(ごくわずかな収入で非課税から課税世帯になったというお話)に、にゃまのさんが2回に分けて丁寧に答えてくださっています。こちらもぜひお読みください。
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★講師 ファイナンシャルプランナー 長野 郁子さんI
現代ビジネスでは記事を連載中。どれも面白いです。
【PROFILE】
1956年 静岡県生まれ。会社員、自営業を経て化粧品通販会社で経理・総務を担当し、取締役をつとめる。2008年に退社しFP資格の勉強始め、2010年 CFP®認定者と1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得。「お金塾.jp」を開設し、現在FPとして活動。ほぼ同時期に区立保育園の非常勤職員(保育補助)になり、2022年退職するまで11年間、0歳児と1歳児のお世話をした。今は区の子育て支援員(ファミリーサポート)をしている。また老後の楽しみとしてボードゲーム「オンリーワン同好会」の運営委員を夫婦してやっている。
著書に「老後の住まい:老後の自立は小さな家から」(Kindle版)がある。新刊出ました!年を取ったら狭い家: 66歳FPの老後住み替え体験記 (こちらから、記事の一部を読むことができます)新刊についてのカリーナの記事はこちらです。待望の紙の本が出ました!こちらからご購入いただけます。
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匿名やニックネームでもOK。
保険などの商品の売り込みは一切ありません。
知識豊富で信頼できるFPさんを探している方には全力でおすすめします。
プリ子
ゆみるさん、長年の実体験にもとづいた細やかな解説、ありがとうございます! 今回もうれしくて何度も読みました。そして絶妙な切手のチョイス!
ネットだけの証券会社、そんなのがあるんですね。銀行でもあるから当然か。しかし、手数料が違うとは想像もしていませんでした。
「狼狽売り」という言葉もはじめて知りました。それを防ぐためにケータイを持たないなんて…!!?? 理知的で、かつ情熱的。なんだろう、自分の知っている感覚にたとえると……?? と考えてみるのですが、どれも違うように感じます。たぶん、私のまったく知らない世界が広がっているんだ、とつくづく思いました。
「狼狽売り」という言葉を面白く感じたので、ネットにある証券用語集を読み始めてみたのですが、もう何がなんだか。日本語なんだけど意味がさっぱり分かりません(笑)。「赤三兵」とか。本当に知らない世界です。「青天井」も証券用語なんですね。(←「あ」しか読んでいない)
ゆみるさんは前回いただいたコメントで、お父様が株をやっているのを見ていた、と。薫陶を受けられたのですね。私は「お金のことは口にしないほうがいい」と言われて育ち(そのくせ、やつは株を買っていた)、今思うと本当に良くない教育だったと思います。
投資信託ならそれほど難易度高くなさそうですね。思いがけず出会った世界ですが、少しずつ仲良くなっていきたいと思います。