いつか、順番は回ってくる。これから先も。
こんにちは!カリーナです。
22年前にいまのマンションに越してきたとき、わたしは、37歳。夫は40歳、娘が2歳のときでした。
ウーバーイーツなどないときで引っ越し当日、出前をとろうとなりました。お隣に「すみません!このへんで出前とれますか」と聞くと、どっさりとチラシやカタログを渡してくださいました。もう、挨拶は済ませていたのかなあ。挨拶と兼ねて訪ねたのかなあ。記憶にありませんが、Yさんちのお父さんが「おいおい、出前の!持ってきて!」とお母さんに「がってん承知!」とばかり声をかけてくれたその様子が、「いい人」に違いないもので、ほっとしてうれしかったのを覚えています。
鍵を持たずに出た娘は、よくお隣で猫と遊んでいました。娘にとっては祖父母のようなご夫婦でしたが、昨年、そのお母さんが亡くなったとき、確か75歳だったと思うので、わたしと出会ったときは、50歳ちょっと。あああ。いまのわたしより若かったんだ。最近、そんなのばっかです。
そして先週の土曜日、にぎやかな音がするので玄関の小さな穴からのぞきました。お隣(とドアは向かい合わせ)の玄関が大きく開き、いま、まさにお母さんが小さな男の子の手を引いて上がっていこうとしているではありませんか。リフォームされたピカピカの家のなかに!
あ。あのときのわたしがいる。
そう思いました。
20数年前のあの日、Yさんちのお母さんも、こうしてドアの穴からのぞいていたかもしれないな。そして同じようなことを思ったかもしれないな。
若く、新しい人たちによって、新しい賑やかな暮らしが営まれようとしているリフォームによって上書きされた玄関。そこから広がるだろう室内。のぞくのをやめて戻りながら、Yさんたちが住んでいたころの家のなかをもう一度思い出します。
薄白く大きく育った縁日の金魚がじっとしていたテレビの隣の水槽、どんどん増えて困ると分けてくれるのに私は枯らしてしまう鉢植えの「青じそ」と「幸福の木(ガジュマル)」、気配はするが姿を見せない2代目の猫チビちゃん、目新しいものは一つもないけど、いつもきれいに片付いていた。食卓にはいつも100円シリーズのお菓子が備えてあったな。
別段、大事に思ってきたわけじゃないはずなのに、「ああ。わたし、娘のように可愛がってくれる人をまた亡くしたのだ!」と痛切に思いました。もう会えない。もうあの部屋で「いつ帰ろうかな」と思いつつ、話を合わせて笑いながらソックスのかかとをさすることもない。
お二人が目立たず堅実に、真面目に生きたこと。Yさんのお父さんは晩年、エプロンが似合っていたこと。お母さんは、亡くなるぎりぎりまで一人で生き抜いたこと。最後にスーパーの巻き寿司をくれたこと。振り返れば、立派だったこと。覚えておこう。
今度は、わたしが、「年輩の人」として迎える立場になりました。お二人を見習って、やっていきます。
今日は、プリ子さんの「日々是LOVE古着」が更新されています。「人間は古ぼけるのに、古着を着て大丈夫か問題」を真向から考える記事。オススメです!
今週土曜日のポッドキャストは、はらぷさんがゲスト。お暇な時間に聞いてみませんか。
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— That’s Dance! (@ThatsDance1) March 14, 2021
くろまめ
1か月前に母を亡くしました。最期の4か月、自宅での転倒を機に病院→施設→病院と過ごしコロナ禍の中面会もままならず一気に認知症も進み、お別れの時も間に合わず。一人娘の私にとって悔いの残る別れとなりました。大きな喪失感と別れの辛さ、59歳にもなって実はまだ精神的に頼っていたことに唖然としています。
今日、娘が3歳と1歳の孫娘を連れて帰省してきました。彼女たちは昔の私たちだし、私は昔の母です。こうして順番が来るのだなとちょうど感じたところでした。生前よりも今、母がそばにいるような気がします。順番が回ってきたと受け入れることが日常を取り戻すきっかけになれそうです。
saki
カリーナさんの風景描写は、いつも匂い立つような美しさですね。
その場に自分がいて、歪みや滲みも含んだフィルターを通して、世界を見つめられるような。
もう一つのブログで、病院帰りの夕焼けを描いた記事も印象的でした。
以前、30代の者としてコメントを残したのですが、私も早、39です。
下の双子が4月に入学し、12年ずっと幼児のいる生活が終わりまして。抱っこひものお母さんを見ると、なんとも言えない思いが溢れます。
巡り来るのですね、どんな順番も。
あまりコメントが残せないのですが、いつも、カリーナさんの言葉を楽しみにしています。
asa
遠くまで行って帰ってきたような心持ちになって茫然としました。
カリーナさんは本当にいい先輩です。
ちょっと先輩。
ありがとうございます。