雨上がり、「裸でベランダ」の人に会いました。
こんにちは、カリーナです。
日曜の早朝、大阪は激しい雨でした。いつもなら遅くとも6時までにスーの散歩に出るのですが、雷も近づいてきたのでごはんを先に食べて出かけることに。
ようやく午前8時。休日とはいえ、あちこちの家で人々が動き出し、朝の用事をしています。
公園でクンクンと匂いをかぐスーを待ちながら、その向こうにあるマンションの上階をボンヤリ見ていたら、ひとりの痩身かつ筋肉質のおじいさんがベランダでかいがいしく働いていました。ホウキとチリ取りを手に掃除し、鉢を動かし、洗面器のようなもので水をやっています。なにかがおかしい。
全裸でした。
全裸ですが露出狂的ではまったくありません。普通に服を着て立ち働いている感じで全裸。有能なビジネスマンがオフィスできびきび働いている感じ。ただし、全裸。ほとんど背中を向け前かがみになっていたので見えているのはお尻です。パンツさえ履いていれば、無問題。でも、そこにパンツはなし。ふんどしもなし。何もなし。
奥から、おばあさんの声が聞こえますが、何を言っているかはわかりません。
おじいさんは、機敏に立ち働きながら揺るぎない口調で強く言い返しています。ほとんど聞き取れないのですが、
「猿で結構!」
という言葉だけは聞こえました。
きっと中からおばあさんが、「やめてーーー!そんな恰好で出るなんて、あんた猿?」とか何とか言ったのでしょう(ごもっとも)。
おばあさんの元気そうな声だけは聞こえますが、外にはまったく出てこなかったので、もしかしたら口は達者だけど寝ていて起き上がれず、おじいさんは介護をしているのかもしれません。
おじいさんは、裸で暮らす誇り高き少数民族の一人のようであっけらかんと堂々としていました。体つきもやせ型で筋肉質。どこを隠すつもりもなく、まるで衣服を身に付けているよう。
解放感を覚えているのでしょうか。常識を覆す挑戦でしょうか。
しっかりしているように見えても、世の中的には明らかに奇行なので認知症なのかもしれません。
でも、あのまま家のなかでも颯爽と家事をし、背筋を伸ばして一汁三菜のごはんを食べ、宅配便だってかしこまって受け取っていそうでした。全裸で。
いつも全裸でベランダ掃除をしていたら、すでに有名人かもしれません。近所の人はどう受け止めているのだろうか。あの夫婦のやりとりは、隣近所の人には聞こえるでしょう。ベランダ全裸は、法的にはオーケーなのか。おばあさんは、あのおじいさんにほとほと手を焼いているのではないか。
いろんなことを考えたり、心配したりしましたが、一番、可能性が高いのは「誰も見ないだろう。マンションの4階だし、顔までは見えないだろう。誰とわかるわけでもなし。もし見えても、じいさんの裸だ。それがどうした?」という心持ちな気がします。
わたしも年を重ねるにつれて「どうせ、誰も見ていない」と思い、それをいいことに、ある種の手抜きと解放感に浸っていますが、その究極の形が「全裸でベランダ掃除」なのかも。気をつけなくちゃ、わたしも。加齢による個性化。いったい何が、どんな奇行につながるかわかりません。
でも、少しだけ、わたしも解放感を覚えたのは事実。雨上がりの青い空、照りつけはじめた太陽、知らない人ばかり住んでいるマンション4階の真ん中あたりのベランダと植木、そこに突如現れた老いた野生動物!まるでここが鬱蒼としたジャングルみたい!
オバフォーは今週もコツコツと更新します。時間のあるときに遊びに来てください。待ってまーす。