樹木希林を「美しい」というとき。
♥ 元祖「どうする?40代からのファッション&生き方」過去記事再掲 ♥
樹木希林さんを「美しい」「憧れる」という人は、
決して少なくないけれど、
「キレイね!」という単純な感じの言い方じゃなくて
一拍置いて、いろいろなことに考えをめぐらせて
しかる後に、「わたしはキレイだと思う。憧れている」と言う。
そんな感じの人が多いですね。
樹木希林さんの何が、
女性たちに一拍置かせ、考えをめぐらせるのかな。
着物のセンスがいい。
骨董のセンスもいい。
家がすばらしい。
・・・といった美意識の高さもあると思うし、
あの独特の語り口や人生観もあるだろうけど、
そのどれもがキラキラしない、
鈍色(にびいろ)の世界ってことも大きいよなあ。
ご自身の姿も、装いも、おおむね鈍色。
鈍色は、パッと見、婆さんの色だからね。
樹木希林さんを「美しい」というとき、
わたしは、同時に、
『婆さん』と呼ばれることを
いささかも恐れていないところがすごい。
という畏れに似た敬意を、
やっぱりいつも込めているような気がする。
そういう腰の据わった生き方を
「美しい」と思う心が自分にあるならば、
他人の美意識にも信を置いて
樹木希林さんのような道も歩めそうなものだけど、
やっぱり、「あ、そこの婆さん」と言われるのは恐ろしくて、
婆さんのタネを大切に育てるわけでなく、
アンチエイジングに心の炎を燃やすわけでなく、
ゆるゆると老いていく、わたしであることよ。
顔であれ、生き方であれ、
「美しさ」の評価は、
それを発見することのできる他人に
委ねられているわけだから、(だから発見されないこともある)
自分は、自分が納得のいくように生きるしかないわけだけどね。
他人の美意識を信じる。
他人の美意識を侮らない。
ということも大切なのかもね。
自分の思う「美」はきっと伝わる、的な。
「どうする?40代からのファッション&生き方」
2012.8.27 樹木希林を「美しい」というとき。 より~