2016年上半期 わたしのベスト本はこれです!
お暑うございます!
こちらではご無沙汰しております。スナック月亭のつまみです。
新「いどばた。」、毎回大盛況で嬉楽しいです。人が変わるとメニューも変わってとても新鮮ですね。
そんななか、今回はOBの権力を勝手に行使(ゴリ押し?)して「OV40関係者 半年ごとのベスト本」というテーマを引っさげて、久しぶりに登場させていただきました。
半年前も開催しましたが(⇒★)、今回もバラエティに富んだ個性的な物件が並んだと自負しております。参加者が多いため、紹介文は(ほぼ)コンパクトにまとめてもらいましたが、読みたい本ばかり。どれから読もうかとワクワクしています。
みなさんもよろしかったら、上半期に読んだお薦めの本、本にまつわるあれこれ、など、コメント欄でご参加くださいね。ワクワクを拡散、増殖しましょう。
※参加者(敬称略 ・五十音順)の名前のところをクリックすると、その人の連載記事の最新版、または最新記事をご覧いただけます。この機会に、あずみさんやYUKKEさんの記事を読み返すのも楽しいと思います。私は、おふたりの記事をまとめ読みしたおかげで、このところの視野狭窄症が少し解消された気分になりました。…世界は広いぞ!
協力してくださったみなさん、ありがとうございました。ではどうぞ!
□□あずみ□□□□□□□□□□□□
『新完全マスター読解 日本語能力試験』
職業病というか、どうしてもこういう本になりまして。
上級レベルは、著名な方々のエッセイや記事が掲載されてるし、読解の解説も
わかりやすいし、お気に入りのシリーズです。時々「なんじゃこの表現~」と
えらそうにぼやいています。
□□uematsu□□□□□□□□□□□□
『長流の畔』 宮本輝/著
流転の海 第八部であり、シリーズ完結直前の一巻。35年続いた宮本輝の自伝的大河小説が終わろうとしている。あんなにも慣れ親しんできた熊吾、房江、伸仁の世界があと1作で終わってしまう。様々な困難にぶつかってきた彼らの世界を再び不幸が襲う。そこにある希望の光は子供だけだ。
□□カリーナ□□□□□□□□□□□□
『ゴヤ』 堀田 善衛/著
古い本ですみません。徳島の大塚国際美術館で圧倒され、
スペイン絵画に興味をもつようになりました。
「ゴヤ」は4巻から成る大作ですが、
スペインという国もゴヤも堀田善衛も「トリプル面白い」です。
宮崎駿の作品に登場するゴート人のイメージは、
堀田のスペイン論に由来しているとか。知らんかったです。
□□権太□□□□□□□□□□□□
『のせ猫プレミアム』
仕事帰りのローソンで衝動買い。「のせ猫」初買いだけど何だこれ、だめだよ。だめだよ。猫好きにはたまらん一冊。表紙のキャベツもたまらないけど111ページのおかっぱキャベツが我が家のツボww。人間関係で疲れたときにぜひ!!!
□□桜子□□□□□□□□□□□□
『ねこ』 岩合光昭/著
文房具売場の一角に岩合さんコーナーが作られていて、ついつい手に取ってしまった本。ねこの写真集、初購入(文庫だけどね)。通勤バッグの中に入れてあって、残業で疲れて液晶画面なんか見たくない時にパラパラめくって和んでいます。自然体のねこが良いです。それにしてもマステまであってビックリでした。
□□爽子□□□□□□□□□□□□
『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』 ジェーン・スー/著
あたりまえですが、その通り!!
う~ん、それは、同意しかねる。
これって、もしかしたら、わたしのこと?
様々な反応をする自分がいます。
心の甲冑を脱いだり着たり、試着を繰り返し、食わず嫌いを塗りつぶすのが
いいのことですね。(ナオミとカナコの女社長)
私個人としては、断捨離やミニマリストのブログを眺めて憧れますが、
絶対しないと思うんです。(ちょっと絵に描いた餅みたいな)
人生って、中途半端、やりかけのままコト切れるのが普通なんだもの。
片田舎で、ひっそり暮らしていると、「そんなことになってるの?」というのもあって
面白かったです。
□□じじょうくみこ□□□□□□□□□□□□
『秘島図鑑』 清水浩史/著
シマ島に来て以来めったに本を読まなくなったので、ベスト本というか上半期オンリー本です(⌒-⌒; ) 新米島民としてはヨソの島のことも気になるわけで、あれこれ調べているうちにたどりついたのがこの「行けない島ガイドブック」。大半が上陸できない島なのですが、中には「地図にはあるのに実在しない島」とか「あると信じられた幻の島」なんていうのもあってゾクゾクします!
□□つまみ□□□□□□□□□□□□
『よこまち余話』 木内昇/著
私にとっての読書の醍醐味は、揺さぶられること、翻弄されること、です。読む前後で、自分の日常がそれまでと違って見えなきゃ読む価値はない!?
この小説はまさに醍醐味王でした。此岸と彼岸、過去と現実と未来…現実と非現実は存外に近くて、時に交錯し、共存しているかもしれないと思えるのって楽しい。せつないけど。
□□中島。□□□□□□□□□□□□
『神様のボート』 江國香織/著
私のベスト本は、江國香織の神様のボートです。
今年の東京挿画賞の課題図書なのですが、浮世離れしたイメージがムクムク湧いてきて、主役の母娘とともに、私もボートから未だに降りられません~!
□□はらぷ□□□□□□□□□□□□
『かなわない』 植本一子/著
2011年4月からはじまる日記です。震災、原発、育児、くたくただ。自由になりたい。2012年、2013年、日常は刻々と姿をかえていく。仕事。好きな人ができた。離婚がしたい。自由になりたい。私はなぜ苦しいのだろう。「私は放棄しない、何も放棄しない」。一気に読んでしまった。植本一子は伊藤野枝だ!と思ったら、栗原康本人がすでに言っていました。
□□プリ子□□□□□□□□□□□□
『日本会議の研究』菅野完/著
安部晋三は誰かに操られているんじゃないか? でも誰に? という私の問いに7割ぐらい答えてくれた本。
昔の雑誌など膨大な資料を丹念に読み解いて、隠された組織の連携を明らかにしていく過程は、図書館員として胸が熱くなります。
ラストに向けてのスパートはまるでエンタメ。へーへー、そうなんだー! と興奮して一気に読み終わりました。
そして残ったのは呆然とした気持ち。こんなことが理由で、こんなからくりで、憲法が変えられそうになっているなんて。リアル『20世紀少年』じゃん!
これが全てではないだろうけど、読んでよかったです。
□□まゆぽ□□□□□□□□□□□□
『アーサーとジョージ』 ジュリアン・バーンズ/著
まだ読み終わってないのですが、とにかく早く先が読みたくて読みたくて!
アーサー(S・ホームズの生みの親、コナン・ドイルです)が事務弁護士ジョージの
冤罪をはらすお話ですが、登場人物が実在なだけに、どこまでがほんとなの? と
思いつつ、濃厚な物語の世界にどっぷりはまり、登場人物と一緒にはらはらドキドキできる本です。あ〜ん、これからどうなるんだろう…。
欲張ってもう1冊挙げちゃいますと『愛のようだ』 長島有/著
心のやわらかいところにしみました。
□□ミカス□□□□□□□□□□□□
『弟の戦争』 ロバート・ウェストール/著
優し過ぎる故に、弱い者に同化してしまう少年と、彼を見守る兄。ある日少年は「自分はイラク軍の少年兵だ」と言い出す。
苦しい物語です。でも、つい片側からばかり物事を見てしまう堅い頭を強く殴られたような気持ちになります。これを児童文学とするイギリス、恐るべし。
□□Mikity□□□□□□□□□□□□
『大きな鳥にさらわれないよう』 川上弘美/著
ときははるか遠い未来。人類は存続を危ぶまれる程に数が減少していた。そこで考えられた最終手段とは人工知能によって監視された世界。人工知能に監視された世界を描いているのにどこか牧歌的で神話を読んでいるかのよう。一度読んだ後、すぐに読み返したくなった本でした。
□□YUKKE□□□□□□□□□□□□
『ポテト・ブック』 マーナ・デイヴィス/著
物心ついたティーンエイジャーの頃から、アメリカ文化がとても気になっていて、日本のお話よりも、サマンサやら、大草原のローラやら、アメリカの翻訳のバートンやら、アメカジ・ファッションやらを追いかけていましたね。たぶん埼玉県朝霞という米軍キャンプがある土地で育ったこともあると思うけど。でも長じて色々な国に暮らすうちに、アメリカの建国の歴史の浅さに物足りなくなってアメリカに対する興味からすっかり遠のいていたのです。ところが、この春に娘がアメリカ人男性と結婚しました。
おかげで、我が家には、ざぁ~と音とたててアメリカが押し寄せてきたのです。
古き良き(?)アメリカも、トランプが元気いっぱいのアメリカも一気にね。
そんなときには、必ず本読みのセンサーもそっちにアンテナが立っているらしく、復刻版のこの本を手にして、おもわず、The U.S.Aだなと苦笑したりもして。
この本の内容は言わずと知れたとにかくアメリカのジャガイモ料理のレシピやら、ジャイも遊びや、言い伝えや、「ジャガイモのすべて」なのですが、著者よりも、序文を書いたカポティよりも伊丹十三の翻訳というところがとにかく愉快です。洒脱と本の帯には書かれていますが、まさに名訳。
有名な映画監督さんの伊丹十三についてよく知っているわけじゃありませんが、料理が好きな事、家族を大事にして、子育てを楽しんだ父親像なんかは知っていたので、なるほどねぇと思いながらです。
まずは、よくもこんな面白い本を見つけたなと、これは食いしん坊ならではの視点なのでしょうね。監督は、どの料理も翻訳しながら、ご自身で作っていたそうで、実証されている本物があっての訳。まだ一つも作ってはいませんが、どれを試しても美味しくできるに違いないと思います。
英語は独学で突き進んだようですが、翻訳の単語には、レセピとか、パンケイクとか、アルミニウム・フォイルなんているカタカナ表現までが、素敵です。読みながらなのに、アメリカのキッチンにいてアメリカ人に料理やポテトのうんちくを聞いているようなアメリカーンな気分にさせてくれます。
挿絵は、もちろんイカシタものばかりで、当時の監督を大いに満足させたに違いない。
ところが、意外にも本の表紙のいかにもアメリカのキャンベルのコマーシャルに出てきそうなこの絵は日本人のイラストレーター矢吹申彦さんだったりするのね。
きっとニューヨークのインテリアをまねたカフェなんかに、置いておくにはピッタリの表紙。
娘は、大のポテト好きで、我が家ではずいぶん昔から「芋ねんちゃん」と呼ばれているのです。美味しいジャガイモ料理に出会うと、家族は決まって「Aちゃんが、きっと泣いてよろこぶ味だね。」というほど。
ちなみに婿のママにその話をしたら、わぉ、うちのMは、キャロットが大好きなのよ。こどもの時からキャロットケーキはもちろん、収穫したての人参さえかじらせていればご機嫌でというじゃありませんか。
ポテトガールとキャロットボーイ。きっと相性はいいのだろうなとアメリカン・カントリー・ライフの結婚になんとなくホッとしてもいるのです。だから来週の彼女の誕生日にはこの本を贈ってやることにしました。
□□れこ□□□□□□□□□□□□
『一生モノのジャズ名盤500』 後藤雅洋/著
ジャズ喫茶「いーぐる」のマスターが厳選した、名盤500枚がずらりと並んだ本(読み物じゃなくてメンゴ)。掲載順は年代や名前順ではなく、「聴いた感じ」でまとめてあるので、「このレコード好き?ならこれも気に入ると思うよ」と、店主から勧められるがままに聴いていくと、自分の世界が広がります。紹介文も簡潔でキレがよく、愛を感じます。
また半年後もお目にかかりたいと思います。お楽しみに!!
byつまみ
★藍原さんの立体イラストやキャラクタデザインはこちらから→ユキスタジオ
nao
シマ島の島、じゃなかった『秘島図鑑』が気になります。
息子が好きそうなので教えてあげました。
私の上半期ベストは
『その島のひとたちは、ひとの話を聞かない』(森川すいめい著、青土社) です。
森川すいめいさんは、池袋でホームレスの支援をしている精神科医なのですが
日本のあちこちにある「自殺希少地域」を旅して感じた事を書いた本です
生きやすさってどういうことかなというのが今までと違った視点で捉えられてる気がして
少し気が楽になりました。
アメちゃん
「日本会議の研究」、私も読みましたよー。
もっと背筋が凍るような黒く深い闇なのかと思ってたら
平成になってもいまだ捨てられない、オッサン(←あえてオッサンと言う)の古臭い幻想で??
ということに、拍子抜けでした。
プリ子さんがおっしゃるように、コレだけじゃないと思いますが
私も、こんなことで??な気持ちになりました。
私の今期ベストは、古い本ですけど
『プリズム オブ リラ』
という本です。
宇宙の成り立ちや、他の惑星に住んでいる星人と私たち地球人との関わりの話で
信憑性はまぁおいといて、
私たちのような生き物が住んで文明のある星は、地球だけじゃないやろなぁと感じてる私には
とっても楽しめました。
つまみ Post author
naoさん、こんばんは。
私も『秘島図鑑』が気になって、図書館に予約しました。
naoさんのベストもそそられます。
つい、決まりきった角度から物事を見てしまいます。
違った視点、大事ですよね~。
つまみ Post author
アメちゃんさん、こんばんは。
宇宙モノ、とんとご無沙汰です。
なんだか表紙からして、面白そうな本ですね。
私も、他にも知的生命体がいる星がないわけない、地球に起こるあんなことやこんなことはシードマスターによるものかも、と思ったりします。
今のところ、そこどまりなのですが(^^;)
爽子
こういういどばた。大好きです。
皆さんのおすすめ本を順番に読んでいこうかな?と思っています。
さっきじじょくみさんの「秘島図鑑」を図書館リクエストしてきました。
秘島を変換するときに「秘湯」がでてきて、なにか違う本になるなあ。。。と笑ってしまいました。
目のせいか、脳のせいか、読書のスピードがのろのろなので、しばらくかかりそうです。
朝ドラの原作本は、読んじゃった~~。
ここ数回、なんか先にわかってたい人になりました。
ぐずぐずと展開のない脚本だと、待ってられないの。。。年よりだから?
じじょうくみこ
わー秘湯…じゃなかったw 秘島図鑑に反応してもらえて嬉しい!
ちょうど夏休みの自由研究なんかに使えそうな本でしたね。
naoさんの息子さん、気に入ってくれるといいなあ♪
わたしは「その島のひとたちは、ひとの話を聞かない」を早速購入しました!
テーブルに置いていたらザビ男がじーっと表紙を見つめて
「……うちの島のことかと思った。すばらしいタイトルだね」と言っていましたが
内容がシマ島にもズバピタ! この1年うっすら感じていた謎がとけた気分!
早くも下半期のベスト本候補になりました。naoさんありがとうございますm(_ _)m
今の積ん読が解消されたら、同じく「タイトルが気になるつながり」で
川上弘美の「大きな鳥に…」を読んでみたいですー。
頭がいろいろ刺激されて、やっぱりこの企画は面白いなあ。
mikity
じじょうくみこさま
わーい。「大きな鳥にさらわれないよう」にご興味持って頂けて嬉しい!
この本は、今まで読んだことのない、不思議でファンタジックなお話であり、しかもベースはSFという斬新なスタイルになっております。人類の破滅と再生を描いているとでもいいましょうか。
川上弘美さんって方は実は理学部出身で、かつては高校の生物の先生もやっていた人だったといういうことを思い出させる本です。
装丁も素敵なので大好きです。
はらぷ
ミカスさんおすすめの「弟の戦争」、これこわい、これこわいですよね…。
どこかで、自分とはかんけいない、遠くの別世界で起こっていること、と思ってしまうずるい自分をひゅっと引き込んでくるような…。
がっつり湾岸戦争当時国であるイギリスで、このテーマを児童文学にして出版できるというのも、さすが懐が深いというか…まさにイギリスおそるべし。
おなじ作者の書いた「かかし」もこわいです。ウェストールまじこわい。