昔は美人
年々、テレビを見ることが少なくなっているミキティですが、録画して楽しみに見ている番組がいくつかあります。その中のひとつが、BSテレビ東京でやっている「飯尾和樹のずん喫茶」という番組です。首都圏の喫茶店(主に老舗)を飯尾さんが訪問して、店主の方と楽しくおしゃべりをするというたわいもない番組なのですが、これが実によいのです。初対面の人の懐にひょいと入ってしまえる、警戒感を抱かせない飯尾さんの人柄のなせる技かなと思います。
飯尾さんには老舗喫茶がよく似合う
先日、この番組で、とある老舗喫茶店を訪れた飯尾さん。店主は80代後半の女性Aさんです。Aさん、訪れた飯尾さんをあざやかな黄色のワンピースで出迎えます。ここで飯尾さん、ドアを開けた瞬間に「わあ~花の妖精がいます!」と言って空気を和ませます。さすが!うまい!
こちらが実際の映像(番組HPからお借りしました)
その後、写真をみながらAさんの半生をお聞きするのですが、飯尾さん「Aさん、お若いときはきれいだったんじゃないですか」と尋ねました。ここまではよくある会話です。テレビのリポーターなんかはお年寄りを前にするとよく「おばあちゃん、お若いときは美人だったんでしょう」とか「若いときはモテたでしょう」とか言いますよね。でも飯尾さんは、その後すぐにちょっと慌てたように、「あ、今もきれいですよ、今も、きれいなんですけど、若い頃はね、どうかな~と思って」とフォローを入れました。ああ、さすがだ、飯尾さんが人に好かれる理由がわかった気がしました。
私も数年前ちょうど50歳になったばかりのとき、習い事で週に1回ほど顔を合わせる年上の女性に「ミキティさん、学生時代はもてたでしょう~」と言われたことがありました。もちろん、褒めてくれたのですけど、実際には、微妙でしたね~。たしかに、うれしくなくはないのです。にまにましながら「そんなことないですよ~」と答えた記憶があります。でもじわじわと、ああ、私も過去を褒められる年になったのだなあとしんみりもしたのですよ。あ、実際、学生時代にもてた経験はないんですよ。もてるどころか地味な学生生活だったので、うれしい誤解をしてくれたのはありがたいことだし、[若いころ」じゃなくて「学生時代」にしてくれたところに気遣いを感じましたけどね。
自分が言われる立場になってみてわかりましたけど、人は過去を褒められてもうれしくないのです。
80代の女性に「今もきれいですよ」と言った飯尾さんは、そのへんの乙女心を分かってくれているのでしょう。
昔もきれいだったけど、今もきれいなのよ~
人は今を褒められたい。だって今も生きているから。なんでもいいんです。「声がきれいですね」でも「いつも元気ですね」でも、なんだっていいから今の状態を見て評価して欲しいのです。