リアルポケモンぞくぞく登場、そして暴れ出すわたしの未来。
みなさま、こんにちは。2016年も残すところ、あと4日となりました。みなさまにおかれましては大掃除に年賀状書き、正月じたくにと大忙しでしょうか、それとも今ごろ旅の空の下でしょうか。かくいうわたしはいまだに絶賛労働中。正月仕様のカマドスーパーをせわしなく走り回り、箱入りミカンのきれいなものと傷んだものを仕分けしながら「オレは腐ったミカンじゃねえ!」と心の中で叫ぶ、2016年ラストウィークくみこでございます。
くみこはミカンじゃありましぇ〜ん
今月は乗った船が海上で引き返しちゃったり風邪をこじらせちゃったりいろいろありまして、予定通りに更新できず失礼いたしました。一瞬「このままこっそり年越しちゃおうか」という誘惑に負けそうになりましたが、どうにも寝覚めが悪いので滑り込みリセーフいたします。
2016年に間に合いました
さて。
みなさまにとって2016年はどんな1年でしたでしょうか。わたしにとっての2016年は模索の1年、だったといえましょうか。6月、初めての結婚生活&離島暮らしがどうにかこうにか2年目に突入。「まずは観察、とにかく静観、中指立っても顔出すな」をモットーに1年やり過ごしてきたので、2年目は自分から動きながら行く道を探る「触手ちろちろイヤー」に狙いを定めました。
決してムチのようにビシーっと勢いよく触手を伸ばしたり、いきなり大通りに躍り出たりはいたしません。なにしろここは、どこにトラップがあるかわからない、ムラ社会という魔宮。しかもいまは、家族がいる身でございます。こっちはいけるかな、あのおいしそうな匂いはなんだろう、おっとあっちはトグロが見えるぞと、触手をちろちろと小刻みに動かしながら、おそるおそるまわりを探索してまわったのであります。
しかし。できるだけ息を殺しておとなーしく、そろーっとそろーっと動き回ったつもりだったのですが、まあいるわいるわ、角っこ角っこにポケモンが!
実際はモンスターのモの字もないですけどね(田舎の現実)
知り合いの紹介で会ったのは、島の地域おこしのリーダー的存在であるカミカワ氏でありました。マッチョなカラダに白シャツをまとい、ボトムスは常に迷彩パンツというベタすぎるルックス。少々荒っぽくて威圧感のあるモノ言いのアラフィフ男カミカワ氏は、周囲からひそかに 軍曹 と呼ばれておりました。
けろけろ
新しい試みをたて続けに実行する行動のひとではありましたが、いかんせん頭が固く強引なのが玉にキズ。島のためによいことをやっているはずなのに、どうにも敵が多すぎるロンリーサージャント様であります。
「文章を書けるひとが島にいなくて困っていたんだよ! ぜひNPOを手伝ってほしい! まあでもまずは顔合わせをして、メンバーに認められてからだな! なにしろ、みんな命はって活動しているからね!」
命…。
NPOのお手伝いで命って狙われるんでしたっけ…。
そしてもうひとり、島の地域おこしの中枢にいるのが若手議員カトケン氏でありました。大学教授にして島の議会で数少ない!?やる気にあふれるアラサー政治家。NPOをはじめ、さまざまな活動を率先して手がけるアクティブさが売りですが、いかんせん自分の言いたいことしか言わない。そしてひとの話を聞いてない。そんなに若いのに、こんなにやる気があるのに、なにがどうなってそんなに頑ななのか。
そしてなぜかイベントになると、決まって売店でコーヒーを淹れているのです。しかも煎っています。自ら豆を煎っています。なぜ煎るのか。なんのために煎るのか。おかげで、がんばっているのにどうにもから煎り気味なカトケンさんのことを、島民はひそかに 焙煎議員 と呼んでいるのでありました。
コーヒーと政治のマリアージュ
まあ島の中枢がそんな感じなわけですから、ふたりから頼まれたお手伝い先のNPOもこれまたフリーダムなかたばかり。
「アタシ、代表しかできないから」と初対面で豪気すぎる発言かまして度肝を抜きましたが、じつは組織の代表が何をするのかまったくわかっていなかった、ゆるふわリーダーつんこさん。
サブリーダーなのにぐいぐいリーダー感出してくる、美人ヨガインストラクターにして島の美魔女リンさん。
「それいいわね、アタシその仕事やるわ〜」とハイハイ手をあげるのに、当日きまってドタキャンしてくるモッちゃん先生。
「アタシ、15年島に住んでいるんですけど知り合いいないんですよお」と不思議キャラぶっこんでくる陶芸家サトコさん。
いつもはニコニコと愛想よく働いているのに、「あのひと人間のクズですよね♪」と爽やかな笑顔でどす黒い悪口を言いまくるやり手女子、キリちゃん。
シマ島のチャーリーズエンジェルズ的な?
おかしい。なぜ会うひと会うひと、キャラがこんなに濃ゆいのか。むしろ自分がおかしいのだろうかと、「普通」の概念がわからなくなってきたころには毎日がおそろしく忙しくなっておりました。イベントに会議に、寄り合いに次ぐ寄り合い。いわゆる「逃げ恥」的にいうところの労働の搾取ってやつですね、本当にこの島の方々は遠慮なくひとを使いたおしますね。
触手ちろちろ出してはみたが、行けども行けども現れるのは面倒くさそなポケモンばかり。もう進むのやめて帰ったほうがいいんでないかな、と思い始めたこの秋、わたしはふたりの女性と運命的な出会いをはたすことになったのです。
ひとりは、長らくアーティストとして音楽活動を続けていた流浪の島民タオちゃん。
ひとまわり年下の彼女とはこの秋、軍曹が企画したイベントで知り合いました。さらさらと流れるような黒髪とひとなつっこい笑顔、よく通る落ち着いた声が印象的なタオちゃんは、みんなのムードメーカー的な存在。それでいて、パワフルなのに不思議な静けさがあり、明るさの中に闇を感じる彼女の謎めいたたたずまいに、どんどん惹かれていく自分がおりました。
そしてもうひとりが、シマ島で電気店を営む同い年の女社長サキさん。
軍曹イベントの会場として使われたのが、サキさんがオーナーを務める宿でした。参加者を乗せたバスがトラブルで遅れに遅れ、ただひとり現地集合だったわたしは集合場所の宿でまちぼうけを食らい、はからずもサキさんとふたりっきりになったのです。笑うと目がなくなる、どこかおっとりした印象を与える愛くるしいこの女性が、じつはとんでもなく男前で、やり手のビジネスパーソンだということが、のちのち判明するのでありました。
タオちゃんとサキさん。ふたりのシマ島ネイティブとの出会いが、それまで浜辺をチンタラうろつくだけだったわたしの足をむんずとつかみ、離岸流のようにバビューンと外海に放り出すことになりそうです。シマ島にきたころに思い描いていた穏やかな日々とは、ずいぶん違う未来が待っていそうだなあ。まあでもしょせんは、崖っぷちを歩み続けてきた身でございます。穏やかな生活どころか、目の前にあるのはさらなる崖の上。そして困ったことに、どうやらわたし、そんな人生が嫌いじゃないみたいです。
来年はいよいよ島民3年生。なんだか面白いことが待っていそうな予感。
2017年。
じじょうくみこは、崖っぷちで暴れます!
落下注意
それではみなさま、今年もおつきあいくださり本当にありがとうございました。次回は1月21日(土)にお会いしましょう。それまで、いつもの崖のところでお待ちしています。
よいお年をお迎えくださいませ〜。
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text by じじょうくみこ
illustrated by カピバラ舎
*「崖のところで待ってます。」は毎月第3・5土曜日更新です。
爽子
じじょくみさ~~ん。こんにちは~。
濃いチャーリーズエンジェルズ、タオさん、サキさん。
ワクワクしっぱなしの新春です。
超多忙に磨きがかかって、おやすみ取れないでいませんか?
ダイジョウブ?
おもしろいねえ。
生きてみるもんやねえ。。。
ガンガン暴れてね。
でも崖から落ちないように、注意してね。
じじょうくみこ Post author
>>爽子さま
わーコメントのお返事遅すぎてごめんなさいー(°_°)
お気遣いありがとうございます。
おかげさまで、相変わらず寝不足の新年を迎えております(笑)
でも、ハイ、生きてみるもんですね(^ ^)
早くも崖ぎりぎりでやばいですが、腹筋背筋鍛えてどうにか持ちこたえたいと思います〜
今年もよろしくお願いします!