縁結びの国に行ったらば、胸やけするほど女子がいた。
前回「実は乗り鉄なんです」とカミングアウトしたら「実は私も」なんてコメントやメールが届いたりして、同志がたくさんいることがわかって大変うれしゅうございました。数日前にも、東京から福島・いわきまで常磐線経由で5時間の鈍行旅を楽しんだ友人と会って「面白かったよね、女子高生ってこんな会話してるんだとか、この駅は意外と乗降客多いんだとか、海だと思ったら山だ〜と思ってからの再び海〜(*^_^*)」とスマホの地図アプリで現在地を確認しながらキャッキャ盛り上がったのを思い出したり。
やっぱり楽しいなあ、電車旅。これからも書いていい? てか勝手にいいことにしちゃいますけどね? なんて言いつつ3月14日にラストランを控えた寝台特急「あけぼの」に想いをはせ「どうか残り全てのあけぼのが運休しますように…」と毎夜星に願うエコエコアザラクくみこです。
さて、前回からの続きです。ひょんなことから寝台特急「サンライズ出雲」に乗って出雲へ向かうことになった、旅仲間のアヤメと私。本来乗るはずだった昭和感あふれる「あけぼの」と違い、サンライズ出雲は個室オンリーの小ぎれいな電車であります。
伊勢神宮、出雲大社がそろって遷宮イヤーを迎えた2013年、パワースポット人気や不況の影響もあって、全国の人がこぞってこの2大神社に殺到したのは記憶に新しいところ。それはいいんですけども、伊勢神宮が日本一の 聖地感 をアピールして空前の動員数をマークしたのに対し、出雲大社が 縁結び に特化してあからさまな女子向けPRを展開していたのが、どうにも気になっておりました。
いくら縁結びで有名といっても、そこピンポイントなの? 10月には全国の神様が集まってきちゃう神話の国だよ? なんて思っていたらサンライズ出雲は縁結びの神様に直行できる「縁結び列車」のキャッチフレーズで大々的に売り出され、あれよあれよという間に超人気列車に変貌。
そして「出雲にアラサー女子が大量に押し寄せている」という噂にたがわず、初めて乗ったサンライズはものの見事に女子まみれでした。車内外のあちこちから記念写真を撮る女子のキャッキャ言う声が聞こえ、カウンター席が並ぶラウンジコーナーでも女子が占拠してガールズトークを展開中。こ、これはオジサンひとりじゃ乗りづらいな(オバサンですけど)。
そして翌朝10時、出雲市駅到着。
というわけで何はともあれ、こちらに行くでしょう。
はい出雲大社ドーン
いやあ〜
さすが、大社様は立派でありますね。20年に1度、新居にまるっと引っ越す伊勢の神様と違って、出雲の神様は移動しないで60年ぶりにお社を大修繕。改修は平成28年まで続くそうですが、そんなことはともかく
絵馬には「年内結婚します!絶対!」「私にピッタリなダンナ様に出会えますように」「年収○○○円の男性希望!」とかいう女子の肉食コメントがぎっしりびっしり。あまりの気迫に、婚活中の私も少々胸やけが…。
さすが出雲の神様。おびただしい数のおみくじが枝葉までびっちりつけられても、「えーよえーよ」と笑顔で対応。そして肝心のおみくじでも、出雲の神はキャパの広さをアピール。ええ、ええ、大吉とか小吉とか、そんなステレオタイプな判断はいたしませんよ。
がっちり木にくくりつけてやりました。
それにしても出雲市駅から出雲大社、周辺のみやげものを見ただけでも「縁結びうどん」やら「縁結びそば」やら「恋みくじ」やら「縁結びランチ」やら、とにかく縁結びのオンパレード。出雲なんだから当然っちゃ当然ですが、ここまで縁結び推しとは思っておりませんでした。
日も暮れてきたので今宵の宿、玉造温泉へ。こちらも全国的に知られる由緒正しき温泉地ですが、
こんなんとか
こんなんとか
フリペはもちろん町内の案内板から宿のサービスまで、全てが女子向けカスタマイズ。橋越しに神社の鳥居が写ったら恋が叶う恋叶い橋やら、さわると幸せになる幸せ青メノウやら、温泉街のあちこちに縁結びのっかりスポットが点在していて、そこには必ず女子の影。
町の中央を流れる川の中にハート形の岩発見!
と写真撮った後で「ひょっとしてこれも縁結び演出…?」と疑ってしまう、汚れちまった大人の悲しみ。
宿の仲居さんに「歩いてすぐですよ、人気ですよ」とすすめられた玉作湯神社にも行ってみましたが、やはりここにも女子の列。よくわからないまま並んでみると社務所のオバチャンが「600円です」。小さい神社なのに、ずいぶん拝観料取るんだなあ〜と思ったら
何このガーリーなアイテム!
パッケージを開くと中にはパワーストーン「叶い石」とかわいい和柄のお守り袋、一筆箋のような「願い札」が入っていました。うむう、なんと女子を知り尽くした商品開発力!
古い石段を上って境内に入り、まずは拝殿にお参り。複写式になっている願い札に願い事をしたためたら、1枚を奉納、1枚をお守り袋の中へ入れます。最後に、境内奥に祀られている「願い石」の前に並び(ここにも長蛇の列)、一人ずつ順番が来たら願い石に叶い石をあてて、静かに願いごとを唱える。
あとは叶い石をお守り袋に入れて持ち帰ればOKという段取りです。
いやあ〜〜
別にいいんですよ、それはそれでいいと思うんですけどね、なんでしょうか、この出雲のぬかりなさは。出雲一帯が、おそろしくラブな空気に包まれております。恋、恋、恋。縁、縁、縁。全てが「恋愛成就」や「縁結び」につながるよう計算されているイメージ。
と思っていたらアヤメがひと言、
「なんかここって軽井沢みたいだよね」
ハッ
まさしく。かつてアンノン族と呼ばれた女子たちが大挙して押し寄せた、全盛期の軽井沢のような。
「でもこれって単なる女子旅ブームだよね」
ギャッ
アヤメさん、それ言ったらおしまいですがな〜。
出雲って昔からこうなんですか? 少なくとも関東の人に、こんなキャピキャピした出雲のイメージはない気がするなあ。ここまで女子向けにしちゃって大丈夫なんだろうかと、見ているこっちが心配になってしまいましたが、一過性のブームも悠久の時が流れる出雲の国的には大したこっちゃないんですかね。
そんなこんなで縁結びしまくるはずが、女子パワーにあてられて精力吸い取られた感のあるじじょうくみこでありました…。
とか言いつつ帰りもサンライズ。
*** おまけ ***
3月14日(金)はいよいよ寝台特急「あけぼの」のラストラン! 当日ホームでは「今までありがとう!」なんつって叫んでる〈葬式鉄〉が多数出没するかと思うので、ぜひ14日夜と15日朝のニュースにご注目ください。
☆ 旅のインフォメーション
By じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
*「崖っぷちほどいい天気」は毎週土曜日更新です。
takeume
かれこれ20年前に出雲大社で結婚式をいたしました。
流行の最先端を行ったtakeumeです。
出雲大社を選んだ理由は、
・当時、一番高齢の夫の祖母の負担を減らす為(出雲在住)
・安い(神様の前での式だけなら数万円 衣装代は別)
・ある程度観光客の前に出て、生涯で一度だけ見知らぬ人からも
「きれいね~」といわれたかったから。
(出雲大社・平安神宮など、観光客が居ればどこでもよかった)
なーんて罰当たりな理由だけで、信仰なんてなかったです(^^;)
その当時は、キャピキャピした雰囲気なかったですよー。
10月だったからか、確かに観光客は多かったですが、
バブル期の軽井沢の映像ほどではなかったと思います。
(行った事ないから、映像のイメージだけですが)
それに年齢層は高かったです。
あぁ、人生の中で見知らぬおっちゃん、おばちゃんに
「きれいねー」とたくさん言ってもらえた唯一の日です。
(それが花嫁衣裳を褒めた言葉であっても)
rieko
寝台特急に新婚旅行で1回乗ったことあります!
1986年の上野駅(←あってるかな?あおも青森駅まで。飛行機で行きゃいいものを、飛行機はやだ!と、私のわがままで寝台特急に乗りました。
今想えば、貴重な体験をしたと思います。あれは、また乗りたいと思う気にさせます。
因にJRは、居住地(四国)以外ではでは新幹線等の他に 九州の長崎本線のかもめぐらいです。
九州は、特急も観光地としてもとてもいいですよ!
じじょうくみこ Post author
>>takeumeさま
こんにちわー。コメントうれしゅうございます(*^_^*)
なんと! 出雲大社で挙式!! いやーんステキー♪
しかも理由がものすごく現実的でますますステキー(笑)
なるほどなるほど、出雲大社で式を挙げるとみんなにチヤホヤされると…(メモメモ…)
やはり今の女子人気は最近のブームなんですね。
私も出雲ってちょっと古くさいイメージだったので、かなり面食らったクチです。
まあ、去年の島根は観光客が2.3倍増えたという話ですから
それはそれでよいことなのかもしれませんけどね。長く続くことを祈っております。
じじょうくみこ Post author
>>riekoさま
こんにちわ!コメントありがとうございます〜(^^)/
なんとなんと! 新婚旅行で寝台特急とはriekoさんたらカッチョいい〜♪
上野から青森までというのは、「あけぼの」と同じルートでしょうかね。
昔はもっとたくさん寝台が走っていたとは思いますが、
そのころのブルートレインはきれいだったろうなあ〜〜〜〜(妄想)
そうそう、九州! 九州の電車って変わったデザインが多いですよねー。
一度ゆっくり乗ってみたいと思っているのです(ななつ星じゃなくて)
たっぷり休みが取れたら、九州一周したいなあ〜〜〜〜〜〜(妄想)
Comet
出雲大社、1981年と2008年に行きました。
1981年は修学旅行だったで、バスガイドさんに「ここが竹内まりやの実家」と教えてもらい、みんなでおおおおおと盛り上がった記憶しかなく(^ ^;
2008年は「古代出雲大社は何十メートルだか何百メートルだかの高さがあったのだ!」という発見で盛り上げようとしていまいち不発だったという時期で、しかも改修工事が始まったばかりだったので、観光客がほとんどいませんでした。
わずか5年でこの変化。神社経営(?)も博打ですなあ。
そういえば、バタデンは乗らなかったの?
サヴァラン
かれこれ20年近く前ですが
友人二人が出雲大社に参詣して、そのとき御祈祷を受けたんだったかなんだったか。とにかくその後、頻繁にDMが来るとぶつくさ言ってました。
「DMってどこから?」「出雲大社から」「どんな内容の?」「次回の参拝はいついつ頃されるのが吉とかなんとか」「ひょえ~~~」
縁も結ぶけど円も結びたい神さまなのねと、そのとき思った記憶があります。
花緒
出雲大社、大変な事になっているんですね…。
うちも旦那が乗り鉄で、私も結構乗り物が好きで、4年前にサンライズ瀬戸で四国に行きました。
サンライズ出雲と迷ったんですが、次に行く時はそちらに、と思っていましたが。
中年夫婦には居づらい旅行先なんでしょうか(^^;
去年の暮れには南房総に車で行き、小湊鉄道と夷隅鉄道に乗りました。
小湊鉄道の古い電車や、窓から眺める景色が良かったです(^^)
じじょうくみこ Post author
>>Cometさま
こんにちわ〜♪ なんと、2回も出雲に詣でておられるのですか?
すごいセレブ〜〜(?)
ありましたね、確かに超高層神殿説! たぶんまだそれ引っ張ってると思われます。
出雲大社って何をやってもあか抜けない(といっていいのか?)イメージがあるので
もうこの遷宮&婚活ブームにのるしかない!最後のチャンス!と思ったのかも?
それぐらいの気迫を感じました。
バタデンは結局乗れなかったんですよー。
現地がものすごい吹雪で、とにかく楽して移動しようと思うとバスになっちゃって(^^;)
冷え性のつらさに乗り鉄魂が完全敗北・・・・
それにしてもバタグループはすごいですね。デパートに電車にバスにホテルに。
あんな一大財閥とは思っておりませんでした。
じじょうくみこ Post author
>>サヴァランさま
おおおお〜ご祈祷を受けられるのですか、あそこは。知らなかった!
神社とDM。まあ神社も経営していかなきゃいけないわけですから頭ではわかりますが
なんかちょっと興ざめしますね。。。。
でも、こう言うと語弊があるかもしれませんが
出雲、ちょっとお金のにおいがしました。。。。
じじょうくみこ Post author
>>花緒さま
こんにちわ〜♪コメントありがとうございます(*^_^*)
出雲大社はさすがドシーンとしておられるので、若者だろうが熟年夫婦だろうが大丈夫ですよ♪
周辺が浮かれているっぽい感じです。
乗り鉄のダンナ様なんて素敵♪夫婦で一緒に電車旅、私の理想ですううう〜〜(*^_^*)
小湊といすみ鉄道とは、さすが、しっかりポイント抑えてますね!
ムーミン電車に乗ったのですか〜。
サンライズ。今回わかったのですが、どうも混んでいるのはサンライズ出雲だけのようです。
サンライズ出雲とサンライズ瀬戸は岡山まで同じ電車で、切り離し・分岐するので
東京-岡山はサンライズ瀬戸を使うとすんなり予約できることが判明。
なので今後はサンライズ出雲が混んでいたら、サンライズ瀬戸で岡山まで行こうと思いますー。
でも次は瀬戸で四国に行くのもいいなあ〜♪
Comet
以前は、縁結び関係は八重垣神社が一手に引き受けていたのに。
http://www.shinbutsu.jp/45.html
出雲空港を「縁結び空港」とか呼ぶことにしたあたり(←調べたら2010年だった)から、この道を突き進むことにしたのでしょうなー。
じじょうくみこ Post author
>>Cometさま
八重垣神社、行きたかったんですが出雲大社から思いのほか遠くて断念しました…。
出雲ってスポット同士がけっこう離れているんですよねー。
周遊バスの「縁むすび号(←ここでも!)」に乗らないと不便〜。
誰がゴーサイン出したんでしょうね。市長でしょうか。
願わくば、その企画会議に参加したかったです(笑)