11月22日はカレー記念日

カレー記念日

落ちてゆく 枯葉のごとし 抜け毛かな

11月22日はカレー記念日

Jane

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カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
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50代、男のメガネは

昨日まで友だちだったのに、なぜ今日嫌いになるのか。

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中学生二年生の時だった。夏休みがあけた二学期の初日。転校生がやってきた。その転校生と僕は仲良くなった。互いの家を行き来したり、休み時間一緒に遊んだりしていた。

 

なのに、彼が転校してきてから一ヵ月ほどたったある日、僕は彼を嫌いになったのだ。嫌いというよりは、疎ましく思った、というのが正解かも知れない。

 

昨日まで、彼が僕の名前を呼んでくれると、「なに?」と応えていたのに、今日、名前を呼ばれた瞬間に応えるのが嫌になってしまっていた。

 

名前を呼んでも応えない僕に、転校生は困惑した表情を浮かべている。そして、僕はといえば、そんな転校生の表情を見て、自分でも何をもって彼を疎ましく思っているのかがわからずに動揺している。

 

そして、僕はといえば明らかに非のない相手に対して、後ろめたさを感じていて、そんな自分自身に怯えてしまっているのだった。 2,3日、転校生は僕に声をかけ続けてくれた。だけど、僕は1日目に彼を疎ましいと思ってしまったことの動揺を引きずって、2日目も3日目も、彼の目を見ることさえできなくなっていたのだった。

 

結局、その転校生とは、ほとんど口を聞かないまま中学を卒業した。

 

今でも、あの出来事を思い出す度に、「あれは、いったいなんだったんだろう」という疑問と、「どうしてあんなひどいことをしてしまったのだろう」という後悔が頭をもたげる。

 

あれから40年近い月日が経つのだけれど、何年かに一度あの出来事を思い出す。その都度、呼びかけに応えてもらえなくて困惑している彼の顔が浮かぶ。そして、その困惑を生み出してしまった原因は何か、と必死に考えるのだが答えが見つからない。

 

彼の家に遊びに行ったときに、なぜ、僕はこの子の家に遊びに来ているのだろう、と思ったことがある。友だちだから家に遊びに行く、という感覚ではなく、友だちになるために家に行く、という感覚。その感覚は僕の中で初めて味わうものであり、そこで自分が「いけないことをしているのではないか」と思ったことは確かだ。

 

だけど、だからといって、僕は彼のことが嫌いではなかったし、彼と遊んでいると楽しかった。彼のお母さんとも話したことがあるが、とても優しいお母さんで感動したことがある。彼と話さなくなってから、お母さんと町ですれ違ったことがある。笑顔で会釈してくれるお母さんに、僕は恥ずかしくなって逃げ出した。

 

ああ、お母さんのことは長い間忘れていた。そうか、僕はお母さんにもひどいことをしていたのだなあ、といまこれを書いていて思い出した。

 

今なら、と思う。おそらく、3日後の僕はその転校生をもう疎ましくは思っていなかったのだ。だとしたら、3日後に話しかけてくれた彼にはちゃんと応えられそうだ。だけど、あの頃の僕は、初日に疎ましく思ってしまった事実に怯えていて自分自身をどうにもコントロールすることができなかった。あれから、何人もの友だちを作り、友だちを失ってきたけれど、あの時ほど鮮烈に線引きができてしまったことはない。

 

今なら、もう少しうまくやれそうな気がする。あそこまで、不器用なことはないような気がする。確かな自信はないけれど、ほんの少しだけ利口になったはずなんだが、思う。ある日突然、人を疎ましく思うような気の迷いに惑わされることはない、と言い切る自信はないのだが、それを乗り切って、もっと素直に「昨日のオレはおかしかった、すまん」と謝ることはできる。

 

なんだろう、この文章は。酒の飲めない52歳が、梅酒のソーダ割りコップ半分で酔っ払って書いている。

 

とここまで書いた文章を今朝になって読み返す。なんだか支離滅裂で、僕自身ひどい男だということが明記されているのだが、嘘は書かれていない気がするので、このまま投稿してみようと思う。

 


 

植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、オフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京神楽坂で暮らしてます。

 

★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。

 

 


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コメント、ありがとー!

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    アメちゃん

    こんにちわ。
    よくわかりますー。私もとつぜん線引きしてしまった友人がいますー。
    (ちゃんと理由があって、突然の閉店ガラガラした友人知人はもっといますが)

    ある日、なんか急にうとましくなってしまって
    メールの返信もしなかったら、相手に
    「この間メール送ったけど、とどいてるかな???」
    とか、再メールもらったりしました。
    いま思えば、彼女がミョーに自分を卑下しだしたり
    私のご機嫌をうかがうような感じになったりしたのが
    うざったかったんだと思います。

    でも、私はまだまだうまくやれそうな気がしません。
    あまりに自分の感情に正直すぎるのも
    相手を傷つけるとわかってるんですけど、、~~;。

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    はしーば

    先週の「人を殺すということ」を読んで、カリーナさんのコメントを読んだら、もう堪らなくなって、コメントを残すことができませんでした。
    不器用であるが故に、生きるのが大変だったりすると、それを自覚した時から、自分にも他人にも優しくなれるような気がします。
    植松さんの文章からはそういう類いの液体がじわっと浸み出しているんですね。
    だから、ちょっとギクッとするような言葉も少し湿り気を帯びていて、グッサリとは突き刺さらないんです。
    好きです、植松さんの文章。

    って、満員電車の中、横ではチューハイ片手のオヤヂを横目に打ちました。

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    uematsu Post author

    アメちゃんさん
    コメントありがとうございます。
    なんというか、ほんとこの一件は僕の心の傷というか。
    本当にあの頃から全く成長していない気がします。
    どうすれば、人として成長できるんだろう。
    ふとそんなことを考えると、眠れなくなります。

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    uematsu Post author

    はしーばさん
    僕は優しくありたいと思いながら、
    なんだか本当の意味で優しくないというか、
    ただの優柔不断なんじゃないか、
    なんて思ったりします。
    不器用なことは間違いないですが(笑)
    本当の意味で優しい人間になりたい。
    そんな夢想ばかりしてきた気がします。

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    アンジェラ

    はじめまして。

    前回の記事の植松さんのコメント、ちゃんと向き合うことと、仲良くすることとは違うというところ、本当にそう思います。
    先生も人間だから嫌われたくないんでしょうね、そして親も。
    子供がいないover50の私ですので偉そうなことは言えないのですが、
    友人でも友達親子みたいなのがけっこう多いのです。

    今回の記事、なんだかとってもわかる気がします。
    中学生って一番不安定な時期ですよね。
    私も、自分でもあの時なんであんなことしたのかわからない…というような事がたっくさんあります。
    その中にはもちろん友人に対する後悔も。

    そんな事を積み重ねすぎたせいか、最近は人の気持ちを考えると動きがとれなくなって、自分が苦しくなってしまう事があります。
    相手もhappyで自分もhappyで世の中にも恥じない、というような近江商人になれるのはいつの日か、と思う今日この頃です。

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    uematsu Post author

    アンジェラさん
    相手もHappyで自分もHappyというのが本当に一番ですが、
    どうすればいいのか、悩みますよねえ。

    僕も50を過ぎた今でも悩みます。
    というか、いま悩みのまっただ中です(笑)。

    人のこと心配しても仕方がない!
    よ〜し、これからは、自分のことだけ考えて人生を楽しもう!
    とか思うんですが、一瞬そう思っただけで、
    また、元の木阿弥です(泣)。

    でも、Happy-Happyって、いいなあ。
    ちなみに僕は、「Win−Winの関係ですよね!」とかいうのが大嫌いです。

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    カミュエラ

    身につまされるような思いで読みました。
    10代20代と今思い返してもなぜ?と首をかしげるような事をしては、後悔と懺悔を繰り返してきました。年ごとに慎重になり訳のわからない失敗は少なくなりましたが、全くなくなったわけではないです。

    20歳から保母として3年間孤児院で働いたのですが、若くて未熟だったとはいえ本当にめちゃくちゃな保母でした。30年前のその当時、その施設の多くの子供達が中学卒業と同時に就職し、親などの後ろ盾がほとんどない状態でひとり生きていかなければならなかったのですから、本当ならばそれを見据えてもっともっと子供達のために努力をしなければならなかったのです。
    数々の失敗を繰り返した3年間でしたが、ひとりの男の子(中学2年生)に手をあげてしまったことがあって、その子が中学と同時に漁船に乗り船乗りとして修行を始めて間もない頃、誤って海に落ちそのまま亡くなってしまうということがありました。それを知った時は本当に取り返しのつかないことをした思いがして、目の前が真っ暗になりました。私が彼に手をあげたことと彼が亡くなったことはなんの関係もないのです、それでも時々思い出しては苦しくなるのです。
    そんな思いをずっと抱えていましたが、数年前、もうとっくに成人したその頃の 子供達に会う機会があり(みな30代後半になっていました)その当時の自分の至らなさをわびたところ、自分たちは誰もそんなことを気にしていないし、自分のしたことで誰かの人生に傷をつけてしまったように思うのは結局は私の思い上がりなのだと言われました。

    また、同じような時期に逆のことを経験しました。
    30年ぶりくらいに中学の頃の同級生と会った時に、一人には昔の言動をわびられ、一人には私のある時の言葉がありがたかったと礼を言われたのです。どちらも記憶にありませんでした・・・・・私がとっくに忘れてしまっていた事を彼女らはずっと記憶にとどめて時々苦しんだりしていたのかと思うと、申し訳ないやらありがたいやらで何と返していいのか困りました。

    多くの人は時間とともに、他人から受けた傷を少しずつ忘れ、自分がした失敗はなんども思い出しては苦しむ傾向にあるように思います。
    植松さんのそのお友達も植松さんがしたことをもう忘れているかもしれません。
    忘れていなくてもそれが傷になっていることはないと思われます。そろそろ自分を許してあげてもいいのではないでしょうか・・・・・
    過去の過ちを思い出して時々叫びだしたくなる気持ち、私もよくわかります。
    何の慰めにもなりませんが、人間の善良性を信じて時には甘えてもいいと思います。

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    uematsu Post author

    カミュエラさん
    優しいコメントをありがとうございます。

    僕も似たような経験があります。
    中学時代の同級生に会いたいと言われ、
    当時僕が彼に言った言葉で「ここまで頑張ってこれた」と言われたり、
    元の職場の後輩に、
    「あの時、こう言っていただいたおかげで、進路を見極めることができました」と言われたり。
    でも、全然覚えていなかったりするんですよね(汗)。

    ということは、あの時の僕の行動だって、誰も覚えていないのかも、と思うこともあるのですが、
    いやいや、僕が覚えているということは、やっぱりひどいことしたんだな、と思い直したり。

    人の後悔の念というのは、なかなかに複雑でストレートで根深いですね。

    でも、ありがとうございます。
    こんなことを書いておいて、こういうのもなんですが、
    実は他にも後悔することが多すぎて、
    一つのことだけをずっと後悔していることができないほどですので、
    逆に大丈夫です(汗)。

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