スターバックスの揺れるテラス席について。
事務所の近くにスターバックスが2軒ある。その内の1軒は店内が広いのだが、人が多くて座れない神楽坂店。もう1軒は店内は狭めだが、テラス席があって比較的客数が少ない軽子坂店。
僕はこの軽子坂店をよく利用する。朝の時間はとくにこの季節だとテラス席が気持ちいい。
ただ、このテラス席にはひとつだけ欠点がある。揺れるのだ。階段の段差を簡易的に覆うように作られたテラス席なので、人が歩く度に揺れる。そして、その揺れは意外にゆるく間延びしたような余韻を残す。
その席で、本を読んでいると、たとえば硬派な純文学を読んでいても、なんとなくだけれどユーモア小説を読んでいるような気分になる。硬い文章を書いていても、冗談を挟まなければいけないような気分になる。
最初、仕事のコピーを書きながら「よく揺れるな」と思っていたので、書くことのじゃまになる要素としてとらえていたのだが、ある日、柄にもなく森鴎外を読んでいるときに揺れを感じてしまい、漢文調の鴎外の文章がそこはかとなくリズミカルに、楽しげに感じられたのだった。
以来、僕はこの席でよく文章を読んだり書いたりするようになった。いま、この文章も実はそんなよく揺れる席で書いている。
人の気分というのはとても大切なものだと思う。同じ物を見聞きしていても、それを受け取る側の気持ちひとつでまったく違う捉え方をしてしまう。もしかしたら、そこにしか人間のおもしろさはないのではないかと思うことだってあるくらいだ。
その割には、この文章自体はおもしろくないじゃないか、とおっしゃる?
その通り、どうも今日に限って、このテラス席を横切って店に入っていく人が少ないのだ。というよりも、まったくいないのだ。いや、本当に。嘘だと思うなら、ここに見に来てもらってもいい。
あ、でも、いま来てもらったところで、僕がこれを書いている「いま」とは違う「いま」なのだから、確かめようがないのか。それは困った。でも、確かに、今僕の文章を楽しく弾ませるような揺れを起こす人はいないのです…。…本当です。…いや、たぶん、きっと。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。
perako
なんとなく意味分かります・・。なんとなく・・。
uematsu Post author
perakoさん
わかっていただいて、ありがとうございます。
なんとなくで、充分です、はい。