神戸のオバチャンを思い描くという試み。
大阪のオバチャンについて書いた。そして、大阪のオッチャンについても書いた。次は神戸のオバチャンだ。
僕は兵庫県伊丹市の生まれで、母方の親戚のほとんどは伊丹市内にいる。そして、父方の家はもともと淡路島の出身らしく、親戚は神戸から明石あたりに住んでいる人が多い。
僕自身も子どもの頃、遊びに行くのはほとんど宝塚か神戸三宮界隈で、十代の終わり頃まで大阪に出かけることはあまりなかった。
そのせいだろうか、いまでも神戸の人と話しているとなんとなく落ち着く。大阪ほど前に前に出てくる感じでもないし、京都ほど腹に一物という感じでもない。どことなく地味なのだけれど、ちゃんとその場の空気を読んでいるという鋭さのようなものを隠し持っているという印象を僕はずっと持ち続けている。
以前、親族一同が集まったとき、神戸の叔母さんが不意に「ほら、私が自殺しかけたときあったでしょう」と話出したことがあった。
その話し方が、「ほら、昨日、プリン食べたでしょう?」というのと変わらない穏やかさだったので、僕は驚いて叔母さんの顔を見た。すると、別の親戚の叔母さんが「あったわねえ、六甲山の裏手で」とこれまた笑いながら答えるのだった。
しかも、話はその『事件』のことではなく、その時期にあった全く別のことへと広がっていく。
まるで季語のように『事件』を語る叔母さん二人はいいのだろうが、聞かされたこっちは六甲山を彼方にいただく神戸に行くたびに、笑いながら話す叔母さんの顔を思い出し、その『事件』がどんなものだったのかに思いを馳せてしまうのだった。
というわけで、僕の中の神戸のオバチャンのイメージは、この叔母さんに代表されてしまい、叔母さんと書いてしまうし、決して神戸のオバチャン全体を思い描くことが出来ないのだった。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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