レコードプレーヤーが壊れてしもたのである。
名盤ジャズのアナログレコードが毎号付録についてくるジャズ雑誌が刊行されたのである。付録と言ってもそっちがメインの、なんやこう本末転倒のシリーズで、ずっと買っているとロボットができるとか、でっかい戦艦大和ができるとか、そういうのもこれまで発売されてきた、あのシリーズである。
毎号買うつもりはさらさらないのだけれど、初回発売がマイルス・デイビス。しかも、僕が大好きな『カインド・オブ・ブルー』だといわれたら、これはもう買わんわけにはいきません。なにしろ、値段が数百円だもんね。
というわけで、いそいそとアナログのLPレコードが付録についた、その雑誌を書店で買い求めたのである。でもって、こいつをこれまたいそいそと自宅のレコードプレーヤーにのっけましてね。
このレコードプレーヤーというのが、そうやな7年くらい前にちょっとばかり高めの値段を出して買ったもんで、マランツというメーカーの、まあ、僕の自慢のレコードプレーヤーなのであります。
このプレーヤーのターンテーブルの上に、買ってきたばかりの『カインド・オブ・ブルー』をのっけましてね。33回転にスピードを合わせましてね。スタートと書かれたスイッチをちょいと回す。くるくる回り出した『カインド・オブ・ブルー』の上に、用心深くアームを下ろすと、レコード針が盤面をこすり、あのジャジーなベースの音が……。
聞こえへんのです。あの素晴らしい『カインド・オブ・ブルー』の名演奏が! かわりに聞こえてきたのは、へろへろのベース音。
♪チャララ、ラララララーン
と聞こえるはずが、
♪ちゃ~らら~、らら~らら~みょみょ~ん
てな具合です。あっちに行ったりこっちに来たりを繰り返しつつ、音がよれよれ。なんだこれはと、よくよく見ると、目で見てわかるほどに、回転数が不安定なんでありまする。おかしいのでありまする。もう、すっかりモーターがいかれてしもーたー、てな具合なんでございまする。
えらいこっちゃと、いったんレコードプレーヤーを止めて、あちらこちらチェックしたのですが、壊れたまんまです。いや、どちらかというと、回転数がどんどんおかしくなる。そして、最後にはぴたりととまってしまうやおまへんか。
ええ~!自慢のプレーヤーだったのに!ものすごく楽しみにしていた『カインド・オブ・ブルー』だったのに!つい、この前まで、ちゃんと回っていたのに!
いま、僕の目の前には、動かなくなった。いや、ごくたまに、ふらふらと回るレコードプレーヤーと、マイルス・デイビスの『カインド・オブ・ブルー』があるのです。
しかしですね。聞けない『カインド・オブ・ブルー』のジャケットはかっこいいし、ふらふらとしか回らないレコードプレーヤーは、本当にちゃんと回転しそうな感じで、ちゃんとそこに鎮座ましましているのであります。
いつになったら、聞けるのかなあ。大好きなマイルス・デイビス。
植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→★
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クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。
そして、こちらが「ネコのマロン、参院選に立つ。」のサイト
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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