11月22日はカレー記念日

カレー記念日

落ちてゆく 枯葉のごとし 抜け毛かな

11月22日はカレー記念日

Jane

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

50代、男のメガネは

佐野元春と一緒に、月夜を往く。

 

 

『サムデイ』がヒットしていた頃、僕は佐野元春にまったく興味がなかった。なんとなく、時代の空気がバブルへ向かおうとしているなかで、内省的な歌詞が鬱陶しく感じられたのかもしれない。もっと自由に、今までになかったアートをみんなが欲していた時代だったと言えるかもしれない。そうでなければ、ジョナサン・ボロフスキーのシルクスクリーンを一般の若い人たちがこぞって購入するなんてことはなかっただろうし、みんながフィリップ・トゥーサンを読めばオシャレだと思われることもなかっただろうと思う。

 

だけど、やっぱり佐野元春の『サムデイ』には力があった。耳にしてしまうと、じっと聴き入ってしまう強さがあった。弟の部屋にあったアルバム『サムデイ』と、若い友人から聞いた『NO DAMAGE』というベストアルバムをカセットに吹き込んで車で良く聞いた。それこそ、アルバムの曲順を覚え、歌詞を覚えてしまうほどに聴き込んだ。

 

そんな時に届けられたのが、やたらとエッヂの立った『VISITORS』というアルバムだった。ラップがあり、ポエトリーリーディングに近い曲もあった。人気が頂点に達しようとしているときに、佐野元春は自らニューヨークに旅立ち、そこで、一人仲間を集めて、新しいアルバムを作っていたのだった。

 

このアルバムは初登場チャート1位を記録したが賛否両論だった。僕は大好きで毎日毎日聞いていた。しかし、僕はそこからジャズにはまり、佐野元春から離れてしまったのだった。

 

久しぶりに佐野元春を聴いたのは2004年にリリースされたアルバム『The SUN』だった。そこに納められたシングル曲『月夜を往け』をテレビの音楽番組で聞いた僕は再び佐野元春を再発見した気持ちだった。

 

佐野元春の曲はとても繊細なものにかわっていた。本質は変わらないのだろうが、詩がよりシンプルになり、同時に力強くなっていた。そして、なによりもその歌声が細く深くなり切なさを増していたのである。

 

明らかに歌い方が変わっていた。アルバムを手に入れ、何度も何度も聴いて、僕は久しぶりに彼のコンサートに行きたくなった。そして、実際に行ってみて驚いた。佐野元春の声がとても大きなダメージを負っていることが明白だったからだ。具体的には長いフレーズになると音程がふらつき、高い音程の所にくると、声が裏返った。それを見せないために、佐野元春は短いフレーズに変えたり、あえて声量を抑えて音程を保ったりしていた。

 

かつて、デビュー25周年の時にテレビのインタビュアーから「ここまで良いことも辛いこともあったと思いますが」と質問され、佐野元春は「そうだね。良いこともあった。それはいろんな人に出会えたことだし、たくさんの曲をたくさんのオーディエンスに届けることができた、ということじゃないだろうか。もちろん、辛いこともたくさんあったけれど、それはいまここでいうことじゃない」と笑顔で答えたのだった。

 

この人は、辛いことを人前で嘆く人じゃない。とその時思ったのだが、彼がかつての声を失ってしまった理由も、「肉親の死によるストレスから」とか「長年、がなるようなシャウト唱法を続けてきたから」とか言われているが、本当のところはどこにも書かれていない。すべてが予測から書かれた個人ブログばかりだ。

 

理由は分からないが、かつてのことを失ってしまった佐野元春がいて、それでも、彼が必死に歌を作り続け、歌い続けていることを僕たちは知っている。そして、『月夜を往け』を聞いた時に、その深く繊細になった切ない歌声に、佐野元春という生き様を知ったのである。

 

佐野元春という人は、ある意味、とても不器用な人なのかもしれない。同じ時期にデビューしたサザンオールスターズの桑田佳祐とは今でも親交はあるけれど、ソングライターとしては真逆の生き方をしているように見える。桑田佳祐は好むと好まざるとに関わらず、きちんと日本の音楽業界のてっぺんにしっかりと座っている。世を儚んだり、政治を揶揄する歌を歌うときにも、すでにプロフェッショナルの芸域に達した技を披露してくれる。そこが安心感につながり、安定感につながるのだと思う。

 

そういう意味では佐野元春は、いまだに『VISITORS』を作った頃の危なっかしさを忘れてはいない。だからこそ、僕は佐野元春の新しいアルバムを手にするたびに、明日こそ強く生きようと思うことができるのかもしれない。

 

『月夜を往け』発売時のセルフコメンタリー

 


 

植松さんとデザイナーのヤブウチさんがラインスタンプを作りました。
ネコのマロンとは?→

「ネコのマロン」販売サイト 
https://store.line.me/stickershop/product/1150262/ja
クリエイターズスタンプのところで、検索した方がはやいかも。

そして、こちらが「ネコのマロン、参院選に立つ。」のサイト
http://www.isana-ad.com/maron/pc/

植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。

★これまでの植松さんの記事は、こちらからどうぞ。


50代、男のメガネは 記事一覧へ


コメント、ありがとー!

  • アバター画像

    masakobe

    はじめまして、植松さん!初コメントです。
    佐野元春さん・・・私も『サムデイ』を歌っている、あまりTVではお見かけしないけどミュージシャンからはカリスマ的存在の人ってイメージしかなかったのですが、つい先日、夜中に再放送されていた佐野さんの音楽ドキュメンタリーのような番組を見て、少し見方が変わりました。
    ジャズ風な演奏をバックに佐野さんが詩を朗読するって感じだったんですけど、カッコ良かったです〜♪

  • アバター画像

    uematsu Post author

    masakobeさん

    初コメント、ありがとうございます。
    あの番組の佐野元春さんが実像にかなり近い気がします。
    真摯だけど、ちょっと不思議ちゃんで、それでも前向きに作り手として常に前を向いている。
    そんなところに、僕は何度も救われました。

    https://youtu.be/Xff564ct5MM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。また、コメントは承認制となっています。掲載まで少々お待ちください。


コレも読んでみて!おすすめ記事

昭和乙女研究所

映画の思い出vol.1

カレー記念日 今週のおかわり!

お出かけに 欲しいのお洒落な シルバーカー

60代、男はゆっくりご乱心

ダンドリくん

四十路犬バカ日和

ワンオペ生活の大いなるルーティン化

OIRAKUのアニメ

第110回 ONE PIECE FAN LETTER

今週の「どうする?Over40」

「まとまった形で」「時系列で」「思いきり」だれかに話すという自己救済法。

黒ヤギ通信

来年の干支

山あり谷あり再婚ライフ

介護の日は頑固の日?

ゾロメ女の逆襲

【月刊★切実本屋】VOL.87 かつての竹中直人の芸風の本

ミカスの今日の料理 昨日の料理

ちゃんと楽しそうに:豚なんこつの甘辛煮

かわいいちゃん

大ウサギ

夫亡き日々を生きる

カリーナからゆみるさんへ 2023年5月10日

絵手紙オーライ!

歌を書いてみたくて。。。

母を葬る

(16)一枚の絵

出前チチカカ湖

第201回 最近の宗旨替え

なんかすごい。

両親がきた

いろんな言葉

That’s Dance!文字起こし 第6回(episode16) やっかみかもしれませんが‥番外編も兼ねて

いどばた。

凹むこと最近ありましたか?

じじょうくみこの崖のところで待ってます

はなやぐお盆、わたしは墓へとタックルした。

ただいま閉活中

お守りが無くなったら

50代、男のメガネは

『レジェンド&バタフライ』で絶望の淵に立つ。

おしゃれ会議室 ねえ、どうしてる?

人生は引き算である

日々是LOVE古着

(終)これからも。これからは。

これ、買った!

くっつかないしゃもじをもう一度買った!

ワクワクしたら着てみよう

最近思うことをとりとめもなく書いてみた♡

わたしをライブに連れてって♪

コンサートwithコロナ

これ、入るかしら?

行き当たりばったりで失礼します

KEIKOのでこぼこな日常

巣ごもりしてたらこんな買い物を…

あの頃、アーカイブ

【エピソード37】最終回記念、私たちのクリスマス!

フォルモサで介護

私が負けるわけがない

お悩み相談!出前チチカカ湖

【File No.41】 私って多重人格!?

ラジオブースから愛をこめて

ノベルティグッズ

着まわせ!れこコレ

冬とウェディングと後れ毛と

このマンガがなんかすごい。

第15回(最終回):マンガよ永遠なれ!

夫婦というレッスン

津端英子さんの一筋縄でいかない個性と行動力がすごい著書「キラリと、おしゃれ」

ハレの日・ケの日・キモノの日

暑くじめじめな7月

眉毛に取り組む。

総集編!眉毛ケアグッズ&お手入れ用品のご紹介

さすらいの旅人ゆりの帰国&奮闘日記

グアテマラ。そこで見た不思議な光景と懐かしい味

新春企画 輝く!カレー記念日大賞2017

輝く!カレー記念日大賞2017

≪往復書簡≫SEX and the AGE 

「女性の健康を守り、5歳若くなる抗加齢医療」だって。ボーっとしてたら、すごいことになってるね。

最近、映画見た?

第12回 「海よりもまだ深く」

Over40からの専門学校 略して「オバ専」

【オバ専インタビュー】今まで知らなかった「責任感」も含めて、人生が大きく変わりました。

じじょうくみこのオバサマー

四十九歳の春だから。

華麗なるヅカトーク

第8回 型、色、数! 嫌なことがあったら、また観に来る!

サヴァランのやさぐれ中すday ♪

in her SHOES ~ おばばは何を考えて? #8

器屋さんのふだん器

ふだん器-38  飛びかんな

2016 みんなのこれ欲しい!

サヴァランの「これ、欲しい!」。

2015 みんなのこれ買った!

【じじょうくみこ】低反発リクライニングソファ、買った!

ブログの言葉

「別冊 どうする・・・」はこんなことを大事にします。(過去記事より転載)

今日のこていれ

「今日のこていれ」最終回。1年間のご愛読に感謝を込めて。

崖っぷちほどいい天気

崖っぷちより愛をこめて〜最終回はカピバラとともに。

アラフ ォー疑惑女子

「もったいないお化け」の世代間連鎖

とみちっちの単身ベトナム&中国

ベトナムって、ハノイって、どう?

晴れ、時々やさぐれ日記

ああ、感謝。巳年と午年のあいだ。

中島のおとぼけ七五調

中島。の気ままに更新「おとぼけ七五調」12

ムーチョの人生相談「ほぐしてハッケン!」

【主夫ムーチョの相談】娘がご飯を食べません・・・。

ミラノまんま見~や!

連載最終回!「駐妻のここだけの話」にしようかと思ったが…災難に遭う!

ウェブデザイナーとの対談

大きな旗は振れないけど、小旗はパタパタと振れるだけ振っていこうと思ってます。

「最高の離婚」ファントーク

<対談「最高の離婚」最終回>ホームから電車に乗ってしまってキスして・・・ロマンチックでしたね。

スパコレ

美味しい缶詰を教えて!

2014 新春企画

どうする?Over 40 新春企画「物欲俗欲福笑い」♪( メンバー編 )

フォルモサ(台湾)の女

あずみの台湾レポート「やっぱり紅が好き!フォルモサの女たち」(13)〜不景気顔卒業します

ゾロメ女の図書館小説

帰って来たゾロメ女の逆襲 場外乱闘編 連載図書館ゴロ合わせ小説  『ライ麦&博 完結編』 後編

青蓮の「マサラをちょいと」

青蓮の「マサラをちょいと~人生にもスパイスを効かせて~ VOL.12」

Tomi*さんの最適解

「Tomi*さんの最適解。 ・・・白髪とコムデギャルソンとヤフオクと」  マインド編②

YUKKEの「今日もラテンステップで♪」

YUKKEの今日もラテンステップで ~VOL.13

11月22日はカレー記念日

カレー記念日

落ちてゆく 枯葉のごとし 抜け毛かな

11月22日はカレー記念日

Jane

投稿はこちら

カレー記念日とは?

加齢を実感したら、それはカレー記念日。
抗ったり笑い飛ばしたりしながら、毎日華麗に加齢していきましょう。

あなたのカレー記念日も、教えてください。
五七五七七形式で、下の句は「○月○日はカレー記念日」なので
上の句の五七五だけ送ってね!

日付は掲載日に変えさせていただきます。

みんなのカレー短歌 一覧 >>

よもじ猫

自己陶酔

猫No.neko97  by YOYO

猫大表示&投稿詳細はこちら!

自己陶酔

猫No.neko97  by YOYO

よもじ猫とは…

全世界初!?四文字熟語と猫のコラボ!

「よんもじ」と猫がペアになって、ランダムに登場します。
ふだん着の猫の一瞬を楽しむもよし、よんもじをおみくじ代わりに心に刻むもよし。
猫が好きな人も、そーでもない人も、よもじ猫の掛け軸からタイム&ライフトリップして、ときどき世界を猫目線で眺めてみませんか。

みなさんの猫画像の投稿をお待ちしています。

投稿はこちらからどうぞ

カイゴ・デトックス 特設ページができました

Member's Twitter


  • カリーナのBILOGはこちら!「ともに生きる。

  • ZOOMでプライベートレッスン、リモート英会話AQUA
  • BLOG版 ウチの失語くん
  • 植松 眞人さんの本がでました♪「いまからでも楽しい数学―先生と数学嫌いの生徒、35年後の補習授業」
  • 「出前チチカカ湖」連載中 まゆぽさんの会社「シリトリア」

Page up