虹が二重に架かっていた。
家人がスマホに写真を送ってきた。知人から送られてきた写真だという。見ると、空に虹が架かっている。
虹というのは不思議なもので、妙に気持ちをワクワクとさせる。雨上がりの空に架かるものだから、なんとなく晴れやかな気持ちになるのはもちろん、やはりいくつもの色をともなって現れるというところが、少し心を弾ませるのかもしれない。
ところが、その虹の写真は普段見る虹よりも少し幅広く見える。どういうことだろうと目をこらすと、それは二重に架かった虹だった。
本当に虹が二つかかっているのか、ひとつの虹が光の反射か何かで二つに見えているのか、それはわからない。わからないけれど、その虹は二重になって写っていて、空を彩っている。
虹は七色に彩られていると言われるけれど、実際にはいくつもの色が混ざり合い、境界が曖昧なので、よくわからない。よくわからないくらいに混沌とした色が、確かに空にあり、それが撮影され、僕の手元に届けられた。
良いことがあるんだろうな、と思う。世の中には、無数の良いことと悪いことがある。そして、良いことも悪いことも、自分の目の前で起こらなければ気がつかない。気がつかないけれど、それはきっと起きていて、その中の一定の割合がちゃんと自分の目の前で起こるのだと思う。
この二重の虹は、僕がこの目で実際に見た虹ではない。けれど、誰かがその虹を見て家人に送り、家人が僕に届けてくれた。たぶん、それだけで、この二重の虹は「僕に起きた良いこと」のひとつになったのだと思う。
虹が架かったこと。しかも、それが二重だったこと。その二重の虹を見た人がいたこと。それを写真に撮ったこと。撮った虹の写真を僕の家人に送ってくれたこと。送られてきた虹の写真を僕に送ろうと思い、実際に家人が送ってくれたこと。
そして、いま、僕のスマホに青空に架かった二重の虹の写真がある。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在、神楽坂にあるオフィス★イサナのクリエイティブディレクター、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。
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