「ほめられたいんでっせ、奥さんに」と草若師匠は言う。
NHKの朝ドラ『ちりとちん』を久しぶりに見る。もう10年も前の作品なのにいま見ても面白い。伏線が見事に張られていて、見返せば見返すほどに、その見事さに感嘆する。
その中で、余命短い落語の師匠、草若(そうじゃく)さんが愛弟子の母である糸子さんに会いに行く場面がある。演じているのは渡瀬恒彦と和久井映見。「うちのお父ちゃんが賞をもろたんです」と糸子。「そら嬉しいことですなあ」と草若。その時、国からほめてもらったと喜ぶ糸子に草若は「何言うてはりますねん。奥さんにほめられんのが、いっちゃんうれしいんでっせ」と草若が答えるのだ。
「そうですか?」と怪訝な表情の糸子に「ほんまですがな。男はみんな、ほめられたいんでっせ、奥さんに」と優しく笑うのだ。すでに女将さんを亡くし、自分も余命幾ばくもない草若がいうと余計に切ないセリフだが、その通りだなあ、と思う。
たった一人、だれかにほめられるなら、総理大臣よりも嫁にほめられた方が嬉しいに決まっている。
SNSで、いろいろ小出しにしながら「いいね」の数を競っていても、所詮、みんな他人だ。その瞬間、孤独から救われることはあっても、そこで終わる。下手をすると、もうひとつ深い孤独の底へと放り込まれる。
別に小さなところで満足しろと草若師匠は言ってるわけじゃない。まず、嫁さんを笑わせてみなはれ。自分の嫁さんも笑わすことができんで、他人さんは笑わされへん、と言うことなんだろう。そう思う。そう思うけれど、隣で小さくいびきをかいて寝ている嫁を見ていると、こりゃなかなか手強いぞ、と思うのだった。
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト:オフィス★イサナ
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