空を低く飛ぶ夢
新年に見る夢は一富士二鷹、三茄子がいいと聞いたことがある。聞いたことはあるけれど、実際に富士山や鷹や茄子が夢に出てきたことはない、と思う。そして、誰かから「おいおい、今年は新春から富士山に登ってる夢見ちゃってさあ。こりゃいいことあるぞ」なんて話も聞いたことがない。
僕が新春によく見る夢は前にも書いた気がするのだけれど、空を飛ぶ夢である。この夢は必ず新春に見るというわけではない。春にも見るし夏にも見る。秋に見たこともあるので、ようするに一年を通して季節が決まっているわけではないのである。けれど、なんとなく、「新年から嫌な夢とかはみたくないなあ」と思っていたりすると、この定番の夢を見ることが多いのである。
僕が子どもの頃から見続けている「空を飛ぶ夢」は、みんなと通学している時に、みんなよりも少し上、手を伸ばせば届く程度の低いところをふわふわと飛んでいる夢なのである。調子が良いと屋根よりも少し上くらいまで飛べるのだが、油断すると、みんなの腰くらいの高さを飛んでいたりする。歩いた方が速いかもよ、という感じの妙な夢なのである。
以前、夢占い的なもので調べたことがあるのだが、そういう不安定に低く飛ぶ夢というのは「現実逃避したいと思っている」とか「プレッシャーを感じている」とか「地に足が付いていない」とか、わりにそういうことが書いてあったのだけれど、本人は気持ちよく低く飛んでいるので、個人的には僕自身の志の低さを表しているのではないかとにらんでいる。
さて、そんな夢を今年も見ることができたので、僕の2020年は多くのアスリートが金メダルを目指しているような中で、ただただ穏やかに暮らせるだけの稼ぎがあって、そこそこ笑っていられるくらいの楽しいことがあればいいなあと思っている。なにしろ。去年はストレスの多い毎日を送っていたので、今年こそは穏やかに穏やかにと願うばかりだ。新年第一回目である前回のコラムには書き忘れたけれど、みなさん、今年もよろしくお願いします。
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植松眞人（うえまつまさと） １９６２年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。 現在は、東京・大阪のビジュアルアーツ専門学校で非常勤講師も務める。ヨメと娘と息子と猫のマロンと東京の千駄木で暮らしてます。サイト：オフィス★イサナ
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Jane
おおっこれは私が小学生ごろから２０代にかけて実に頻繁によく見た夢です。その高度はまさに植松さんと同じぐらいですが、気持ちよく飛んではおりません。下には足を引っ張ろうとする群衆がおりますので、平泳ぎの動作で一生懸命空を泳いでおりへとへとです。時々屋根に座って休むことがありますが、そこには（現世で死んだ）子供がいたりして、話したりします。フルネームまで聞いたりしてとてもリアルです。そのまま公共の建物の中に窓から入ったり、他人の家の中に入ったりしますが、絨毯の色までこれまたリアルです。時々出るところが見つからなかったりして焦ります。沈んでいくブラックホールのような黒い夕日に向かって飛んでいることもあります。あまりに夢がリアルで、今日見た夢の続きを明日も見れたりするので、二つの世界に生きているような感覚です。現実世界で歩いているときにも魂が体から離れていきそうで、地面を踏んで歩いていないような、数メートル浮いて歩いているような気がしていました。夢はともかく現実の世界でのそういった症状は乖離状態だったようです。
あと私はラビリンスに迷い込む夢も頻繁に見ましたが、植松さんはどうですか？
そういった夢は大人になって夢自体見ることがほとんどなくなって見なくなりましたが、舞台に立ってセリフを忘れる夢と、大学の授業の教室が分からなくて授業に遅れそうで校舎内駆けずり回るという夢は、今でも時々見ます。
と書いてきて、私は人生道に迷ってる感が非常に強いのではないだろうか、と思いました。
uematsu Post author
Janeさん
よく似た夢ですね。
でも、僕の場合は子供の頃から先生によく言われた「やればできるに」というのを反映したかような気分で飛んでおります。
「もうちょい」と、力を入れると、ちょっと飛ぶ。でも、力を入れすぎると失速する。
楽しんでいるような苦しんでいるような。妙な気持ちです。
ラビリンス系は僕はないですね。
自転車の車輪を念力でとめる、という夢はよく見ます（笑）