先生!トイレ!
このコラムを読んでいる皆さんは、お気づきだろうか。今どき、授業中に「先生、トイレ行ってきます」というのはわりと普通のことなのだ。こっちは面を喰らって「えっ?さっきまで休憩時間だったのに?」と思うのだが、今どき、「別にいま行きたくないのだけれど、授業中に行きたくなったら困るから、休憩時間中にとりあえず行っておこう」というのは流行らないのである。
だって、あなた。トイレに行きたい時間なんて、それぞれの生活のリズムや体調によって変化するじゃないですか。だから、休憩時間に自分の体調を合わせるなんてもってのほか。体調に正直に、行きたいときに行けばいい、というふうになんとなく小学校時代から教え始めているらしいのである。もちろん、いまはまだ「ちゃんと休憩時間に行くように」という所もあるので、学生間でも「え?そんなんあり?」という意見もあって過渡期のようではあるのだが…。
個人的には、どっちでもいいです。正直。ちゃんと学んでいて、人の邪魔にならないタイミングをはかれるならホント自由にしてもらっていい。だけど、そんなにうまいタイミングなんてないから休み時間に行くように訓練する必要があるわけで。
問題は、我慢すると身体に良くないから、と自分のタイミングでトイレに行っていいよ、ということになると必ず「私も!」なんて一緒に行こうとする奴が現れるってことなのである。いやまあ、もしかしたら、本気で絶妙にタイミングがあったのかもしれないけれど、ほとんど場合は「あ、おれもツレション」とか、「○○ちゃんと一緒にいたい!」とか、そういうのが多いわけで。だけど、そういうときに「きみたち、ふざけちゃいけないよ」なんて、間違っても言っちゃいけない。そんなこと言おうものなら、卒業まで口きいてくれない学生が本当にいるから。
だって、学生からすると、「トイレに好きな時間に行っている」わけじゃなく、なるべく授業時間は行かないようにしようとは思っている。でも、僕たちのときのように、「授業時間にトイレに行きたくなってスミマセン」とは思っていない。だから、もし有無を言わさず叱られたりすると、「この先生は個人の個性とか、自由とかをどう思っているんだろう」ということになり、軽蔑され、なんなら私に恥をかかせた張本人として、鍵アカSNSで情報が回って、翌日から授業でもほとんど絡みのない女子学生からも挨拶されなくなるなんてことがある。これは実話。本当にあった怖い話しなのである。
今の時代の先生って、ほんと大変なんすから(三平師匠ふう)
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植松眞人(うえまつまさと) 1962年生まれ。A型さそり座。 兵庫県生まれ。映画の専門学校を出て、なぜかコピーライターに。現在はコピーライターと大阪ビジュアルアーツ専門学校の講師をしています。東京と大阪を行ったり来たりする生活を楽しんでいます。
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