どこへでも行けるということ: 切干大根とタコのサラダ
昨日は友人とランチに出かけました。
久しぶりに母と離れた、自分のための時間です。
母は、一人の時間が長くなると不安が大きくなってしまい、時に感情が爆発してしまうため、
私が単独で外出する場合には近くに住む妹に来てもらわなければなりません。
(父の存在について疑問に思われる方もいらっしゃると思います。その点は後日改めて)
でも、妹も仕事をしていますし、家族があるので、そうそう頻繁に頼むことはできません。
数時間のランチでこれなのですから、数日かけた旅行なんて今や夢のまた夢。
「もう、どこにも行けないのかな」と考えた時、ふと、ある人のことを思い出しました。
20年ほど前、私は、カナダのビクトリアという街で2年間暮らしていました。
ビクトリアってこんな街。
当時住んでいたのは、移民としてポーランドからやってきた女性が済む家の地下室でした。
地下室と言っても、芝生が敷き詰められた裏庭に面して専用の玄関がある半地下の部屋には
シャワールーム、洗面所、トイレ、キッチンもついていて、
大きなリビングとクイーンサイズのベッドがどかんと据えられた広いベッドルームがありました。
大家さんのニーナは、自分もカナダという異国にやって来て苦労をしたからでしょう、
英語もたどたどしい私にとても優しく接してくれました。
食事をご馳走してくれたり、テラスでのお茶に招待してくたり。
ニーナの料理は絶品です。
ある日、彼女がカナダへ移り住んだ事情について話してくれました。
共産主義下のポーランドで、建築士としてイギリスへの渡航経験もあった彼女とご主人は、
特に強い監視のもとで暮らしていたそうです。
以前取得したパスポートは没収され、電話は盗聴されていたといいます。
ところがある日、ほんの数日間だけパスポートの発給が行われることになりました。
なぜそういうことになったのかは、ニーナにもわからないそうです。
彼女たちは、その時赤ん坊だった息子のものも含め、3人のパスポートを申請しました。
意外にも夫婦のパスポートは簡単に発給されましたが、息子のものがなかなか発給されない。
もうダメかとあきらめかけた期限ぎりぎりの段階で、やっと家族最後のパスポートが発給されたのです。
3通目のパスポートを手に入れた家族は、最低限の荷物を持って車で家を出ました。
超えられそうな国境を探して、走って走って、ここならもう大丈夫と思える土地へ達した時、
彼女たちは最初に見つけた警察署へ駆け込んだそうです。
諸々の手続きを経て、移民として海外へ移り住む許可が下りた時点で
移民先としてアメリカをはじめとするいくつかの国が彼女たちに提示されたそうです。
そして、彼女たちはカナダを選びました。
「なぜカナダを選んだの?」という私の質問に
「ポーランドで暮らしてた時、カナダに関するニュースを耳にしたことがほとんどなかったの。
大きなニュースがないということは、平和で安全な国なのだろうと思った。
来てみたら、やっぱりいい国だったわ。」
と、ニーナは答えました。
そして、私の目をしっかりと見て
「行きたい場所へ行けるということは、決して当たり前のことじゃないの。
すごいことなのよ。
あなたは自分の意志でここにいる。
自分の意志でどこにでも行ける。
色々な場所へ行って、色々な人に会って、色々な物を見なさい」
ランチにも行けやしないと嘆く今の私を見たら、
ニーナは何て言うだろう?
あの日、親や兄弟たちと離れてカナダへ逃げ、
数年前、病に倒れた母親を見舞い介護するためにカナダとイタリアを往復した
彼女は何て言うだろう?
ありがたいことに、20年前にビクトリアでお世話になった人たちとの縁はまだ続いています。
どんな形であれ、いつかまたどこへでも行ける時がやってくるだろうと思うと、
またビクトリアの街で彼女たちと美味しいものを食べられるように頑張らなきゃね
と思うミカスなのです。
さて、今日のレシピは、そんな話とは関係のない「切干大根とタコのサラダ」です。
全く関係ないだろ?(笑)
またもや、ご紹介するのが恥ずかしいくらいの簡単レシピであります。
『切干大根とタコのサラダ』
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大人になればなるほど、色々な理由で自由が狭まってきます。
「自由って一体何だい?」なんて歌っていた尾崎豊がちゃんちゃらおかしく思えるほどに。
ああ、大人って面倒だよね。
でも、「もうっ!!」って思ったときはぜひオバフォーの中をあちこち探索してみてください。
同じように「もうっ!!」って思っている人や、
「わかる、わかる」って言ってくれる人の言葉に出会えるかもしれませんよ。
ミカスでした。
アメちゃん
ミカスさん、こんにちわ!
私、30年くらい前カナダへ旅行したときに、ビクトリアへ行きましたよ!
フェリーで日帰りでしたけど
お花でいっぱいの大きな公園?に行きました。
ガイドブックに載っていたバグパイプを吹くおじさんが
ちゃんと写真通りにいたので(たしかビクトリアだったような・・)
「わー、おじさん居てる!」って思いました。
マイケルムーア監督の映画で
いつまでも銃を手放せないアメリカと対比して
カナダはとても安全で、玄関の鍵を開けたままでも大丈夫(←ほんと??)と
インタビューされてたカナダ人が言っていたような記憶があります。
カナダって自然も大きいし、人間もおおらかなんでしょうかね。
私の父も、少し老人性のウツっぽいのですが
私がたまに実家に帰った時に、みんなで喫茶店にコーヒーでも、、と思い誘うと
行かないと言います。
私はせめて母の気分転換になれば、、と思ってるのに
でも、父1人残しては、、ということもあり、むずかしいですねぇ~~;) 。
ミカス Post author
アメちゃんさん
こんにちは!
ビクトリアへいらしたのですね。
お花でいっぱいの公園は、ブッチャートガーデンですね。
ビクトリアは花の街とも呼ばれていて、ブッチャートガーデンのみならず、
一般家庭のお庭を見せていただくツアーもあるんですよ。
バグパイプのおじさんがたたずむダウンタウンも、街灯にフラワーバスケットがぶら下がっていて、
特に、春から夏は街がとてもカラフルになります。
さすがにカギはかけますが、
確かにアメリカと比べると安全かもしれません。
アメちゃんさんがおっしゃるように、おおらかで明るい人が多いですね。
大半の人がフレンドリーで親切です。
ただ、最近は物騒な事件も増えているようですよ。
誘っても行かないとおっしゃるお父さま、うちの母に似ています。
母も、老人性うつの傾向があり、あまり前向きになれない時は
「行かない」「行けない」「やらない」「できない」です。
ただ、母の場合は波があって、日によっては機嫌よく外出することもあります。
お父さまは気分に波はありますか?
ちなみに、母は、お医者様いわく「やる気の出る薬」という軽い抗うつ剤を飲んでいます。
それを飲むようになってからは、少し「やる気」が出て、家事などをするようになりました。
あと、それまでしきりと腰が痛いと愚痴っていたのがぴたりと止まりました。
日頃一緒に過ごされているお母さまも大変ですね。
気分転換をさせてあげたいというアメちゃんさんの気持ち、よくわかります。
アメちゃんさんが帰って来てくれて、お喋りできるだけでも
お母さまにはいい気分転換になると思いますよ。
私も妹が来てくれて、母と3人になるだけで少し気持ちが楽になりますから。
こりんご
作りました!
ミカスさんはじめまして。
切り干し大根がたくさんあり、娘がタコ好きなので早速タコを買いました。80歳の母の舌に合わせて砂糖・しょうゆ・酢・ごま油に少しマヨネーズを足しました。母にも娘にも好評でした!
認知症の父は介護付有料老人ホームに入ってもらいました。糖尿病ですが、外食したがります。「ステーキ食いたい」と言われます。ステーキねぇ。私は食べたくないなあ。フォルクスでも連れていこうかしら。
ミカス Post author
こりんごさん
はじめまして。
切干タコサラダ、作っていただいてありがとうございます。
また、こりんごさん流アレンジ、参考にさせていただきます!
お父様、ステーキ希望とはお元気ですね。
65歳以上はお肉をたくさん食べたほうが筋肉や体のエネルギーにいいそうですよ。
糖尿病に影響がない程度のお肉を楽しんでいただくのもいいですね。
こりんごさんに連れて行ってもらうだけでもお父さま喜びますよ、きっと。