人違い : 新じゃがとひき肉の煮物
後ろ姿は確かにMちゃんだと思ったんだ。
特徴のある背格好といかにも彼女らしいファッション、
髪型もいつものMちゃんと全く同じ。
これだけ条件が揃って何を疑う必要があるだろう。
私は「Mちゃん!」と声を上げ、おーい!と掲げた右手を振りながら、
その後姿をめがけて走り出したのだけど。
近づく私の気配に気づいて振り向いたその顔は…別人。
それでも、走り出してしまった私の体と心はもう止められない。
っていうか、引っ込みがつかないよ(泣)
というわけで、掲げた右手を下すタイミングもつかめないまま、
「私、人違いなんてしてませんよ」と言わんばかりに
小走りでMちゃんのそっくりさんを追い越して
それでも手を振りながら「Mちゃーん!」と走り去った私の後姿は
あの人の目にはどんなふうに映っていたのだろう。
今思い出しても可哀そうな私。
という具合に人違いをしてしまうことも時々あるのだけど、
それ以上に私は人違いされることの方が多い。
しかも、私を誰かと勘違いするのは人間じゃなくて犬。
つまり、私は犬から人違いされたことが何度もあるのだ。
犬が人違い?と疑問に思う人はたくさんいるだろう。
するのだよ、犬も人違いを。
ある日バス停に立っていたら、中年の女性が中型犬を連れてやってきた。
そのまますんなり通り過ぎていくだろうと思っていたのだけど、
犬は女性を軽く引っ張るように小走りになり、まっすぐ私の元へと近づいてきた。
そして、まるで久しぶりの再会を喜ぶかのように私に飛びついた。
そしてそのまま私揉みくちゃ。
嫌いじゃないよ、犬。むしろ好きだよ。
でも、いきなりここまでフレンドリーにされたのは初めてで、もう何が何やら。
<オレ、オマエしってる、きがする>
すると、女性が
「違うのよ〇〇ちゃん!(犬の名前)
よーく見てごらんなさい! お姉ちゃんじゃないのよ!ほら、違うでしょ?!」
そしたら、犬、我に返ったように私の顔をまじまじ見て
「ほんとだ。ちがう」という表情でテンションダウン。
カナダでも似たようなことがあった。
海辺の散歩道を気持ちよく歩いていた私に、正面からやってきた犬がいきなりジャンプ。
飛びついたかと思ったら、またもや私揉みくちゃ。
しかも、嘗め回されてべろべろ。
犬を連れていた女性は必死に謝りながら
「〇〇、違うのよ! これは違う人なの!」
またかよ・・・
「でもおかーさん、あのひとそっくりだよ。ねぇ、ほんとうにちがうの?」
後ろ髪を・・・いや、しっぽを引かれるような顔で振り向き振り向き、
去っていく犬。
<I know you, I think.>
私は一体誰と人違いされたんだろう。
そして、どうして犬ばかりなんだろう。
私の容貌は犬の資格に訴えかける何かを持っているんだろうか。
こうなると、異性にウケるメイクだの、大人のモテファッションだのに興味は湧かない。
犬。
犬からどう見られるのかが私にとっては最も重要。
見た目と言えば、最近、新じゃがの見た目が気になる。
新じゃがって小ぶりなものだと思っていたけれど、
最近の新じゃがは通常期のものと同じ大きさで、新と旧(って言うのか?)を
間違ってしまいそうになるのね。
「新じゃがじゃん!」って喜んで飛びついたら
「それは違うでしょ!」って言われてテンションダウンみたいな。
私はそのまま調理できる小さな新じゃが好きなんだけどなぁ。
というわけで、今日の一品は『新じゃがとひき肉の煮物』。
『新じゃがとひき肉の煮物』
- 新じゃがはできるだけ小ぶりなものを選びましょう。
皮をむかずに使うので、しっかり洗って水をふき取っておきます。
大きめのものは半分に切ります。 - 鍋に多めの油を引き、1を加えて炒めます。
本当は油で揚げた新じゃがを煮たいのですが、揚げるのはちょっと面倒。
なので、多めの油でしっかり炒めます。 - 砂糖、しょう油、みりん、酒、水を加え強めの中火で加熱します。
- 煮汁が沸いたら火を弱めの中火にして、ひき肉を加えます。
- ふたをして加熱。時々あくをすくいましょう。
- 楊枝や竹串をじゃがいもに刺してすっと通るようになったら、ふたをとって
煮汁がほぼなくなるまで煮詰めます。できれば、火を止めてからしばらく置いて、
味をしみ込ませましょう。
それにしても、あの犬たちは私を誰だと思ったのか。
その人、そんなに私に似ているのかなぁ。
気になって仕方がない・・・
ミカスでした。
匿名
いつも楽しく読ませていただいています。
人違い…人間バージョンと犬バージョン…ミカスさんのしまったというお気持ち伝わってきて笑えました。私、両方経験があるのですよ〜。
一週間ほど前、駅で「〜さんではないですか?」と声をかけられました。旧姓でもなく、親戚にも心当たりがなかったので、「違いますけど」とお答えしました。ここからがその方の素晴らしいところです。「その方もキレイな方だったので。失礼しました」〔も〕ですよ。家族に自慢したのは言うまでもありません。
犬バージョン・・・家族以外身体を触らせない、誰も寄せ付けない、ワンコのシャンプー屋さんにも断られる ノット フレンドリー ドッグ こういう言い方あるのかしらん? 我が家のルイが、散歩の途中で、急に尻尾を振り、家族以外には発しない 甘えた声を出し、知らない人めがけて走っていく。ルイも近づいたら知らない人と分かったのか急ブレーキ。「アンタ誰と間違えたの」という私の言葉にミカスさんと同じような《しまった》オーラを見た気がします(笑)
新ジャガ美味しいですよね〜。私が育った家ではあまり新ジャガを食べる習慣がなかったのですが、夫は大好きで、甘辛くほっくりと煮たものや、皮付きのまま茹でたものなど、作ります。新ジャガは小さいものと夫は思い込んでいます。今度は挽き肉と煮てみます。鶏手羽元のガーリック焼きやキムやっこ、ブロッコリーの肉巻きフライなどは定番になりました。
また、ミカスさんちのオカズ 教えて下さいね。
匿名
モリミーでした。
ミカス Post author
おや?匿名さんですか?(笑)
それにしても、「その方もキレイな方だったので。失礼しました」って素敵ですねぇ。
なんて洒落た対応でしょう。
私もそんなこと言われてみたかったなぁ、犬に。
そしてルイちゃんの「しまった」感、よーくわかります(笑)
新じゃが、皮の甘い香りがいいですよね。
皮ごと、そして丸ごと食べるには小さいものがいいのですが、
最近はあまり見かけないような気がします。
本当に普通の家のおかずですが、試してくださる方がいるのはうれしいです。
これからもよろしくお願いします!
ミカス Post author
というわけで、匿名さんはモリミーさんでした!
まぁ
ミカスさん、こんにちは。
そうだったのか!と膝を打ちました。
以前私も同じような経験をしたことがあります。
お散歩中くるっと振り返ったヨークシャテリア君に
「えっそこにいたの?いたの?いたのーっ!」と突進してこられ舐めまくられた経験があるのです。
あまりの猛攻に私も興奮して撫でまくったのですが(あぁ幸せ)飼い主さんも
「うちの子がこんなことするなんて初めてなんです」
ってビックリされてまして、ずっと何だったんだろう?と不思議に思ってました。
私には何か犬を引き寄せる力があるのかも、とひそかに喜んでいたのですが…
そうか、人違いだったんですね。
テリア君にしまった感はなかったけどそう考えれば合点がいくような…あぁがっかり。
でもこんな人違いなら大歓迎です。
また間違えてくれないかなぁ。
ミカス Post author
まあさん
同じ経験がありましたか!
でも、そこまでまあさんにじゃれてくれたということは、人違いというよりまあさんにフォーリンラブだったのかも。
またどこかで出会えるといいですね。