終わらない:麻婆ズッキーニ
グループホームに入所した母の不穏が続いています。
一時はあちらの環境にかなり馴染み、お友達もできて安定した毎日を送っていたのですが、最近、様子が変わってきました。
ホームのスタッフさんによると、「どうして私はここにいなきゃいけないの?」「いつ帰れるの?」と泣いたりごねたりすることが増えたのだそうです。
朝の体操やレクリエーションに参加せず、部屋にこもることもしばしば。
もちろんホームのスタッフさんたちは心配をするわけです。どうしたら母がまた落ち着いた状態で過ごすことができるのか。
ホームで往診をしてくださる内科のお医者様から、もしかしたら最近増えた(正確に言うと、止めていた薬をまた飲み始めた)薬が原因なのではないかというお話がありました。その薬は物忘れ外来から処方されているものなので、まずは内科で検診を受け、全ての体の値を調べ上げてからその結果と内科の先生の手紙を持って物忘れ外来へ行くことになりました。
母が健康だったころには考えられなかったけれど、今は検診ひとつに連れて行くのも容易なことではありません。何のために病院へ行くのかも、理解したところでその数分後には忘れてしまう。色々な検査を受けたにも関わらず、私が先生と話をして診察室を出ると「あなた、どこが悪いの?」と、私が診察を受けに来た話になってしまっているのです。
とはいえ、それくらいのことは何てことはないのです。(いや、ちょっと大変だけど) 問題は、どうしたら母がグループホームで過ごすことを本能で受け入れてくれて、極力穏やかな毎日を過ごしてくれるのか、ということ。
落ち着いて過ごしてくれることで、できるだけ長くホームで過ごさせてもらえるようにしたいのです。
母をホームに入所させたのは、私が一人で母の世話をすることに限界を感じたからでした。なのに、母を入所させてからは「母の居場所(家)を奪ったのではないか」と罪悪感に苛まれ、でも、母がスタッフさんの手を焼かせていると聞けば「ホームにいられなくなってしまったらどうしよう」と不安でたまらなくなる。
介護をしていると、どんな状況であれ、自分の軸足が一体どこに置かれているのががわからなくなって途方に暮れてしまうのです。
私は一体何を望んでいる? いや、私の望みなどは二の次にするべきなのか?と。
母がグループホームへ入所してくれたことで、私の心身は大分楽になりました。いくら仕事とはいえ、私が全うできなかったことを細やかにやって下さるスタッフの皆さんのおかげです。本当にありがたい事です。
それでも、母に関する悩みや問題が全くなかった頃に戻れたわけではありません。ホームからの着信があれば心臓を掴まれるような思いをし、不測の事態があればタクシーで駆け付け、今日は大丈夫だろうか、明日は大丈夫だろうかという不安は消えません。
たとえプロの手に託したとしても、介護が終わるわけではないのです。
贅沢だと言われるかもしれません。子供なんだから親のことを案じるのは当たり前、親不孝者め、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
介護する者は、全てを無しにしたいわけではありません。いや、罪悪感も含めて全てを無しにすることができたならどんなに楽だろうなあ。でも、無しになるなんてありっこないとわかっています。
介護者の不安や恐れに終わりはありません。
とここで、話はがらりと変わりますが、前回お話ししたように、今月のミカ料は 『追悼・ズッキーニ祭り』 を開催しています。生産過剰によって廃棄処分されるズッキーニを供養するために、とにかくズッキーニを食べよう月間でございます。
今日の一品は『麻婆ズッキーニ』です。
野菜で麻婆といえば茄子ですが、割と身がしっかりしているズッキーニでも美味しくできるのではないかと思い、作ってみました。
麻婆ズッキーニ
- ズッキーニを7センチくらいに切り分け、それをさらに1/4もしくは1/3 (ズッキーニの太さによる)の縦割りにします。
- にんにくと生姜をみじん切りに、長ねぎを小口切りにします。
- フライパンに油、にんにく、生姜を入れて火にかけます。
- にんにくと生姜の香りが立ってきたら、豆板醬を加え、しっかり火を通します。豆板醬は辛みの元なので、量はお好みで調節してください。
- 4に豚ひき肉を加えて炒めます。私は、さっぱりと仕上げたいときは鶏ひき肉を使います。
- ひき肉に火が通ったら、水、鶏がらスープの素、オイスターソース、醤油、砂糖少々を加えます。
- 調味料が混ざり合ったら、1のズッキーニを加えます。
- ズッキーニにある程度火が通ったら、水溶き片栗粉を加え、全体を大きく混ぜ合わせるようにしながら加熱してください。
片栗粉でとろみをつける場合、十分に加熱しないと火からおろした後にとろみが消えてしまいます。 - とろみがついたら出来上がり。こってりと仕上げたい時はゴマ油をひと垂らしするとコクが出ますよ。
終わりのない不安や恐れ、介護者がそれを時に嘆くこと、正直に表現することを許し、受け止めて下さる人たちに私は心から感謝します。
また、介護者がつぶれてしまわぬよう手を差し伸べて下さるプロの方々の働きにはただただ尊敬の念しかありません。
私たち介護者はあなたたちに救われています。
本当にありがとう。
ミカスでした。
江ノ島カランコロン
ミカスさん 書いてくれてありがとう。
ミカス Post author
江ノ島カランコロンさん
読んでくださって本当にありがとうございます。
はしーば
こんにちは。
どうか、少しづつでもミカスさんに心の平穏が訪れますように。
「追悼・ズッキーニ祭り」ですが、我が町では、ちっこいのが@150したりで祭り感ゼロです。
が、ミカ料に釣られて作って、なかなかの評判だったのが「ズッキーニ・ラペ」でした。
甘酢+塩+胡椒+オリーブオイル
+煎り胡桃←これが決め手❣️
次は麻婆だ!
ミカス Post author
はしーばさん
ありがとうございます。
介護が続く限り、なかなか落ち着くことはできませんね。とはいえ、介護はしていないけれど、違うもやもやを抱えている方もたくさんいますものね。人生は大変だ!
ズッキーニ、安くなっていませんか。
こちらでは、3本まとめて袋に入って198円なんて、以前と比べると驚くような値段です。
ズッキーニラペって、可愛い響き。炒り胡桃!ステキ!
ひろっくま
ミカスさん
私は仕事柄、介護する側の方の話を聞くことが多いのですが
「介護が始まったら、介護をする人を主役に」とお伝えします。
何回も何回もお伝えしています。
自分の体力も気力も、後回しにしがちです。
突発的な事に自分の都合を合わせたり
子どもの時の親とは違う「親」にびっくりしたり
体も心も現実に付いていけないことも多いと思います。
私は10数年父の闘病に付き添ってきました。
一緒に歩いてきたとは言えない遠隔介護に近いものです。
なのに私は無理がたたって、病気になってしまいました。
今は全く実家に帰れていません。
人には言えることが自分には言ってあげられていなかったと
反省しています。
ミカスさんのお母さま、
本能的なところでの一番の願いは
ミカスさんの心や体の健康なのでは、と思えます。
ミカスさんの心温まる文章を読んでいてそう思います。
そうはできなくても、いつも、時々でも
「自分を主役に…」って心に思っていてくださいね。
ミカス Post author
ひろっくまさん
ありがとうございます。
ひろっくまさんが仰るように「自分を主役に…」が大切ですね。介護をしていると、どうしても、自分を主役になんてしてはいけないと考えてしまいますが、主役にしていいんだ!と、どこかで吹っ切らないとダメですね。