捨てられない記憶:美味しい漫画#3
ドラマ「生きるとか死ぬとか父親とか」を見ています。
原作はジェーン・スーさんが書いたエッセイ。
吉田羊さんが、スーさんをモデルにしたラジオパーソナリティ蒲原トキコを演じています。(羊さん、スーさんにそっくり)
先週の金曜日に放送された第二回「老いるとか思い出とか」は、トキコとトキコの父親哲也が、バーバと呼ばれるトキコの母方の伯母のお見舞いに行くというお話。
高齢者施設と思われる建物のホールのような場所で、たくさんの入所者さんの中でぼんやりと車椅子に座るバーバ。トキコと哲也の顔を見た瞬間、その顔にはじけるような笑顔が浮かびました。「来てくれたの?!」
あぁ…と胸が痛みました。
ホームに入所しながらもコロナウイルスのせいで面会できない母と伯母のことが浮かんだのです。
その後、バーバのお葬式。お気に入りだったオレンジ色の口紅を棺の中に入れたいとトキコは葬儀社の人に頼むのですが、プラスチックや金属は入れられないのだと断られます。「こんなに小さなものなのに」と食い下がる哲也。
その直後のトキコのラジオ番組にとある相談のメールが届きます。
祖父母の家で亡き伯母の部屋に住むことになった女子大生が、部屋に残されている伯母の遺品を捨てたいが、どうしたら祖父母を説き伏せることができるのか教えて欲しいと。
トキコの回答が胸に突き刺さります。
「ゴミじゃないんです。他人から見ればゴミに見えるものでも、遺族にとっては大切な記憶なんです。使い道はないけどゴミじゃないってものが、世の中にはあるんですよ。人間には捨てられない記憶があるんです」
以前、ジェーン・スーさんのラジオ番組でメールを読まれたことがあります。
その日のテーマは「なかなか捨てられないもの」。
「グループホームに入所した母の衣類や靴が捨てられない」という私のメールに、スーさんは「捨てられないよね。それは捨てられないよ。私、24年前に亡くなった母の洋服、まだ持ってるもの。何度か引っ越したけど、ずっと持って歩いているもの」と。
持っていたからどうなるというものではないのです。でも、捨てることができない。それは、それがただの物ではなくて、決して捨てることができない記憶と共にあるものだから。
母たちの実家と言ってもおかしくはない横浜の家が、ついに人手に渡りました。
それまで何度か残されたものの片付けに行ったのですが、妹と2人で行った時の事、持ち出す荷物と処分する荷物の分別が粗方終わった時に妹がふと呟きました。
「本当は、鉛筆1本だって置き去りにはしたくない」
鉛筆なんて、と思う人はたくさんいると思います。でも、おそらく妹は鉛筆の話をしたのではないのだと思います。その鉛筆を買った、使った、亡くなった伯母のこと。その伯母のあとを継ぐようにその家に引っ越し、今は施設に入所しているもう1人の伯母のこと。そして、その家で皆で過ごしたあの楽しかった時のことも、家の中にあるすべてのものが見ていて、知っていてくれたような気がするのです。だから、たとえ小さなものでも、それを置き去りにすれば私たちの思い出が置き去りになってしまう。そう、私たちには捨てられない記憶があるんです。
さて、『美味しい漫画』も今回で3回目。前回に続き、料理男子が主役の作品を
をご紹介します。
『鹿楓堂よつろい日和』です。
お茶担当、ラテアート担当、スイーツ担当、料理担当という4人のプロフェッショナル(もちろんイケメン)が働く和風喫茶 鹿楓堂(ろくほうどう)が舞台のこのお話。4人は、それぞれの客が抱える悩みを、美味しい料理やお茶を提供しながら解決していきます。大きな事件が起きるわけでも、胸キュンなラブロマンスがあるわけでもないのですが、「美味しいものって心のエネルギーになるよね」と思わせてくれるお話です。
最新刊に出てくる料理は、おむすび、水餃子鍋、抹茶ケーキ、スモアなど。詳しいレシピが書かれているものもありますが、ストーリーの中でなんとなく作り方が説明されているだけのものもあります。それはそれで少し想像を働かせて自分のレシピに作り上げていくのもまた楽しい。
イケメン、美味しい料理とお茶、素敵なセンスの和風喫茶…これ以上何を求めるものがあるでしょうか。いつかこんなお店をやってみたいなぁ、なんて考えながら読んでいる私です。
ミカスでした。
爽子
お邪魔いたします🎶
わたしも、祖母が遺影で着用していたセーターと眼鏡を大切に持っています。
自分の荷物は少なくしないといけないなあ、、、と常々思ってはいますけれど。
和風喫茶、良いわー。
開店の際、メニューとかお品書きはお任せあれ。
それからお運び担当いたします。
楽しみになって来た〜。
ジェーン・スーさんのドラマ、見ました。関西では放映の曜日が違うんですが。
オレンジの🧡大好きなバーバでしたね。
ミカス Post author
爽子さん
そうなのよね、自分の持ち物は極力減らさなきゃと思います。
死んだ後にほとんど何も残らないくらいに。
和風喫茶、どんな感じか是非「鹿楓堂よつろい日和」読んでください。
鹿楓堂のようなお店をオープンした暁には、壁に爽子さんの絵を飾ります。
もちろんお品書きもお運びもお願いしますね。
ドラマ、関東ではテレビ東京で金曜日の深夜です。
遅い時間なので毎回録画ですが。
そちらは何曜日なのかしら。
爽子
関西では月曜深夜です。
同じ時間帯を探して、一回目を見逃してしまいました。
ま、いいけど。
ミカス Post author
爽子さん
地域によってテレビの放送日時って結構違いますよね。
1回目はどんな内容だったかなぁ。
アメちゃん
ミカスさん。爽子さん。
そうですよねぇ。捨てられないですよ。
もし母がどうかなった後に、実家を処分となったら
母が使ってたもの、どれも捨てられないなぁと思います。
鏡台や箪笥なんかは、私自身にも子どもの頃からの思い入れがあるし・・。
父が亡くなったとき、入院中に使ってたバスタオルを一枚
持って帰りましたよ。もちろん使わずに置いてます。
生きてた時は、父の服とか触りたくないーって(思春期か・笑)
思ってたのにですね。
不思議ですね。
ミカス Post author
アメちゃんさん
ひとつひとつの物に思い出がありますものね。
捨てられないですよね。
お父さまのタオルの話、とてもよくわかります。
入院中に使っていらしたということは、おそらくお名前が書かれていたりして。
それを見るたびに入院中のお父さま、お元気な時のお父さま、色々と思い出されるでしょうね。
kokomo
ミカスさま、
ジェーン・スーさんのラジオでの回答覚えています。
あの投稿はミカスさんでしたか。
亡くなった人のもの、その人の一部を捨ててしまうような気がして、そしてその人との記憶を消去してしまうような気がして、捨てられません。
妹さんの言葉から、ミカスさんや妹さんがその家で温かい時間を過ごされたのだということがよくわかります。
自分のものは元気なうちに自分で処分と思うのですが、処分するタイミングが早すぎたのか、捨ててしまったもののことばかり考えているという方もいて、これもまた難題。
ミカスさんが紹介している『美味しい漫画』、今のところ一つも読んだことがありまん。一つずつ読んでみますね。料理の漫画といえば私はアレかな。来週紹介予定のものとかぶっているかも、ということで来週楽しみにしています。
ミカス Post author
kokomoさん
あの日の放送を聞いてらしたのですか⁈
しかも、しっかりと覚えていらしたとは。
その人の一部、その人との記憶、捨てられないですよね。
ガーデニングの仕事をしている従妹は、「うちの庭にさしてみる」と、あの家の庭からいくつかの植物の枝を持ち帰りました。大きくなってまた花が咲いてくれたらうれしいのですが。
美味しい漫画、是非読んでください。
kokomoさんがおっしゃる「アレ」は、アレのことかな?
さて、来週私がどの漫画を紹介するか、お楽しみに!