懐かしみたくなんてない: きくらげとセロリと豚肉の炒め物
母の衣類を処分し始めました。
もう殆ど着る機会もないだろうし、処分すれば洋服ダンスやクロゼットにもかなりのスペースができるのをわかっていながら、なかなか手を付けられずにいました。
母のことが大好きだったというわけでもないけれど、むしろ嫌いな部分が多かったけれど、洋服を1枚1枚ビニール袋に入れながら、「これはあのショッピングモールで買ったんだっけ」とか「これは妹が『似あうから買いなよ』って薦めたんだっけ」などと色々なことを思い出しました。
あの頃みたいに、元気な母とランチや買い物に行けたらいいのに、なんてことを考えました。
この記事に書いた横浜の家、売却後すぐに解体されました。先日、何気なくGoogleマップのストリートビューを見てみたのですが、路地の角にあるこの土地へ向かって南側から進んでみたら果たして更地になっていました。ところが、北側から進んでみるとまだそこにあの家がありました。取り壊された家はもちろん、青々と葉が茂ったマユミの木もそのまま。ああ、売らずにみんなで維持する方法もあったのだろうかと、なんとも言えず切ない気持ちになりました。
最近、とある芸能人が昔住んでいた街を久々に訪れて散歩をするという番組を見ました。「ずいぶん変わったなぁ」と駅前を歩いて、思い出の建物があった場所にたどり着くと、そこは更地に。するとその人はその土地を眺めて言いました。「年を取ると、思い出がどんどんつぶされていくね」
昔を懐かしむという行為は時に美しいものですが、時にとてもしんどいものです。
戻ることのできない遥か後方をうっとりと眺めるような、しがみつくような自分に嫌気がさすことすらあります。
とはいえ、振り向くのは止めて前を向いて歩いて行こうと言い切れるほど私の前に伸びている道は長くはないような気もします。ああ、昔を懐かしみたくなんてない。
それにしても、どうして私は、母の持ち物を始末することにこんなに抵抗を感じるのでしょう。母はまだ生きているのに。何も予備知識のないままにこの記事を読んだ人は、私のことを亡き母の遺品を始末できずに悲しんでいる人と思うかもしれませんが、はい、母はグループホームで元気に生きています。
というわけで、先日、母をワクチン接種に連れて行った際、グループホームのスタッフの方が「これ、ここで栽培しているんですよ」ときくらげをくださいました。きくらげを栽培ってどういうこと?一瞬不思議な気持ちになりましたが、せっかくなので新鮮なうちに食べなきゃと思い、炒め物にしてみました。今日の一品は「きくらげとセロリと豚肉の炒め物」です。
きくらげとセロリと豚肉の炒め物
- きくらげは軽く洗って水けをふき取り、適当な大きなに切ります。
- セロリは斜め切りにする。葉の部分も使いましょう。
- 豚肉はポークソテーまたはとんかつ用に切られたものを短冊切りのようにカットし、
酒と醤油を揉み込んでおきます。 - 合わせ調味料を作っておきましょう。ボウルに、オイスターソース、醤油、酒、砂糖、水を合わせておきます。
- フライパンで油を熱し、3の豚肉を中火で炒めます。周りの色が変わるくらい火が入ったらフライパンから取り出します。
- 5のフライパンをさっと拭いて、改めて油を引きます。油が温まったらセロリを加えて炒めます。
セロリが固くてなかなか火が通らない場合は、酒を少々加えて蓋をして蒸し炒めのようにします。 - きくらげを加えます。きくらげは長時間加熱すると破裂するので、必ずセロリの後に加えるようにしましょう。
- 5の豚肉をフライパンに戻し、さっと混ぜ合わせたら4の合わせ調味料を加えて炒めます。
汁気がほぼなくなったら香りづけにごま油少々を加えて出来上がりです。
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テーマ: 『ミカスの愚痴、聞いてください』
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そしてテーマはなんと『ミカスの愚痴、聞いてください』。なんということでしょう?! ミカスが在宅デトックスを私的に悪用しようとしていますよ!
なんだかんだで4年以上続く高齢者介護。嫌だ嫌だと言いながらも続けてきましたが、最近なんともいえない虚無感に襲われている私ミカス。虚無蔵さんもびっくりです。こんな私に吐き出しの場を与えていただけないでしょうか。私が介護生活で出くわした疑問、御し難い感情、そして文句をすべて吐き出しますので、一緒に笑い飛ばしていただけないでしょうか。ミカスの駄弁に付き合ってやってもいいという方、ぜひご参加下さい。
もちろん、介護未経験の方も大歓迎ですよ。
一日遅れの更新、申し訳ありませんでした。
ミカスでした。
爽子
きくらげのフレッシュなのには、お目にかかったことがありません。
美味しそうです!
セロリは夫の苦手食材なのですが、わたしは大好きなんです。
このところ全く外出してくれないので、保守的なメニューに甘んじています。
これ、絶対作りたいわっ!
kokomo
ミカスさま、思い出は常に甘美なもの…であると嬉しいのですけれど。その人がいた場所がなくなったり使っていたものを処分すると、その人を思う自分の一部が消えてなくなるようで切なくなります。
父は、もう誰も住まないとわかっているのに自分の実家(私の祖父母の家)を処分するときばかりか、母の実家を処分するときにも異常なほどの拒否反応を見せました。土地や家に対する思い入れが強いのでしょう。私は小さいころから1~2年半での引っ越しを繰り返したので土地に対する思い入ってよくわからないんです。今のところに住んでそこそこの年数になるし、自分の人生で一番長く過ごした場所になってしまったのですが、まだ帰る場所が別のところにあるような、根無し草のような感覚です。いつか今住んでいるところに執着する日が来るんだろうと思いつつ過ごしています。
グループホームできくらげ栽培って面白いですね。私も理由を知りたい。実はきくらげ大好きで、今日のお昼のスープの具にも入れました。白きくらげではありますが、台湾風のかき氷やベトナムのチェーに入っているきくらげもloveです。でも、なんといってもおいしいのが炒め物。油を吸ったきくらげ最高。今回のお料理はセロリが入っていていいアクセントになりそう。作ってみます!
ぱろる
歳を重ねてから、料理のきくらげにときめくようになりました。
お皿の彩りを引き締めてくれる存在感とは裏腹に、味はなんともとりとめがなくて。
そのミスマッチがたまらなく好き。
いつも野菜炒めにしてるけど、
そうか、セロリ!
こういう組み合わせの妙が、That’s ミカスさんです✨
ミカス Post author
爽子さん
生のきくらげ、時々スーパーで出くわすけれど、そんなに頻繁ではないですね。
乾燥ものとは全く別物の食感です。
実は、母のグループホームと父のデイサービス・デイケアは同じ系列の施設なんです。
一昨日、昨日、そして今日と3日連続で父がもらってきましたよ、きくらげ。
ミカス Post author
kokomoさん
年を取れば取るほど、思い出の場所や家や時には人も少しずつ変わったり消えたりしていきますね。
お父さまのお気持ち、痛いほどわかります。
私も、売却した横浜の家には大人になってからはあまり行く機会もなく、でもいざ売却となるとなんとも切なくて、でも思い出にすがるような自分の嫌で、とても複雑な気持ちになりました。
きくらげ、どうやらグループホームと同系列の施設のどこかで栽培しているらしく、デイサービスに通っている父も3日連続でもらってきました。どうやらかなりの豊作のようです。
さすがに3日連続きくらげレシピは思い浮かばないです。どうしよう?(泣)
きくらげ、セロリ、豚肉、味付けはお好みのものでいいのでぜひこの三つ巴を楽しんで下さい。
ミカス Post author
ぱろるさん
きくらげにときめくようになったら大人ですね。(本当に?)
「とりとめのない味」確かに。きくらげは味や香りよりも食感を楽しむものなのかもしれませんね。
でも、その食感がたまらない。
セロリときくらげの炒め物、ぜひ一度試してください。
不思議な食感ですよ。