おじさんVSお母さん、そして私の心の声:新玉ねぎの甘酢漬け
2020年1月16日に国内初の感染者が確認されて以降、新型コロナウイルスは瞬く間に日本国内に広がった。マスクの着用、手指の消毒、ソーシャルディスタンスの確保が要求され、それによって大人数が参加するイベントから友人知人での飲み会や食事会も中止もしくは自粛が求められた。
しかし、令和5年5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類感染症」に変更され、少しずつ生活が変わり始めた。約3年に渡って開催が自粛されてきたイベントや祭りも少しずつ解禁となってきたのだ。
御多分に漏れず、私が住む小さな町でも3年ぶりに夏祭りが開催されることとなった。
これは、夏祭りの運営に関わった自治会のお歴々(特に自治会長)と育成会の若いお母さんたちがおにぎりを巡って繰り広げた攻防と、それを目の当たりにしたミカスの心の声の記録である。
※私の住む自治会では、昔(私が子供の頃)から、夏祭りの際には女性たちが集まっておにぎりを作り、それを祭りの参加者に振る舞うという習慣がありました。お祭りが復活するということで、先日、自治会の班長さんたちと育成会のお母さん方が集まって打ち合わせが行われたのですが…
自治会長:これまでもお祭りでは皆さんにおにぎりを提供してきましたので、今年もよろしくお願いします。大まかにですが計算したところ、合計250個ほど。これは育成会のお母さん方にお願いするということで。
ミカス心の声 : に、250個ぉ?! 誰がそんなに食べるんだ?!
お母さんA : (すっと手を挙げて)ちょっといいですか。他の自治会の皆さんに聞いてみたのですが、もうおにぎりの提供はしないとか、しても仕出し屋さんなどに頼むというところがほとんどでした。
ミカス心の声 : だろうね。
自治会長 : ああ、まあそういう自治会もあるでしょうけどねぇ。
ミカス心の声 : ん?何だ? 「よそはよそ、うちはうち」ってか?!
お母さんB : コロナもまだ完全に終息したわけではありませんし、今年の夏もかなり気温が高くなってますよね?そんな状況で、誰が握ったかわからないおにぎりなんて食べたいと思いますかね?
ミカス心の声 : だよねー。食べたくないわー。
副会長 : まぁ、とは言ってもこれまでもやってきましたからね。
ミカス心の声 : だからぁ、これまでとは違う世の中になっちゃったんだよ!
お母さんA : 大量に握ったおにぎりのほとんどを冷蔵庫も無い会所に置くんですよね? 食中毒が出たら大変ですよ。
お母さんB : せめてコンビニのおにぎりの方がまだ衛生的じゃないですか?
自治会長 : いやぁ、コンビニのおにぎりは封を切って海苔を巻くまでが面倒でしょ。ラップでくるまれたものならラップを取るだけだからおみこしを担ぐ人も食べやすいよね。
ミカス心の声 : えっ?おみこしを担ぎながらおにぎり食べるのかい?ていうか、海苔巻くくらい大したことじゃないだろうに。
自治会長 : 皆さんがにぎったおにぎりだってコンビニのものだって、同じ時間会所に置いておきゃ同じですよね。
ミカス心の声 : その理論はちょっと違わねぇか?
※ここでミカス、心の声が口を突いて出てしまうという手痛いミスを犯す!
ミカス本当の声 : いや、コンビニのおにぎりはきっちり衛生管理されている工場で作られているからなぁ…
お母さんB : ですよね?! (この言葉を逃すものか!とミカスの目を真っすぐ見る)
ミカス本当の声 : あっ、は、はい。
お母さんA : 今年は仕方ないです。お祭り、もう2週間後ですから。でも、来年は考えさせてください。
一生懸命にぎったおにぎりで食中毒が出たり、残って捨てられちゃったりするのは嫌ですから。
ミカス心の声 : そうだよなぁ。ていうかさ、握る数よりも、握ったのに残っちゃった数を確認して記録しておけよ。
自治会長 : はぁ、そうですね。来年に向けてそういうことも考えないといけませんね。
ミカス心の声 : 「はぁ」って何だ、会長さん? あ、おなか空いた。おにぎり食べたい。
お母さんA&B : よろしくお願いします!
その2週間後、猛暑もコロナもまだまだ心配な中で祭りは実施され、お母さま方は250個のおにぎりを必死でにぎってくださった。がしかし、やって来た人たちを接待するために会所に運ばれたおにぎりは、結局そのほとんどが手つかずのまま残された。そして副会長は言った。「みんなこれ(おにぎり)持って帰って。家で焼いて食べて」
はぁ?焼きおにぎりにしろだとぉぉぉ?!
来年もし同じ問題が持ち上がったら、私はお母さんたちと共に闘おう。次は本当の声を上げて。そう強く誓うミカスであった。
(班長の任期、2年なので)
さて、今日ご紹介する一品は、お祭りの手伝いの際に同じ班長のNさんに教えてもらった超超簡単レシピです。作るのに火を使わない。でも美味しくて体にもいいのでぜひ作ってみて下さい。
新玉ねぎの甘酢漬け
- 新玉ねぎは皮をむき、5ミリ幅にスライスします。薄いスライスよりもある程度厚みがある方が歯触りがいいです。
- スライスした玉ねぎを水にさらし、10分ほど置きます。が、ちょっと食べてみて辛みがなければさらさなくてもよし。
- 軽く水を切ったら塩をして5分ほど置きます。厚めに切って歯触りを、と言いましたが、あまり固いのもちょっと食べづらいので塩をして少し柔らかくします。どっちだよ?(笑)
- 塩をしっかり洗い流し水気を切った玉ねぎにらっきょう酢を回しかけ、保存容器に入れて冷蔵庫で最低でも30分置く。少し味見をして、玉ねぎに味がしみていたら出来上がりです。
それにしても暑過ぎる! 築50年近い昭和の家の台所にはエアコンが無く、30℃なんて簡単に超えてしまうスペースでの調理はもはや命懸け。同じような環境で頑張っている皆さん、無理をしないようにしましょうね。ご安全に!
ミカスでした。
ぱろる
夏祭りのおにぎり250個納品!🍙🍙🍙🍙🍙
想像しただけで、その一部始終、泣けます。
ハンカチ用意しちゃいます😭
でもそんな徒労感の中にあって、新玉ねぎの甘酢漬けのレシピを伝授されてるところが、さすがミカス班長、さすがのコミュ力です!
らっきょう酢、そんな小さいのもあるのですね。リンクも心憎いです〜👍
簡単レシピのお礼に、わたしもひとつ貼っておきます。
資生堂パーラーと、カレーの名店・荻窪トマトでカレーを頼むとついてくるつけ合わせも、玉ねぎと酢を使う絶品レシピなんです。ぜひこちらもお試しくださいませ。
いまねえ
ミカスさん、この話題どちらの地域にもあるあるなんだなあと思いました。我が地域にも夏に子供会(ミカスさん地域での育成会と同じかな?)と町内会共催の子供向けイベントがありましておにぎりを200個ほど作ります。冷蔵庫もエアコンもない公民館で前日からお米を仕込み当日早朝から炊いて握るなんて作業は役員にならないとわからないことでした。もとは地域の婦人会が中心になって作業していたもの。既に婦人会はなくなっていたとはいえ慣習は強く残っており見直すという時間的ゆとりがなかったのは、地域の役員が1年交代だったことも大きいですね。今年の反省が翌年に引き継がれないのは役員の多くが男性陣、おにぎり作りに携わる人はいないのですから。毎年用意したおにぎりの多くが残って結局廃棄、も切実感ないんです。作るおにぎりの数を減らしても、やはり残ってしまうのは同じ。炎天下に屋外に置いたものは怖くて持ち帰りはしたくないですよね。でも一筋の光というか、秋に開催される地区のお祭りで祭典招待客に出すお弁当というのを祭礼当番区の婦人中心にお米炊きから惣菜調理、盛り付けまで担っていたのですが、これはO157が大問題になった時に仕出し弁当に変更になりました。なので悪習を断ち切ることは不可能でないのです。夏の子供向けイベントは新型コロナの3年間中止でした。今年は形を変えて再開するようですがどうやらおにぎり作り見直しになったようです。「不衛生」「食中毒」というのは絶大なるキーワードです。過去の風習にこだわる婦人会生き残りメンバーや、座って食べて飲むだけの男性陣を黙らせるにはこれ以上のパワフルワードはないのですね。ミカスさん地域で来年はこの悪習が葬られることを切に祈ります。
Jane
最初は、今回もChat GTP?と思いましたが、続くセリフのト書き風、新構成なのですね。
おにぎり握る側がやだって言ってるのに、押し通す会長。年齢と地位と男女のパワーバランスが凝縮。
その昔、私が男性98%の職場にいた頃、夜ミーティングがある時、弁当屋からおにぎりをとっていましたが、私が辞めた後に後任の若い女性から「今、私がおにぎり作れって言われて作っているんですよー」と聞いたことが蘇りました。
お母さんABの論理的な反対に対し、会長さん、いろいろ言っていますが、「祭り=コミュニティのつながり、人の心の温かさ」で、会長さんにとってそれを体現するものが「お母さんの握ったおにぎり」なのかなーと、読んだだけですが私にはそんな気がしました。
手と手をつないで触れ合う、心と心。それに重きを置く人々と、べつにそれをないがしろにするわけじゃないけど、「絶対大丈夫ってことはない」と知識に重きを置いて用心する人々の、用心深さの基準の違いもありますよね。
例えば、コロナ禍真っ盛りの時に、満面の笑みでバシッと手を差し出してきた初対面の人々。私が想像するその人の心の声:「私はウイルスに感染する恐れより、人と人との触れ合いを大切にしています。まさか、あなたを受け入れようという私の好意を拒否するようなことはしないですよね?あなたも心の温かい人ですよね?」。
犬の散歩中、飼い犬数頭で道をふさいで犬好き通行人と立ち話していたり、他人に犬が寄っていっても何もしない飼い主。私が想像するその人の心の声:「勿論あなたも犬好きの心の温かい人ですよね?触っていいですよ、この可愛さを分けてあげましょう!えっ、よける?マジで?よけるならおまえがよけていけ」。
<以上、私の個人的環境を反映した感想ですので、ひねくれてるかも>。
話が転がりました。
ミカスさんが「手痛いミス」とおっしゃったこと、私には一番良かったことに思えました。
来年またもめたら、折衷案として、「おにぎり100個」でどうでしょう。それでも残ったら再来年は廃止。
それにしても、自分が職場の花扱いされていた頃と、会社にいればとっくに女性最年長になっている可能性もある今と、組織の「長」たるおじさん達がそう変わっていないことに、ええ私が20代だった頃、30-40代だった人達がこんなふうに?と思うことがあります。勿論人によるし、勝手に自治会長さんは男性だと決めつけていて、すみません。
ミカス Post author
ぱろるさん
本当に大変な作業ですよ。そしてそれか報われないなんて。
来年は絶対におにぎり無しです。
お祭りの手伝いは大変でしたが、「面倒だね~。早くかえりたいねぇ~」と一緒に愚痴れる人と知り合えて
玉ねぎの酢漬けを教えてもらえたのは収穫でした。
玉ねぎの醤油漬けも大収穫!
早速作ってみます。
ありがとうございます。
ミカス Post author
いまねえさん
婦人会! 私が住む地域にも以前ありました。母が元気な頃は、お祭りの時は婦人会がおにぎりを作っていたことを思い出しました。
その当時も母が「素人が作るおにぎりで食中毒になったりしないかしら」と心配していたのを覚えています。婦人会を仕切っていたおばさまが年を取ってからは自然消滅してしまったようですが。
「今年の反省が翌年に引き継がれない」これは大きな問題ですね。
恐らく、多くのメンバー(特にあまり動かない年配の男性陣)には「反省」という感覚もないような気がします。
いまねえさんが仰るように、悪習を断ち切ることは不可能ではないですよね。
O157やコロナウイルスの問題が悪習断ち切りの大きなトリガーとなってくれるのは、変な言い方ですが、不幸中の幸いです。
来年ははっきりと「変えるべき」と主張します。
ミカス Post author
Janeさん
実際に動かない人ほど妙に心情に訴えるような甘い理屈で人を動かそうとしますよね。
自治会長、副会長はJaneさんのご想像通り男性です。二人とも70代前半くらい。
手作りのおにぎりにこだわった割に、彼らは一つとしておにぎりを食べませんでした。どういうことなんだろう。
うまく言えないのですが、おにぎりの一件は結局彼らが自分の対面や威厳を保ためのものだったのかなと思います。
おにぎりじゃくなくても良かったのかもしれません。ただ、若い人たちが自分たちの言うように動いてくれてお祭りを(一応)成功させることができたという結果があれば。
今年は単なる「手痛いミス」でしたが、来年は建設的な声を上げていこうと思います。
Jane
今ふと思ったんですけどね。おにぎり250個、最後の1個まで握ったって、握った方たちが確認したんですよね。
私も、嫌だなーと思っても、250個用意しろと上から言われたら、10個ずつ並べて数えちゃうタイプ。
こんな調子で職場でも上司に新しいことをやれと言われれば、「やる必要あるんか。えらい負担増だけど」と思いつつ、プライベートタイムつかって真っ先にやり、…だけど他に誰もやる人がいず、そのうちなし崩しになくなり….やって損した、というようなことが続いて、思いました。
前向きなコメントしつつ実際やらないこの人達(もっと皆が真面目に働いているところも当然あるでしょう)。私には調子のいい怠け者に見えるけど、これはこれで、ソフトな態度ながら権力になびかないことを貫いてるんじゃないかな。もらってる給料以上のことはしませんよ、っていう。「これは私達の仕事じゃない」「利用されるな」「働きすぎるな」ってよく言われます。「やる」「やらない」の中間に、「手を抜く」「やろうとしてたんだけど病欠/バカンス」という選択があるのです。
会長も会長だけど、育成会のお母さん達も真面目過ぎでは。「2週間後ですから」の次は「やりません」と続くかと思いましたよ。或いは、はいはい、と言ってひと山握っといたら数なんかテキトー、…なんてことは無給ボランティアにも許されないのですね。「やります」と承諾すれば、きっちりやるの一択しかない。その律義さは美徳であると同時に自縛かもしれないのだけれども。きついですね。
ミカス Post author
Janeさん
残念なことですし、正しいとは思いませんが、日本の田舎のコミュニティではお母さんたちの独断で「やりません」とするのはとても大変なことです。
また、おにぎり250個にはきちんと「〇〇に50個」「✕✕に30個」と振り分け数が決まっているので「おそらく食べないだろうから」とお母さんたちの判断で数を減らしてしまうことは難しかったと思います。
報酬をもらって働くのであれば、「これ以上はやらなくてもいい」「これは私の仕事ではない」と自分で決めることもできます。でも、日本の地域のつながり、特に田舎での所謂「ご近所づきあい」にはまだまだ微妙なものがあります。「真面目過ぎる」から言われたとおりにやったというのとは少し違うような気がします。
とはいえ、こういう状況は変えていかなければならないと思うし、変わると思いますよ。今の状態が決していいとは思いませんからね。
Jane
ああ、そうですね….。私も超ど田舎に育ち、母は婦人部のリーダーだったので、よくわかります。
ミカス Post author
Janeさん
昔はありましたよね。あれがなくなっただけでも良かった。
Jane
うちの実家の辺りはまだありますよ。こちらの日本人コミュニティにも。
ミカス Post author
Janeさん
日本人コミュニティ、助かることも大変なこともありそうですね。