誰も泣かなかった 後編:ミカスのコレカッタ2023
とにかく火葬場が混んでいました。
横浜という大きな市だからか、なんとか空きがあったのは5日後の朝一番。葬儀のスケジュールというのは火葬の時間に合わせて設定しなければならないので、当然告別式も早い時間になります。朝9時前に葬祭場へ入らなければならなかったので、私と妹は近くのホテルに泊まりました。
ホテルから葬祭場へ向かう電車の中でLINEが届きました。山梨から車で向かっている従妹からです。「今、サービスエリアなんだけど、シウマイ弁当買っていこうか?おばちゃんに持たせる?」
健啖家だった伯母は、特養に面会に行くとよく「崎陽軒のシウマイ弁当が食べたいわ」「みんなで高島屋の鰻を食べに行きましょうよ」「ああ、ビールと餃子がいいなあ」「京樽の茶巾寿司もいいわね」と食べたいものをあれもこれもと挙げたものでした。
茶巾寿司は持って行くことができたけど、他の3つは生きているうちに食べさせてあげることが出来ませんでした。
「ありがとう。買って来て」
参列者7人のその式は、告別式というよりもお別れ会と言った方がしっくりとくるような本当にささやかなものでした。「お別れの間」という名前のこじんまりとした部屋へ入ると、湯灌を施されて白い着物を纏った(透け透けではなかった)伯母が横たわっていました。
「うわぁ、きれい」誰かが呟きました。本当に、伯母の肌はつやつやとしていて、穏やかな顔つきで、とてもとてもありきたりな表現ですが、今にも目を覚ましそうに見えました。
「今でも十分におきれいですが、もう少し。お化粧をさせて下さい」伯母のそばに立っていた若い女性が言いました。より生前の伯母らしくするために、彼女のメイクの好みや私たちの希望を細かく聞いてくれます。そのたびに私たちは、「口紅はそんなに派手ではなかったよね」「眉毛は描いていたっけ?」「このシミは隠れますか?」と、やはり傍から見ればとても楽しげに、元気だった頃の伯母を思い出しながら笑いました。
葬儀社の担当の方が「生前よりも肌がつやつやできれいだと仰るご家族が多いんですよ」と小さな声で言うと、従妹Aが呟きました。「美のピークは死後にやって来るんですね」
伯母を棺に納め、従姉が持ってきてくれた伯母の鶯色の着物を纏わせ、棺の中に色とりどりの花をちりばめて、誰かが伯母の白くつややかな髪に黄色いバラを刺しました。そして言いました。「これ、持たせてもいいですか?」
出た、崎陽軒のシウマイ弁当!
プロのメイク、きれいな着物、髪にバラを刺し、シウマイ弁当を携えて伯母は旅立ちました。
会食の予約すらしていなかったので、火葬場帰りの道すがらにあった町中華にみんなで入りました。なぜか全員があんかけ焼きそばを注文して食べ出した時に、従弟が言いました。「そうだ、餃子とビール!」
追加で餃子一皿と小瓶のビールを1本を頼んで「シウマイ弁当も持って出かけたし、餃子とビールもどうぞ」と空いた席にセット。「ビールが減ったりして」なんてけらけらと笑いながら思いました。なんて幸せな終わり方だろう。私の終わりにも、誰かがこんなふうに笑ってくれるだろうか。笑ってくれたらどんなにうれしいだろう。
食事を終えて店の外で「亡くなった日も、今日も、誰も泣かなかったね」と言うと、最初に病院に駆けつけてくれた従妹Aが私にだけ聞こえるような小さな声で言いました。「私、みんなが来る前、病室でちょっと泣いた」
そうだよね。私も、病院から帰った次の朝、伯母や従妹弟たちと過ごしたあの楽しい時間はもうどうしたって取り戻せないんだと思って1人で泣いたもの。
笑っていても私たちは悲しんでいないわけではない。悲しいよ。できるならもう少しいて欲しかったよ。それでも、伯母たちは最期の瞬間ですら思い出して笑えるようないい時間をくれたから、見送る時は笑っていたいよね。
シウマイも餃子ビールもなんとかできた。残るは鰻。年が明けたらみんなで集まって鰻を食べようと約束して、私たちは別れましたとさ。
ミカスのコレカッタ2023
昨日のカリーナさんの記事でオバフォーメンバーの「コレカッタ」(久しぶり!)が紹介されました。「私も!」と思っていたのですがもたもたして間に合わなかったので、今日は料理ではなくて、2023年、わたくしミカスがAmazonで買った、そして買ってよかったと思ったものを一気にご紹介。それぞれAmazonへのリンクがはってありますので、ぜひ商品ページを覗いてみて下さい。
その1 富良野ホップ炭酸水
炭酸水が大好きです。普段愛飲しているのはウィルキンソン。でも、ある時ホップの香りの炭酸水を飲んでその虜に。ラベルには「ほろにが炭酸」とありますが、私はあまり苦味を感じません。葡萄のようなさわやかな香りが好きです。日に2本は飲むので、セールの時には2箱買ってストックしておきます。
その2. ナカバヤシ ロジカルダイアリー 見開き2週間
ほぼ日手帳なんぞを買って悦に入っていた頃もありました。でも、このノートに出会ってからはこれ一辺倒。見開きで2週間のスケジュールを書き込むことが出来ます(左ページ1週間、右ページ1週間)。1ページの縦半分左側には日付と白紙のスペースが、右側にはロジカルノートの特徴である罫線が引かれています。私は白紙部分にその日の予定を、罫線部分に日記のようなことを書き込んでいますが、とにかく使いやすい!
その3. Gokilife ミルクフォーマー
ミルクをふわふわにしてくれるミルクフォーマーです。
レンジで温めたミルクをこれで撹拌すると、まるでス〇バのカプチーノに乗っているフォームミルクのようにふんわりと泡立ちます。おうちでカフェ気分が楽しめますよ。価格もお手頃なので、コーヒー好きの方はぜひ!
世の中はクリスマスだお正月だと慌ただしくなってきましたが、そんな流れには乗るまい!と、ごくごく普通に過ごす私です。つまり、大掃除だのお正月の準備だのは無視してぶっちぎらせてもらうぜ!ということです。皆さんはきっとしっかりと年末年始の準備をされることと思います。頑張ってね!
ミカスでした。