ウェブデザイナーとの対談
「頭のよさそうじゃないサイトにしてください」っていわれたとき、どうでした?
カリーナ 対談のために過去メールを読み返したら、
思った以上にたくさんやりとりしていて驚きました。
一番最初に、「親しみやすくてカラフルで頭のよさそうでないサイト」
というお願いをしましたが、どんなふうに思われましたか。
Naomi デジタルとはいえ、モノをつくる作業の場合は、
後から「そんなつもりじゃなかった」というのが一番残念ですから、
しつこいぐらいに確認してしまう癖があるんです、私。すみません(笑)
「親しみやすくてカラフルで頭の良さそうでないサイト」というコンセプトは新鮮でした。
特に「頭のよさそうでない」という部分にハッとしました。
最初にベンチマークのお話をしたときに、
カッコいいクールなタイプのウェブマガジンのサイトを
いくつか例にあげましたが、「こうじゃないんだな」と
すぐに気づく言葉で表現していただいて助かりました。
気取らない等身大のみなさんのエッセンスを、
そのまま凝縮したイメージなのだな…と、理解するのに
それほど時間がかからなかったですもん。
言葉って大事だなと、改めて思いました。
カリーナ 実は、言ってないけど一番苦労したのはここなんだよ、
というところがあれば、秘密の暴露をどうぞ。
Naomi 特に「オバフォー」に限った事では無いのですが、
ウェブサイトを作るにあたって毎度悩むのが、
更新するかたの「HTMLスキル」なんです。
出来立てホヤホヤのときは、そりゃぁ本文も見出しも写真も、
デザイナーの手が入りますから
綺麗に収まって当たり前。
だけど自分の手を離れて、実際に動き出してからがウェブサイトは本番です。
そこから先、更新するかたがどこまで出来るか、
ちゃんと期待通りにページを作れるのかを想像しながら、
しっかり耐えられるデザインを模索するのが難しいんですよー。
美容室でカットしてもらっても自分でセットできなくて、
次の日からもう悲惨…みたいなウェブサイトは、
できるだけ避けたいですしね。
「オバフォー」はたくさんのメンバーで運営されているから、
スキルのレベルがつかみにくかったんです、実は。
カリーナ ああ!そこかー!
Naomiさんの「更新マニュアル」のわかりやすさのナゾがわかりました!(笑)
それに「わからないこと」を伝えやすかったんです。
いや、ほんと、お世話になっています(現在進行形)。
また、ちょっと話が戻りますが、昨年9月のメールでNaomiさんは
「サイトをウロウロしてもらう」ことを大切にしたと書いておられます。
そのための工夫をいくつか教えてください。
Naomi ブログのそのままのシステムだと、
どうしても一人の編集者が更新していくことを想定しているので
足りない機能が出てきます。
たとえば、メンバーそれぞれの記事のリストとか、連載の前後の記事とか。
そういった機能をシンプルに追加しただけですが、
作ってみると、「寄り道トラップ」みたいで自分でも楽しかった。
読み物って、言葉との出会いですもんね。
偶然出会う機会があればあるほど良いと思ったんです。
普通の企業サイトは逆に、目的のコンテンツまで、
いかに迷子にならずに辿り着けるか…というナビが大事ですが、
「オバフォー」の場合は、「目的のコンテンツ」は無くても良いぐらいです。
特に珍しい事をやったわけではないのですが、
「言葉の樹海で彷徨うがよい!」と念じながら
作っていたところが、最大の工夫です(笑)。
カリーナ じじょくみがそのフレーズ
(「言葉の樹海で彷徨うがよい!」)を電車のなかで
スマホで見て、感動のあまり泣いたといわれる
Naomi語録を代表する名言ですね。
あの・・・お金払っていないのに、
こんなこと言うのはおかしい気もするんですが、
私たち、そして私、クライアントとしてどうでしたか。
(もうちょっとこうした方がいいよとか、ありますか)
Naomi クライアントとしては、とても物分かりがよい、
素晴らしいクライアントでしたよ!
色々な機能が盛り込まれたウェブサイトですから
理解も難しかったと思いますが、
説明もしっかり納得してくださって、「ぬぬ!デキる…」と思いました。
それと、「困ってること」をちゃんと伝えてくださったのも、ありがたかったです。
ウェブサイトって「困ってること」がちゃんと解消されないと、
その先の「より良くする」っていう目標が立てられないと思ってるんです。
だからまず、困ってることを解消して、ストレスフリーな運営を目指す。
そしてそこから改めて、「もっともっと」の欲を磨いて、
ユーザーさんの満足度を高めるために改定する。
さらに改めて、運営上の不便がないかどうかをチェックする。
そんな風に改定・リニューアルしていければ、
いつまでも錆びないウェブサイトになると思ってます。
新陳代謝の良いウェブサイトは魅力的です。
代謝を下げないよう、頑張ってください!
※写真はすべてNaomiさんが育てているミニトマトです。
上から、「紅涙」「コストルート・ジェノベーゼ」同じく「コストルート・ジェノベーゼの花」。
他の品種も育ってます。詳しくはこちらをどうぞ♪
★Naomiさんのプロフィール
「気付けばもう17年もネット業界にいるフリーのウェブデザイナー。その間「自分の時代が来た」的な記憶が全く無いが、細く長く更科蕎麦のようにウェブに携わらせていただいている。」
NaomiさんのWEB制作会社はこちら→Rec-O!
ベランダガーデニングのブログ(必見!)はこちら→ Sunday, Sunny day
つまみ
webサイトのリニューアルだけじゃなく、ビジネス全般・・の枠も越え、物事の優先順位の設定のしかたとか、長いスパンでのものの見方とか、人生におる矜持、にまで通じるような対談で、とても興味深く読みました。
いつまでも前職にこだわっているみたいでアレなんですが、4年前、新しい図書館を一から作る仕事を仰せつかりました。
まず、どんな図書館を作りたいかと自問したとき、自分のアタマに浮かんだのは、「特に借りるつもりがない人がうっかり本を借りてしまう図書館」「本棚を人がうろうろしている図書館」でした。
インターネットで予約した本を取りに来るだけの、カウンター周辺だけに人が多いような図書館はつまらない、と思ったのです。
今回の対談で、なぜかそれを思い出しました。
そして、もっといろんなことに希望を持ちたい、なんかそういうのを忘れてたよアタシ、と思いました。