SFG48
みなさまこんにちは、11月に入って朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。先日ダンナはんのザビ男に「そろそろ窓ガラスに防弾入れようか?」とのたまい、軽くスナイパー感をかもし出した、じじょうくみこでございます。
断熱、と言いたかった
さて、シマ島で悶々とした日々を送っていたわたくしは、わらをもすがる思いでザビ男にSOSを発した結果、なぜか48にしてサーフィンを始めることになり、ドSトレーナー指導のもと夜な夜な筋トレに明け暮れているところから、前回のつづきです。
離島のごきげんビーチで、サーファーデビュー。
なんというお気楽な響きでありましょう。まさかこんな切羽詰まった気持ちでサーフィンと向き合う日が来るとは、夢にも思っておりませんでした。
だってほら、サーフィンやってる人ってちょっとイメージがアレじゃないですか。わたしの中では「サーファー=チャラい、お金持ってない、大自然に感謝」みたいな固定観念が出来上がっておりましたし(失礼)、実際のところ出会ったサーファーはみんなそうだったので、わたしには一生無縁の世界だろうなと思っていたのです。
ところがザビ男によると、シマ島では昔からよい波が立っていたらしく、サーフィンがアメリカから入ってくる以前から島民は木板をボードがわりに波乗りを楽しんでいたそうな。そういう歴史もあって、シマ島ではいまでも島民の多くがサーフィンをたしなみ、サーフィンが生活の一部になっている様子。ザビ男の友人ミナミさんをはじめ、東京で開いた祝宴に参列してくれた島のみなさんも、大半がサーファーでありました。
ザビ男も見た目はまったくサーファーぽくないので、独身時代はサーフィンをやっていると聞いても「なーにチョイワルおやじ気取っちゃってんだか」とまったく信じておりませんでした。だからシマ島に引っ越して初めて、ザビ男が波乗りしているところに遭遇したときは「陸サーファーかと思ってた」と正直に言っちゃいましたよね。
本人いわく「他にすることがないから」小さいころからサーフィンをやっていたそうですが、そんな環境ですので島にはザビ男のような50代サーファーもザラにいるようでした。時折ザビ男と出かけても、知り合いに会うと決まって今朝あそこの裏がハーフだ頭だとか、今日は割れててダメだとか、波の話がごく普通に交わされていて、方言の上によくわからない専門用語が飛び交うなかでひとり取り残された気持ちになることがよくあったのでした。
このトシにしてサーフィンをやることがいいのか悪いのか、どちらかといえばよくない気がしますし(美容的に)、そもそもがんばるところがそこでいいのかと我ながら思うのですが、この苦しさが少しでも軽くなるならバカバカしかろうが笑われようがやってやるさ! という気持ち。まあでもこんな悲愴な思いでサーフィンやってる人いないですよね、あははは(わろとけ)
シマ島に夏の観光シーズンが訪れ、ひと気のない村が嘘のように観光客でいっぱいになっても、わたしは相変わらずひとりでありました。ビキニ姿の女子たちが楽しそうに行き交ったり、ビーチBBQで陽気に盛り上がっている様子を見ても、まるで幻を見ているような非現実感で、シンと静まった家でひたすら島ライザップにいそしむ日々。このままいくと腹筋バッキバキに割れるんじゃないかと思い始めた(いや割れないけど)ある日、ザビ男がついに言ったのです。
「今日、海に入ってみるか」
うおおおおおおおおおおおお(よくわからない雄叫び)
海デビューキター!!!
鍛えたとはいえ筋力0からのスタートですから、ザビ男からは「最初はボディボードをやったほうがいい」と言われておりました。ボディボードね、ボディボード。板の上に立ち上がってバランスを取るサーフィンと違い、ビート板のでかいやつみたいな板の上に腹ばいになって波乗りするので初心者でもチャレンジしやすい、とザビ男。
「ブギーボード」と言うとトシがバレます
早速サーフポイントへやって来ると、まあーいるわいるわ、波のまにまにサーファーたちが。するとザビ男はサーフボードを持ってひとりでざぶざぶと海に入ってしまい、ここでまさかのおいてけぼり!?と若干キレ気味で泳いで追いかけると、「彼女がボディボード貸してくれるって!」とザビ男が波のむこうを指さしました。
「くみさーーん、久しぶりー!」
手を振っていたのは島一番の美女、カレンちゃんでありました。
「私のボード使っていいよ。持ってくるから待ってて」と浜へ上がったカレンちゃんは、きれいに焼けた褐色の肌にネオンカラーのビキニ姿のザ・サーファーガール!という雰囲気。それでもよく見ると腹筋が割れてる…。まわりのサーファーたちも年齢層はバラバラながら、近くで見るとみなさん筋肉ムッキムキ。ぶよぶよのマンボウボディを隠すため、水着の上にラッシュガードをふんわり着込んだわたしのような人間はひとりもいません。
「ボードと足をひもでつないでね、そう、フィンがきついから反対を向いて海に入るといいよ」
カレンちゃんにレクチャーを受けていると、むこうからは「あれえ、くみちゃんじゃない?」と声が聞こえてきました。顔を上げると、今度はザビ男の友人ミナミさんの姿が。「ボードやるの? いいじゃない、いいじゃない。楽しんで!」とエールをくれたミナミさんは、娘のカレンちゃんをはるかにしのぐ黒のマイクロビキニ! てか服の上からは華奢に見えていたミナミさん、
全身筋肉ムッキムキのバッキバキですけどー!!(゚o゚;;
激しく場違い感を味わいつつも、もう後にはひけません。ザビ男もそばにいるし、カレンちゃんも一緒について教えてくれるというので、なにはともあれ海に入ることになったのですが、浅瀬からすでにフィンが波にからまり転倒に次ぐ転倒。アップアップでどうにか沖に出て、サーファーたちが波待ちしているポイントまでたどり着きました。
「波が近づいてきたら、波に背を向けながら水を掻いて。よし行け、いまだ! 掻いて!掻いて!掻いて! 上半身を安定させ…あっ…」
聞いてる途中で沈没〜〜〜〜
波に乗るどころか、ぼくドザエモン〜〜。波に押されるとボードにしがみついているのが精一杯で、とてもカラダをボードの上に保っていられません。筋力なさすぎ、オレ。ボディボードでこれなんだから、サーフィンなんてとてもムリ。「どうだ、わかっただろ、100年早いだろ?」とニヤニヤ見ているザビ男に反撃する余力もないくらい、ただボードにしがみつくばかりでありました。
「がんばって、何度かやっていると感覚がわかってくるから」
めげそうになっているわたしを、カレンちゃんが後ろから支えてくれて泣ける。そして、波の力に押されてケツ丸出し状態のわたしの水着を、黙ってグイっと上げてくれるのでありました(美女にシモの世話してもらった感…照)
そんなこんなでヒーヒー言いながら波にアタックしていると、まわりのサーファーから
「ご結婚おめでとうございます。ザビ男さんとはいつもよくしてもらってます」
「やっと会えたよー。おめでとう! 今度飲みに行こうね!」
と声がかかるようになったのです。サーファーのみなさんはザビ男の知り合いばかりのようで、あのひとはスーパーの店長、あいつは同級生のお兄さん、この子は居酒屋でバイトしてて、とザビ男が紹介してくれるのですが、念願の交流というのにわたしは「は、はい、よろひふおねはいひまふ…」と息も絶え絶え。
どうにもこうにもうまくいかず、こりゃあかんもう浜に上がるか、と考えながら後ろから来た波に近づくと、どうしたことか、すーーっと前進するじゃありませんか! まるで波がするりとカラダの下に入ってきたみたいな感覚。試しに何度かやってみると、おお、なんか滑ってる気がするような!
「いいじゃん、いいじゃん。その調子。もっと上半身を安定させると、大丈夫だよ!」
しばらく遠くでサーフィンしていたカレンちゃんが、いつのまにかすっとそばに寄ってきました。潮風が吹いてきて、波の音しかしなくて、ただ黙って波が来るのを待っています。海の上なのに、なんという静かな時間。
「なんか、夏だね」
とカレンちゃん。
うん、夏だ。
やっと夏が来た。
秋だけどね
なんてカッコいい風に書きましたが、現実は無様に熟女のわがままボディをさらしただけで終わりまして、ザビ男には「当分ライザップで出直しだな」と言われたわけですが。後になって他の島民のみなさまと知り合いになったとき
「すごいよねえ、ボードやったんだって! ザビ男の嫁さん、ずいぶんガッツあるって評判になってたよ!」
と言われて仰天しました。「ミナミさんも50すぎてサーフィンやってるじゃない。てっきり島の熟女もみんなサーフィンやってるんだと思ってたんだけど…」とザビ男に言うと
「ああ、ミナミさんは特別。島の女性はサーフィンやらないよ」
えええええええええ
それ早く言ってよおおおおおおお(゚o゚;;
どうせならもっと優しい方法で島になじませてほしかった、とザビ男を恨みながらも、まあこれで島のみなさまに認知してもらえたのなら結果オーライ、と思うことにした自称SFG(サーファーガール)48でありました(しばらく廃人)。
というわけで次回、最終回でございます!
Text by じじょうくみこ
Illustrated by カピバラ舎
*「じじょうくみこのオバサマー」は毎週火・木・土曜日更新です。
カミュエラ
新しい土地で、果敢に新しいことに挑戦するくみさん、やっぱり素敵です。
48歳で、サーフィンデビューだなんて!!!
でも、愛するザビ男氏にしごかれ波にもまれているうちに、くみさんの中の何かが反応して、全てが快感に変わる日は近いような気がします。(笑)私がそうだったから・・・・・・(笑)
43歳のときに、息子と夫に付き合うような形で空手道場に通い始めたときのことなのですが・・・・・
練習がきつくてきつくて、時々ずる休みしたいなと思うこともあったのに、ある日ドSのインストラクターのリードで練習をしていたら、突然に猛烈に快感を感じたんです。(笑)変態でしょうか?
それ以来、練習がきついほどわくわくするようになって・・・・・ああなんかほんとの変態っぽいですね。(笑)
結局2年間続けて、引越しを理由にやめてしまいましたが、とてもいい経験でした。
いろんな人と知り合えた事も大きかったですし、何より自分の知らない自分に出会えましたから。(笑)
これからどんな人と出会うことになるのか楽しみですね、くみさん、頑張ってください!
いまねえ
サーファーというと、お金持ちのおっぼっちゃん、おじょうちゃんがいそしむもの、というイメージの私、
じじょくみさんとは正反対!と言う点にまずびっくり。世代差?
でも、さすがザビ男さんナイス!だってシマシマの女性がすることってナニ?という疑問以前に、
そもそも道を歩いてすれ違うことのない人々のなさることを探すよりは、確実にサーフィンでならシマシマの人に遭遇できるってことですもんね?しかも「お?あのド素人はダレ?」と皆さまの注目も一気に浴びる、そして人の噂に上る、あっという間にシマシマデビュー!終わりよければ全て良し---!
(・・ちょっと違うか)
単に波打ち際でサーフィンする人々を眺めていてもなあにも起きないんでしょうね、獲物を狙う動物でなくても、人間だって目の前で動く物体に視点があうじゃないですか、じじょくみさんが動いたんですね、祝SFG48!
はしーば
SFG48、見事なデビュー、おめでとうございます🎉
何だか今日は画面が滲んで最後まで読むのに時間がかかってしまいましたよ。
必死で頑張るくみこさんの姿は、たとえバキバキボディじゃなくとも、美しく波に映えたに違いありません。
島民の方々とのコミュニケーションも、身体を張って飛び込んだことで、その扉が大きく開いた感じですね。
GO! GO!くみこっ(≧∇≦)
くるりん
恋愛も幸せもそれを目的にしたらうまくいかない…でも、何かに一生懸命打ち込んでいるひとは引き寄せる。
なんだかそんなことを思いながら読ませていただきました☆(^-^)
お友達になって!て突撃されても無理(笑)だけど、波に向き合って一生懸命な姿、は島の皆さまじゃなくても気になってしまうかな、と。
じじょくみさま、素敵です♡
ちなみに…腹筋を割るのは2ヶ月もあれば(以下略) ←ゴールそこじゃない(爆)
あ、くるりんは腹筋割れてませんよ~(笑)筋トレはダンスに必要な部分を補助的にやってるだけなので。 ←要らない情報
(…ザビ男さま、じじょくみさまとサーフィン出来て嬉しかったんじゃないかなぁ♡同じ趣味、は末永く仲良し、の秘訣ですしね♡)
日常は海のようですね。ライザップは夫婦のコミュニケーションとして楽しみつつ取り組んでくださいね(*^-^*)ノシ
一生懸命、に無駄なんてひとつもないし、遠回りのようで案外近道だったりしますし☆
応援してま~す♪
こおろぎ
初めまして!
ず~っと愛読させて頂いてますが、思わぬ展開に興奮しまくってます。
なぜなら私も今年の5月にサーフィンを始めたので。
48で初挑戦の夫に引きずり込まれて、超・超インドア派なのにもかかわらず、この夏は波にぶん投げられ続けてました。
じじょくみ様、ご主人がインストラクターとは羨ましい限りです。
夫も私も、当たり前なんだけども、想像してたよりはるかに体力・筋力が必要なのを思い知り、サーフィン以前の体力作りを始めました。
ボードの上に本っ当に全っ然立てなくて、もうほぼ諦めの境地だったんですが、じじょくみさんの記事を読んで、俄然やる気が出てきました!
と思ったら次回最終回なんですか。そうかあ…、残念。じじょくみさんのサーフィン上達レポートが読みたいです。
サーファーガールとして島になじめそうとのこと、とても嬉しく思います。最後のオチが面白すぎました。
じじょうくみこ Post author
みなさま、お返事遅れて申し訳ありません!風邪でぶっ倒れてましたー(ー ー;)
まとめてレスでごめんなさい!
>>カミュエラさま
コメントありがとうございました!
なんと、空手を始められたと! それはいかにもストイックっぽいジャンル(笑)
なんですかねー自分を追い詰めると空手ハイみたいな領域に入るんでしょうか。
ドSザビ男にしごかれることに快感を覚えることが果たしていいのかわかりませんがw
とりあえず、やってみてよかったかなーといまは思っております( ´ ▽ ` )ノ
>>いまねえさま
コメントありがとうございました!
なんとなんと、サーフィンがお金持ちのスポーツ?
それってサーフィンがファッションというか、
おしゃれ文化の一部だったことのお話かもしれませんね。
最近のサーファーは全然違うようです。
お金持ってないし、使わないし、ふらふらしているというイメージっぽいです。
あんなに大変だと知っていたら、やらなかったかもですが
(いやサーフィンはやってないですが・・・)
ちょっと面白かったです♪( ´θ`)ノ
>>はしーばさま
コメントありがとうございました!
対象がなんであれ、がんばっていると誰か見ているものだなあとちょっと思いました。
島の方々も会話するタイミングがなかったのかなあ、と。
実際のところ、お店などでよく見かけていた人なんかもいたので。
はじめましての挨拶って、どちらにとっても難しいものなんですねえ(ー ー;)
>>くるりんさま
コメントありがとうございました!
なるほど、2ヶ月ですね(ニヤリ)
あれから海には出ていないのですが、
ライザップはコツコツ続けていこうと思っております。
いま風邪っぴきでさぼってしまっているので、早くもカラダがぶよぶよ( ; ; )
これから冬にむけてがんばりますー!
>>こおろぎさま
初めてコメントくださり、嬉しいです!
なんとなんと、サーフィンデビューされたのですか??
わたしはまだサーフィンはできていないんですよーこおろぎさん、すごいなあ。
しかも夫婦そろって!? 旦那さんどうしちゃったんでしょう(笑)
また機会があればチャレンジしたいと思いますので、お互いがんばりましょうねっ!
よかったらまたサーフィン体験教えてください♪( ´θ`)ノ