第23回 未来少年コナン/なつぞら雑感
『未来少年コナン』は、初回放送1978年。演出 宮崎駿、作画監督 大塚康生。制作は、世界名作劇場でおなじみの日本アニメーション。原作はアレグザンダー・ケイの『残された人々』。(原作未読です)dアニメストア、dアニメストア for Amazon Prime Videoで見ることができます。
50半ばの方には、お馴染みかもしれませんが、さわりを少しご紹介しますと…
「超磁力兵器」が用いられた最終戦争の20年後、少年コナンとおじいが暮らす「のこされ島」に少女ラナが漂着する。彼女は太陽エネルギーシステムの技術をもつラオ博士の孫娘。ある目的のためにシステムを利用したがっている、科学都市インダストリアの行政局長レプカが、ラナを連れ戻そうとして…。追いつ追われつ、わくわくハラハラどきどきの活劇が始まります。
危機を乗り越える最強の手段は、コナンの生身の体と身体能力。ストーリーでもアニメーションでも、これが面白さの肝です。少年コナンは、無尽蔵の体力と持久力、そして、手足指の握力(吸着力?)をはじめとするバカバカしいほど人間離れした高い身体能力の持ち主です。愛嬌のある造形のキャラクターが、あり得ない動きをすると、へぇ!そんなことできるの?アハハ!、ええ!だいじょうぶ~?ふふふ…と、笑ってしまいます。
フィクションにも程がある!それは無理があるわ~と、冷静にツッコミながら見るのも楽しいです。アニメではもう見ることのない未成年者の喫煙シーンがあったり、子供の頃は手に汗握り応援していたコナンも、(私だけかもしれませんが)今となってはその騎士道精神が息苦しく見えたりと、時代の空気を再認識できます。
時代をこえて面白い、終末後の未来のお話。全26話ですが、まだまだ先が続きそう。起伏の多い硬派なストーリーと愉快なアニメーションで、見ごたえがあるアニメの代表格だと思います。余談ですが、私はこの作品で初めて、サルベージという言葉を知りました。
デジタルのシャープな線や繊細な背景に目が慣れた今も、ときどき見たくなる作品。
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朝の連続ドラマ『なつぞら』が終わりました。
皆さんは誰ロスですか?私は、ロスとまではいきませんが、照男の佇まいが好きでした。制作発表時は、どうなのよと思っていた主人公役の広瀬すずでしたが、気丈さがにじみ出るイケメン(イケパーソン?)で、良かった。
さて。
『なつぞら』は、女性アニメーターの草分け的存在を描いた話でした。主人公のモデル故奥山玲子の伴侶・小田部羊一がアニメーション時代考証というので、熱心に見ていました。彼は、宮崎駿・高畑勲らとともに、『アルプスの少女ハイジ』を描いたアニメーターです。ドラマ内では、アニメーションの製作過程や表現の工夫がおり込まれており、それを鑑賞ポイントにして、懐かしのアニメを見なおしてみようかという気になりました。まだ見ていないけれど。
放映期間内の7月、東京で高畑勲展が始まり、9月には三重県津市で、惜しくも早世したアニメーター、近藤喜文展が巡回を終えました。彼は『火垂るの墓』など高畑作品を支えた腕っこきのアニメーターのひとりです。そして、今月13日までスイス国立博物館で『アルプスの少女ハイジ展』が開かれています。これは、お里帰り?それとも聖地巡礼?
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今年、朝ドラと同じ放送局では、バランスを取るかのように、さまざまな番組で、他のレジェンド級アニメーターに、しっかりとリスペクトを表していました。
1月、『歴史秘話ヒストリア』/『ぼくはアニメの虫 手塚治虫がやりたかったこと』では、テレビアニメを始めたとして、手塚治虫を取り上げました。4月からは、ファーストガンダムのキャラクターデザインと作画監督を務めた 安彦良和(やすひこ よしかず)を総監督としたアニメ『機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 前夜 赤い彗星』(全13話)が放映されました。(すでに公開された劇場版全6作を、ガンダム放映開始40周年プロジェクトとして、再編集したもの。ガンダム未見の方におすすめです。)
そして9月も下旬に入ったころ放送されたのが、『セカンドの美学』/『ルパン三世・峰不二子』。ルパン三世のセカンドは峰不二子なのか問題はさておき、『ルパン三世』放映前の貴重なパイロットフィルムが公開され、ファーストルパンの初代演出である大隅正秋、カーチェイスを描いたアニメーター友永和秀とともに、作画監督の大塚康生(おおつか やすお)が出演していました。
ついに、大塚康生、登場! 米寿ですか!
秘仏を拝するがごとく、手を合わせて画面を見ていました。
子どもの頃、といっても多少しくみがわかる年齢になると、最初や最後に出てくる名前は番組を作った人たちだと分かります。『ムーミン』、『ルパン三世』、『ど根性ガエル』、『ガンバの冒険』など、面白いアニメには必ず大塚康生の名があり、アニメは全部この人が作っているのか?と、不思議に思ったものです。それはエンドロールに注目するきっかけとなり、今でも好感を抱いたアニメには、共通する名前を探そうとします。
大塚康生は、『なつぞら』で川島明扮する下山克己のモデルと言われています。愉快で包容力のある、アクションシーンが大好きな腕のいいアニメーターとして描かれており、ほっとしました。ドラマ中で、マコプロが製作提携した『三代目カポネ』(『ルパン三世』からひねり出した?)はどうなったのでしょう。一話とまでは言いいません。パイロットフィルムでも見せてもらえないでしょうか。
(以上敬称略)
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『未来少年コナン』については、いつ書こうかと思案していたのですが、今をおいて他になく、調子に乗ってアニメ原体験まで開陳してしまいました。長文、お許しください。都合により、次は来月更新いたします。
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*アイキャッチ画像と動画は、当該作品の公式HPより
水仙
一気に読み進めてしまいました❗️まだ、朝のゴミ出しもしてないのに。
まさにドンピシャの世代。
あの頃はエンドロールの名前を真剣に見てなかったのにも関わらず、ここに出てくる名前がわかる人ばかり‼️
朝から、あの頃の自分にワープしてしまいました。
SHOJI Post author
水仙さん
コメントありがとうございます!
ゴミ出し前のお忙しい時に一気に読んでいただいて、感激です!子どもの頃にワープしました、だなんて嬉しいお言葉ありがとうございます。コナンと言えば「未来少年~」の世代ですものね。ここに出てくる名前がみなお分かりになるということは、水仙さんもアニメ好き!機会があれば、面白かったアニメを、教えていただけたら嬉しいです^^