第30回 歌舞伎町シャーロック
『歌舞伎町シャーロック』は、オリジナルTVアニメーションです。監督吉村愛、アニメーション制作はProduction I.G。2019年10月からテレビ放送されており、Netfrix他で配信されています。
混沌の街、新宿區イーストサイドの中心にある歌舞伎町。ハドソン夫人のBAR『パイプキャット』に集まる6人の探偵。そのなかでも腕が良いと評判のシャーロックに、ウエストから一人の医師ワトソンが依頼人として訪ねてくるのです。折しもイーストでは通称「切り裂きジャック」による猟奇殺人が話題になっているところで…。
海外ドラマの『SHERLOCK』は好きだったし、Production I.G制作だし、シリーズ構成が岸本卓でキャラクターデザイン&作画総監督が矢萩利幸で、彼らは『ジョーカー・ゲーム』を手掛けているし!そんなわけで本作については、制作発表時から楽しみにしていました。
ところが。
歌舞伎町に行ったことがないので街やバーの雰囲気が想像できない。クセが強い登場人物ばかりなので入り込めない。落語か本家シャーロック・ホームズシリーズの本歌取りなのかと思ったけれど、どちらの知識もなく分からない。シャーロックが謎解きする推理落語は、ちょっと唐突じゃない?エキセントリックな犯人キャラがなんか無理してない?今私はエネルギーレベルが低いので、この作品をのんびり見られない…。
ことほどさように、5回くらいまで見た時点でも、面白さがよく分からないのです。(汗)それでも、無いない尽くしを乗り越えて、ぼちぼち見ていたところ、10回あたりで大きな山場を迎えました。
おお!そうか!そしてすぐに2クールめに入るのか!ということは、もうひとやまくるのか?そうすると、がぜん興味がでてきます。初めから見なおし、胸襟を開かない登場人物たちの振る舞いやセリフ、人間関係を確認してしまう。何事も積みかさねで、推理落語にも慣れてきました。今ではBAR「パイプキャット」の常連になりつつある私です。
殺人事件もあれば、だまされた住民を助けることもある。大きなヤマの合間におバカな息抜きエピソードが挟まれたオムニバス形式です。依頼人として来た平凡な人ワトソンとともに、見る者もだんだん街や人に慣れていく仕掛けでしょうか。読書気分で見る、大人向けミステリーアニメです。気楽なときにどうぞ。
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*アイキャッチ画像と動画は、当該作品の公式HPおよび配信予告より