第34回 弱虫ペダル
『弱虫ペダル』は、2013年第1期放送開始、その後2018年に第4期が放送された。アニメーション制作はTMS/8PAN(トムス・エンタテインメント/制作8班)。現在Netfrixで第4期まで見ることができる。渡辺航による原作漫画は、2008年から始まり今なお少年チャンピオンにて連載中だ。
千葉の総北高校一年の小野田坂道は、入学したらアニメ研究部に入ろうと考えていた。だが、ひょんなことから同じく一年生の今泉俊輔、鳴子章吉らと知り合い、自転車競技部に入部する。他の二人はこれまで自転車レースを何度も経験しているが、中学時代の坂道は、毎週末と夏休みの毎日、秋葉原まで往復90キロをママチャリで走っていただけ。果たして、三年生をはじめとするインターハイを狙う部員たちについていけるのか?
アニメオタクの主人公坂道は、いつも低姿勢で初心者を自覚し、今泉や鳴子らがこの楽しい場に連れてきてくれたと感謝する。その小柄で目立たない彼が、秘めたポテンシャルで、仲間や先輩、果ては他校の選手たちにまで影響を与えていく。それがどれほどのポテンシャルで、どのような影響かは、見てのお楽しみだ。
画面の中ではたいてい誰かが走行している。ときに緊迫した、ときに晴れやかなBGMに乗って、眩しい青空の下深緑の間を、総北高校自転車競技部とともに、観る者も駆け抜ける。レースになると目をそらすヒマはなく、体に力が入り、延々見続け、気が付くと自分もヘロヘロになっている。
なのにまた、見てしまうのだ。<推し>のあの言葉を聞くために。あのシーンでまた涙するために。力尽きてもなおペダルを踏むスプリンターが、クライマーが、ゴールラインを越えた時の、あの高揚感と脱力感を味わうために。
第1期38話と第2期24話で入学から夏までを描く、長いようで短く短いようで長い話だ。さらに熊本を舞台にした劇場版を挟んで第3期25話、第4期25話と、次の年へ続くのだが、他校の選手も含めた個々のキャラクターの成長が楽しみで、飽きることはない。
画面の中ならどこへ行くのも自由だ。彼らのロードレーサーに便乗し、この鬱屈と緊張を解き放て! >私。
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キャッチ画像と動画は当該作品の公式HPおよび宣伝PVよりお借りしました。
漫画でもヘロヘロになれます。