第37回 BATMAN NINJA
『BATMAN NINJA』は、2018年日本公開の、日本アニメのトップクリエイターらが集まって作ったアニメーション映画。『ニンジャバットマン』で検索してもNetflixでは出てこないので要注意です。
アニメーション制作は神風動画。動画をご覧になればすぐ分かる、並外れて高い密度の画とダイナミックな動き。刃の重さまでも感じるソリッドな質感が、テンポの良いアクションで映えます。上の動画では出てきませんが、すっきりと美しい空を含む細密な遠景は、まるで吉田博の木版画のよう。京アニとはまた違う緻密な画面です。
スーパー・ヴィランであるゴリラ・グロッドの実験に巻き込まれたバットマンは、なぜか戦国時代の日本に立っていた!城下町で早速ジョーカーの手下に囲まれて…。先にタイムスリップしていたキャットウーマンの説明で事情を知ります。
警戒はしているのだけれど、割と簡単に裏をかかれてしまう、ちょっと脇が甘いバットマン。ジョーカーはそんなバットマンにあの手この手でちょっかいをかけてくるのです。自分はバットマンが大好きなのに(?)バットマンは相手にしてくれない。狂気も可愛げもあるこのジョーカー(声 高木渉)は、最高です。
アメコミ『バットマン』に、日本と日本のアニメのさまざまな要素をこれでもか!と盛りに盛ってあります。(いや、日本と日本のアニメに『バットマン』をぶち込んであるのか?)ジョーカーの狡猾な手口に正攻法で向かうバットマン。状況はオセロの石のように裏がえっていくのですが、両陣営とも、その指す手指す手がアホみたいな過剰さで、笑ってしまう。そのアホさが、やはり過剰でかっこいい最後の剣劇を引き立てている。
過激な表現は自分たちの作品にはいらない要素だという神風動画の水﨑監督のインタビューを読んだことがあります。その通り、子供も大人も楽しめる、誰も死なない娯楽映画。私は、難しいことが頭の中をぐるぐるするときに見ています。
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コロナ禍で保留にしていたシリーズもこれで最後です。今秋の舞台化が発表された時に準備しましたが、このバカバカしくもユーモアたっぷりのカッコいい作品が、こうもりがコロナを連想させることで遠ざけられたら悲しい…という謎の理由で投稿を自粛していました。今思えば、自分が過剰反応していたんですねー。(笑)
さて、仕切りなおしの7月アニメ。
注目は、やはりNetflix独占配信の『日本沈没2020』(湯浅政明監督)でしょうか。これは2015年にヒューゴー賞を受賞した中国SF『三体』の作者リウ・ツーシンが、印象に残る小松左京作品として『日本沈没』を挙げていたことと関係が…あるのかな?ないのかな?
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キャッチ画像と動画は当該作品の公式HPよりお借りしています。