第39回 GREAT PRETENDER
『GREAT PRETENDER』はコン・ゲーム(信用詐欺)を扱ったエンターティンメント・アニメだ。Netflixで6月から、フジテレビ系で7月から放映中。エンディング曲はフレディー・マーキュリーが歌うグレート・プリテンダー。
詐欺は犯罪なのに「コン・ゲーム」というと軽妙で小粋な感じがするのは、たぶん 映画『スティング』のポール・ニューマンとロバート・レッドフォードのせいだ。本作もやはり軽妙で小粋。違うのは、さらに心温まるところだ。
弱い者を標的にする詐欺はサイテーかつサイアクだが、悪党がやり込められるのは痛快だ。悪党たちから大金をまきあげるための大仕掛けと、4人の詐欺師それぞれが絡むエピソードは、CASE1(1-5話)、CASE2(6-10話)、CASE3(11-14話)と、ひとり/1案件/のべ1時間~1時間半になっている。(CASE4の予定あり)このテンポで進むアニメは見たことがない気がする。
私は、いろいろ推理するより、あっさり騙されてスッキリするのが好きだ。特に最初の案件は面白かった。コン・ゲームのあら筋を書けるわけがないので、ひとつだけ。好きなキャラクターができた。エダマメ。
ロサンジェルス、シンガポール、ロンドンと、舞台は海外の観光地。さまざまな線と色で彩られた鮮やかな景色は、鈴木英人やわたせせいぞうの、眩しい夏の画を思わせる。3DCGでがっちり作った屋外のエアレースコースがあるかと思えば、リアルな質感は追求せず、筆跡ののこる油絵のようにざっくり塗ってある建物の内/外観がある。また、外光や室内の灯りなど異なる光源から光をうけていることを描き、奥行のある空間を出現させ、カクカクした輪郭が特徴的な2Dキャラクターを、画面に溶け込ませる。多用されているピンクが華やかに見えたり、シックに見えたり。背景美術のおかげで、この爽やかな虚構のエンタメ度がググググっと増している。
脚本・構成が『コンフィデンスマン JP』シリーズの古沢良太(こさわ りょうた)。キャラクターデザインが『新世紀エヴァンゲリオン』・『サマーウォーズ』等の貞本義行。アニメーション制作は『進撃の巨人』等を手がけたWIT STUDIO。監督は『鬼灯の冷徹』等の鏑木ひろ。人気クリエイターを揃えて、これでは外れるわけがなかろうと思ったが、好みかどうかは別ものらしい。『鬼〇の刃』の余韻に浸る家人はハマらなかったと言う。全然違う枠組みだから、それもやむなし。
映画好きというほどでもない私が、これはあの映画を踏まえていると分かるシーンがいくつもあるので、映画をたくさん見てきた人はさらに楽しめるのでは?
見る前に(梨泰院クラスより面白い映像作品が、今、ある?)と内なる声がささやいたが、見始めるとすぐ(比べるものではないね)と分かった。
若干のお色気ネタがあり、地上波では深夜枠で、ネットフリックスでの年齢制限はありませんがキッズではないと思われます。
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キャッチ画像および動画は、当該作品の公式HPからお借りしています。
saki
以前、トンコハウスのダムキーパーをご紹介したsakiです。
オンラインのトンコハウス映画祭で、あさってまで無料で、短編16作品が見られるそうです。
https://tonkohousefilmfestival2020.studio.design/
私も今日知ったばかりで、子供たちとあわてて何作品か見たところです。
なかなか面白いですよ〜!
SHOJI Post author
sakiさん
トンコハウス映画祭のご紹介ありがとうございます!
ショートアニメって、楽しいですよね。
明後日までなんですね。さっそく、見ます。
これからも、これ良いよ~という作品があれば、おしえてください!