第95回 PLUTO(プルートウ)
世界で最も好きな漫画作品のひとつ「PLUTO」がアニメ化され、先週からNetflixで配信が始まっている。手塚治虫の「鉄腕アトム」のなかから『地上最大のロボット』をリメイクした浦沢直樹(長崎尚志プロデュース・手塚眞監修)による原作は、2003年からビッグコミックオリジナルに連載された心理サスペンスだ。
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人間とロボットが共生する時代。スイス林野庁のロボット、モンブランが破壊された。同じ頃ドイツでベルナルド・リンケという人間の活動家が殺害された。共通するのは現場に残された2本の角のようなもの。ふたつの事件を追うユーロポール特別捜査官のゲジヒトは、モンブランと同様世界最高水準の7体のロボットの1体だ。まもなくスコットランドでもう1体、ノース2号が破壊された。ゲジヒトは日本のアトムに協力を求め、しだいに破壊や殺害の動機にせまるのだが…。
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ときおりテレビ番組で披露される手元では、浦沢はこの一本という線を選び出して表情を描いている。その複雑で微妙な表情が再現され、そこにベテラン声優の抑えた演技が加わって、キャラクターの精神的要素が増幅している。ふと気づくと聞こえる劇伴はピアノの左手のように通奏する悲しみ。横顔に差すアニメ塗りの陰や、黄を帯びた色彩のシーンも憂いがあって好きだなあ。臨場感あるアニメになって本当に良かったなあ。
ただのファンの独り言になってしまった。
原作を読んでストーリーを知っているのに、毎回涙する。1話約60分で全8話。コミック1冊が1話相当になっているので、見ていて区切りが良い。
原作をご存知なくても、見られる環境にある方は、ぜひ見て欲しい。1話のノース2号を見れば、必ず次も見たくなります。
アニメ『PLUTO』公式サイト (pluto-anime.com)
すでに舞台化されており、海外でも高く評価されている本作のアニメ化が今になった理由が、公式サイトSPECIAL CONTENTSの丸山正雄&真木太郎インタビューで分かります。
PLUTO デジタルVer.(1) (ビッグコミックス)