第115回 野生の島のロズ
「野生の島のロズ」は、ピーター・ブラウン(米)の児童文学『野生のロボット』シリーズを原作に、クリス・サンダースが監督・脚本を手がけ、「ボス・ベイビー」でおなじみのドリームワークス・アニメーションが制作しています。2025年アニー賞最優秀作品賞他を受賞しています。
いやあ、久しぶりに万人向けのアニメーション映画をみました。こりゃアニー賞獲るはずだよ!と素直に思えるすばらしい作品です。(イントロダクションやストーリーはのリンク先公式サイトをご覧ください。)
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無人島に漂着した最新型アシストロボットとそのロボットに育てられた雁の(疑似)親子関係を軸に、科学技術(ロボット)と自然(動物)、動物と動物、ロボットとロボットなどの関係性を描いています。大人であれば、なるほどね!そういうことね!と誰にでも分かる明快なメッセージ。幼いこどもならば、この世の複雑さを知るきっかけになるでしょう。
けれども、押しつけがましくはないし、物足りない感じもないのです。
なぜだろう。やはり映像の豊かさ、アニメーションの滑らかさが、私(シニア)の心の垣根を低くしているのでしょうか。ロズの動きもたいへん面白いですし、数えきれないほどの昆虫や鳥・動物がいっせいに動く様子に圧倒され、自然物がときおり見せる華やかさに驚嘆します。そして、ときどき絵画のように見える背景美術に安らぎを感じます。
宮崎駿監督の影響を受けているとサンダース監督自身が語っているように、ロズのデザインだったり、雁とその群れの飛翔だったり、随所に宮崎アニメとの共通点が見られ親しみを感じます。
あと、吹替版を見たのですが、ロズを演じる綾瀬はるかの演技が良かったです。初期設定から始まって、環境を学習し、動物たちと交流していくうちに心が芽生えるロボット役がピッタリ。そういえば彼女はサイボーグ役を演じてましたっけ。無機質な応答から温かみのある会話へのゆるやかな変化、合理的な判断と不合理な決断に揺れる様子が自然に感じられます。
公式サイトには文部科学省 選定作品の文字が。おとなもこどもも安心して見てくださいってことですね。
映画館の大きなスクリーンで見るのがおすすめですが、公式サイトにも多数の予告編が有ります。ぜひお楽しみください。美しいですよ!