「最高の離婚」ファントーク
<対談「最高の離婚」第5回>親戚の「雑なオーダー」と 台所で感じる「抑圧」。 実家って、ああ!
前回はこちらをご覧ください。
<灯里(真木よう子)の妹は、
青森の実家近くに家を建てているに
違いない。>
カリーナ:小関さん、4話から6話で好きなところってどのへんですか。
小関: さっきも話に出た結夏の盆栽ぶちまけながらの慟哭と、
※灯里と妹の会話がぐっときましたね。
故郷に今もいる人vsそこを出た人、長女vs次女、
あそこはいろんな要素が入ってて、イタタタ…ってなりながら見てました。
※八戸から灯里の妹がディズニーリゾートの買い物袋をかかえて訪ねてきて
日ごろの思いをぶつけて帰っていく。相手の一番痛いところを突く戦法。
「お姉ちゃん基本だめんず好きだもんな。そういう面倒くさい女の典型だべ。」
「お姉ちゃん、お母さんと話したがらねえのは認めたくねえからだべな。
自分がお母さんさ似てること。そういう血だべ。」
カリーナ: たしかに。灯里が妹に「(旦那さんは)真面目な人でいいじゃない」という一言で、
おおよそ想像がつくというか。いろいろ背景を想像させますよね。
小関: 妹、すごく堅実な人生を歩んでそうでしたもん(笑)。
あれは絶対に、青森の実家の近くに一戸建てを建ててる。
カリーナ: ははは。鋭い!節約もしてる!しっかり!
小関: 灯里は、青森でのあれこれが本当にいやだったんだろうなあ、
なかったことにしたいんだろうなあ、
だから諒みたいな危うい人を好きになっちゃうし、
感情もあらわにしないし…。
でも、抑えているだけだから何の解決にもなってないところが。
カリーナ:ってことはですよ。結夏の実家のあのイジョーな宴会好き、
カラオケ好きが結夏に影を落としているとか(笑)違うか(笑)
小関: 結夏の実家の宴会感は、自分も覚えがないわけじゃないです。
カラオケはなかったけど、十年くらい前の帰省時ってあんな感じでしたし。
いい人たちだけどがさつっていうか、
こまやかな話とか理解は望めないのが結夏の実家なのかな〜と思いました(笑)
<親戚の「雑なオーダー」と
台所で感じる「抑圧」。
実家って、ああ!>
カリーナ: わたしも、小さい頃は※あんな感じで
(その後、親戚仲が悪くなったのでパタリとなくなるという悲哀)。
ああいう場が求める行動ってありますよね。
※結夏(尾野真千子)の実家は、静岡県富士宮市にある。
ガッツ石松演じる尿路結石を患う父と 大島蓉子演じる母、
間もなく二人目の子どもが生まれる兄がいる。
光生(瑛太)と実感に帰ると、わらわらと親戚や近所の人(?)が集まり、
宴会が始まる。カラオケも定番。
小関: うちは緩やかに親族が老いたり、亡くなったりして、自然とトーンダウンしましたね…。
ああいう場って、ふだんの趣味とかを一切関係なく「盛り上がれよ!!って雑に強制してくるんですよね。
カリーナ: あー、わたし、小さかったけど「相撲とれ」って言われて子どもながらに嫌だった―!
小関: 相撲!!! なんて雑なオーダー!!
カリーナ: いとこ(男子)と!いやだった―!
小関: ぎゃー!! やですねそれは!!!
カリーナ: やでした。思い出した。
小関: 灯里も、青森の実家の宴会はあんな感じだと思いますよ…。
もちろん、女性陣はひたすら台所にたって何か作ってお酒出して、
後片付けもして。私もそうでしたけど。近代ってなんだろうな、
学校で習った男女平等ってなんだろうなって思いながら、皿洗ってましたね。
カリーナ: わたしは、夫の家がそうで義母が「さあ、男の人たち、先に食べて」って
最初のころ言っていて、「ええええーーー!」って思いました。
小関: 「女(男)はこうあるべき」「結婚はこうあるべき」っていう抑圧ですね。
そういう抑圧にひきさかれているのが、今の30代〜40代だ、
っていう記事を読んだことがあります。だから、つらいんだろうと。
カリーナ: 団塊の世代が親だったりする世代とその前後とかですかね。
小関: ですです。最近、ラジオとか雑誌で話したり書いたりしてるジェーン・スーさんって人が
インタビューで答えてた記事なんですけれど…。
ひきさかれているっていうのはまさにそうだなと思いました。
で、私はそのひきさかれてる人たちの話として「最高の離婚」を見てました。
カリーナ:価値観がちょうど混じりあうというか、そういう年代なんでしょうか。
わたしは、男女雇用均等法の何年か前の世代なんです。
だから、就職は腰かけでいいという感じが色濃くありました。
姉は団塊の世代なんですが、独身で、
そのことが大変に苦しかったと言っていました。
まわりが「全員」結婚したからです。
団塊の世代は、フェミニズムも知りながら、
しかし家庭に入るしかないといってもいい世代だった。
小関: 知識として得たものと、実際に自分が選べるものに隔たりがあるのは苦しいですね…。
カリーナ: 本当にそうですね。
そのリアルな感じを実家を描くことで見せているのはさすがだなー 。
小関: ドラマも中盤を終えて、それぞれが抱えてきた問題が全部机の上に出された感じです。
小関: 特に7話以降は、友達と「あれは気持ち悪いか悪くないか」と
議論になった回が出てくるので、カリーナさんの感想が楽しみです…。
カリーナ: え、どこだろ、どこだろ。
なんか、今回はとりとめがないような気もしますが、でも楽しかったなー。
ますます楽しいな。
小関祥子さんのプロフィール
福島県いわき市出身。女性向け、児童向けの実用ジャンルで
主に仕事をしているイラストレーター。映画好き、料理好き。
小関さんの詳細なプロフィールやお仕事はこちら→kittari-hattari