「最高の離婚」ファントーク
<対談「最高の離婚」第6回>お互いのどこが好きか・・・。すぐに答えられるけど、すぐに退屈しそうな恋愛関係もある。
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小関: 前回の対談の最後のほうで、
7〜9話は友人たちと「気持ち悪い!」と言い合った回があるとお話したんですが、
カリーナさん、どこだかわかりましたか?
カリーナ: それは、灯里と光生の間のムード的なことですか。
小関: はい。あそこで、敬語からタメ口に
※わざとらしく切り替えるところがあったと思うんですが、
あれが「好意を持ち合うふたり」を演じているようで、
気持ち悪かったね…と。
※ふたりがかつて住んでいたマンションを見に行って
「灯里」と急に呼び捨てになるシーン。
カリーナ: ははは。「灯里」にかわるんですよね。
あれ、でも、わかる気もするんです。
傍から見ると気持ち悪いんですが、
そういう関係に立ち戻る瞬間を待ちに待っていたというか。
小関: 待ってたんでしょうか、あれ。溺れていたところに
ちょうどいい浮き輪が流れてきたから
しがみついちゃったようなものかと思ってました。
カリーナ: いや、そうだと思いますよ。
そうなんですけど、わたし、
「自分の恋愛を異性の友人に相談する人を信じるな」というモットーがあって、
なぜ、信じちゃいけないかというと、
そこには必ず「あわよくば、そういう関係に」という下心があるからというものなんです。
この二人にもそういうところが多少なりともあって、こう、あわよくば・・・的な、
「恋愛の悩みの分かちあいから、互いのエロスが放出されて
気分が盛り上がる」的な流れが、
あの「灯里」という、ちょっと傍から見ると気持ちの悪い
タメ口に表れていると思いました。
光生は不思議に灯里といるとフツーの男子になるというか、
恋愛上手的な?なんかそういう感じになりますよね。
きっとそれはいつか退屈に向かうんじゃないかなと
そういうことを予想させる恋愛上手な感じなんですけど。
小関: 弱っている時、傷ついた時に「この人が好きだ」と思い込むことで、
自分を立て直そうとするずるさはわかるなあと思いながら、
だからこそ「ああ…気持ち悪いな…こういうのあるけど…」と見ていました。
カリーナ:たしかに。あのときの瑛太さんは、ああいうときの男性の、
なんていうのかな、こう、異性相手に行う演技みたいなもの
をうまく演じていましたよねー。
灯里は、率直に※「誰でもいい」と勝負をしかけてきて、
※「1回寝てみよ。
取りあえず、寝てみよ」と言う。
光生は、なんか、ゆらゆらとゆれている。
やっぱり、灯里のことも、かなり好きなのかなあとか。
小関: もちろん、灯里のことも好きなんですよね。傷ついてほしくない。
でも、あそこで流されて手を出したりはしない光生は優しいし、
ロマンチストだなと思いました。
カリーナ:※ 「お昼に会おう」ってところですねー。誠実です。
※「弱ってるからとかそういうんじゃなくて、そういう流れの中で・・・」と
今度、競馬に行こうと誘う。
小関: はい! ちゃんとしてますね。
カリーナ: つかのま二股をかけるわけですが、でも、二股相手に対しても
「恋愛関係をしっかり育てる」という姿勢で向かうところが、
ほんとにいい人です。信頼できる。
小関: どんどん株があがっていく光生!
カリーナ: もう、うなぎ上り!
小関: 今回、とても印象的だったのは、
※結夏のお父さんと一緒にスカイツリーへいくエピソードでした。
ほとんど異文化コミュニケーションくらいに違うタイプのお義父さんと、
いちばん嫌いそうな混んでいる場所に出かけて、
それなりに楽しく過ごしていましたね。
※結夏の父・健彦(ガッツ石松)が葬儀のために上京し訪ねてくる。
光生が結夏が家を出たことが言い出せず、
翌日はスカイツリー観光へ。
カリーナ: スカイツリーを見た途端、あがってましたねー。テンション(笑)
そっかー。混んでる場所ですね!光生の一番、きらいなはずの。
そこ、スルーしていました。
小関さんは、そういうサブ的なエピソードも丁寧に見ていますねー。
小関:義父の誘いだからむげにもできないんでしょうけど、
いったらいったで楽しんでいて、
いろいろ自分で制限をつけているだけなのかな〜と思いました。
カリーナ: ああ、なるほど!思った以上に適応力がある。
小関: 10話で、でんぱ組.incのライブにいってドハマりしてますし、
適応力高いんですよ…。
カリーナ: あああーーー!そうでした、そうでした(笑)。ありましたね。
それにしても今回もいろいろ考えさせられました。
たとえば、灯里に「コンタクトにしたほうがいい」
「キレイな顔のなのに気づいていない」って言われて、
そしたら代官山の美容院に行ってカットしてきて、コンタクトにしちゃう。
ああ。こういうのって結夏には与えられない刺激だなあと思ったし、
逆に灯里を連れて競馬に行くじゃないですか。
こういうの灯里は求めているのかなあ、
こんなデートには関心ないんじゃないのかなあとか。
そういう「与えられるもの」と「与えるもの」のズレというか、そういうものを。
小関: 破局したけれど、灯里と光生はとても「異性同士」という感じが強いです。
あと、灯里と光生が一緒に競馬へいったことを知った結夏が
とても動揺していましたが、
競馬にいきたいとか連れていってくれとか
そういう話、ありましたっけ?
カリーナ: 「灯里と光生は異性同士」という感じが強い」
・・・そっかあ。すごく興味深いです。
競馬、そうですね。二人の間には出てきていないですね。
小関さんのいまの言葉の私なりの解釈ですが、
結夏と光生は「魅かれあっているけれど、
どこに魅かれあっているのかお互い、わかっていない」関係が
ずっと続いているように見えますよね。
お互いが口にしていない、ということなんですが。
小関: ああ、それです! 灯里と光生は、たぶんお互いのどこが好きかすぐ言えそうです。
カリーナ: そう。すぐに言葉にできる関係。
お互いが優しさをやりとりする方程式もすでにあるみたいな。
だから関係は安定するし、傍から見るとすごく「恋愛っぽい」けど、
すぐに退屈もしそうです。
小関: 結夏と光生はどこが好きだと思っているかうまく伝え合えていないけど、
何かがあるのはわかっている。
でも、日常生活のもろもろの前にそれがわからなくなっている…。
カリーナ: うんうん。灯里と食べる鍋の楽しみ方、映画の楽しみ方、
それは想定できますもんね。
光生と結夏は二人で工夫して作り上げないといけないから
大変だけど、なんか、オリジナルな感じ。
小関: でも、そうやって作り上げるほうが強い関係性になりそうです。
あ、でもそれに途中でくじけて離婚しちゃったんですが…。
小関祥子さんのプロフィール
福島県いわき市出身。女性向け、児童向けの実用ジャンルで
主に仕事をしているイラストレーター。映画好き、料理好き。
小関さんの詳細なプロフィールやお仕事はこちら→kittari-hattari