〈 晴れ 時々やさぐれ日記 〉 ああ、「エレガンスへ至る道」②。母とわたしのあいだ
――— 46歳主婦 サヴァランがつづる 晴れ ときどき やさぐれ日記 ―――
「 ねえ あーた。去年 梅田の阪急で見たロジェ・ヴィヴィエ。やっぱりもらっておこうかしら 」
先週の電話の友人同様、「エレガンス」に弱いひとが身近にもう一人。実家の母、76歳。
「 もうね、本っ当~に気に入るお靴がないのっ。シンプルですきっとしたエレガントなお靴。お靴よ、お靴っ。どうしたって必要なのは “これ!”って言えるお・く・つ!」
このひとの「エレガンス」へのこだわりはちょっとヘンです。
・「お洗濯ものひとつとってもね、エレガントに干すってことが大事なんです!」
曰く、干す作業は無駄のないシンプルな動作で。曰く、風とお日様をよく通し、見た目に美しい干し方をすべし。
そういう母の「干し姿(?)」は養蜂家。洗濯ものは日に当てたくても自分は一切当たりたくはない完全武装のものものしさ。何もねえ、そこまでしなくてもねえ。。。
このひとはまた、こんなことも言います。
・「 わたしはこれでいい。。。 」そう自分につぶやけることは、何よりあなたを笑顔にするし、しぐさや言葉をエレガントにします。
・ 自分を律すること。暮らし方も、身じまいも、体重のコントロールも、すべてはあなたの気持ち次第。気持ちや暮らしが乱れれば、それは見た目にハッキリと現れる。あなたが乱れれば家族も乱れる。自分の心身を一定に保つこと、それがエレガントに暮らす秘訣です!
ご説ごもっとも。しかしねー、わたしはねー、そういうシンプルな選択を未だかつて、いや年々ますます、体得できない方向なのよねー。もごもごもご。。。
いついかなるときもエレガントに。
「 まっすぐな姿勢とアイロンと靴みがき」それを三点セットにする母は、車でも電車でも、背もたれに背をもたせることがありません。 「 顔のシワとくすみは仕方がない。でも、生活のシワとくすみは、女のひとの心がけ次第でなんとでもなります!」
母の信条を、心底窮屈に感じたことがあります。
数年前、母が体調を崩し、急きょ入院手術を余儀なくされたとき、実家から離れて暮らすわたしに父は言いました。「帰ってきなさい」。一方、病室の母は頑としてそれを拒みます。「絶対に帰ってこなくてよろしい」。
聞けば病室で、シーツにシワがよるのをきらって、ひがな傍らのソファーに座り、見舞いの父がベッドに何かものを置くのも、口うるさくたしなめて過ごしたとか。
幸いその時は、しばらくして母の体調は回復し、以来今も元気に自説を唱えております。彼女の元気な自説の陰で、父とわたしは互いをねぎらいます。
「 ちょっとあーたたち、何をコソコソ言ってんの?ソファーもねきれいに座る!あとのことを考える!みんなの意識がなっくちゃあ おうちはきれいに保てませんよ!」
70歳も後半を迎えた両親と離れて暮らす日常の裏には、「そのとき わたしはどうするか」という問いが、常につきまといます。
ああ、家庭内タブー。こういうことこそ、シンプルにすっきりと、できれば笑って話しができることが、もしかしたら究極の「エレガンス」なのではないかしら…と思わないではありません。
あとのことを考える。美学のさじ加減と美学のロハス(?)を考える。わたしがつぶやくのはむしろ、「これでいいのだ」より、こっちだなぁ。もごもごもご。。。
実家からの電話に、かすかに怯えるわたしがいます。
「ちょっとあーた、3キロ落とせたの?お正月から」「ちょっとあーた、梅田のあのお靴、どう思う?」
はい。“ これ!” と思えるぴったりの靴を、どうぞ存分に探してちょうだい。
*********
さてさて、靴みがき。わたしこれ、苦手なのよねー。
かえるちゃん
ふふふ 素敵なお母様ですね
私はピリッとした年配のご婦人が大好きですよ
祖母がそうでした
亡くなるまでは、その厳しさが苦手でしたが、こちらもすっかりいい年になり、その姿勢を貫けるエネルギーは本当に大切だなぁと思うようになりました
で、私はというとゆるゆるなのですが、ゆるゆるながらもそれなりにぴっとしていたいなぁと思うようになり、最近はちょっと祖母に似てきたかもと思います
若者にマナーを注意しても、威厳をもってして逆ギレをゆるさないばあ様になりたいなぁ~
遠いなっ
爽子
すばらしいお母様で・・・・
でも、ちょっと自分が娘になったことを想像してみると、あとの言葉が続け辛いです。
まあ、ええか~~。ええやんな~~。と、何に対してもゆるゆるに向かっていく私とは対極です。
立派だわ~~。
でも体重管理は強要しないでくださいね。
もうええわ。。。から、随分幸福なんですから。笑
サヴァラン Post author
かえるちゃんさま
コメントありがとうございます。
おばあ様…そうですか。。。
エネルギー…そうなんですよねぇ。
わたしはどうやら、母のようなエネルギーは維持できなくて
劣等感というか罪悪感というか
煮え切らない感情をもやもやと抱えておりました。
最近になってやっと
母と今のわたしのあいだ
そこのところを目指したいと思うようになりました。
若者にマナー…そうですね。
多くを語らずとも範を示せるような
おばばさまになれたら 本望です!
サヴァラン Post author
爽子さま
コメントありがとうございます。
いや~も~正直言えばやっかいです。
せめて電車のときくらい
ちゃんと奥まで腰かけて!って言うんです。
周りの方に窮屈な思いをさせるでしょ!って。
ききませんけど。わたしの言うことはなおさら。
住まいが離れたことで 寂しい反面解放されました。
もし近くに居続けたら今頃パンクしていたと思います。
体重管理もですね、
今の方が乱高下がなくなって安定してます。
安定といっても高値安定ってことなんですけど^^
体重に限らず「もうええわ。。。」って
わたしは実際たいせつなことやと思ってます!
妥協が許せん母と
執着を手放したいわたし
やっぱりそのあいだんトコ
そこやんな~~とおかしなハナシですびばせん。