真剣に呼んだとき
うさぎが一人遊びをしているようすは
本当にかわいらしくていじらしい。
カーテンのすそをくぐって遊んでいたり
ラグの端などをしがしがしていたり
時にせわしくほりほりしたり。
何やら静かにしているな と探してみると
牧草ケースの裏側なんかで
ふたつの耳の先が見え隠れしています。
ほろり。
そんなとき
どこにいるの? と呼んでみるのですが
姿が一部でもこちらに見えるときは
あんまり反応がないのです。
「見えてるでしょうよ」と返事が聞こえてきそう。
ところが本当に姿が見えないときに
どこにいるの? と呼んだときは
ぴょこっと顔を出すのです。
カーテンの間から顔をぱっと出してきたときなんて
あまりのかわいさに そこにいたの、そこにいたの と
繰り返すばかりになりました。
まあ、あんまり嬉しくなさそうに
もぞもぞ出てくるときもありますが。
おっ 出てきたね! いいこちゃん ありがとね。
しかし、どうしてわかるんだろう。
見えてる時の声かけだってけしてふざけた口調ではないのに
真剣に呼んだ時は聞き分けて
間髪入れずリアクションがある。
真剣さを聞き分ける賢さと応える真面目さはうさぎにかなわないな。
しかしうさぎは生真面目なばかりではないのです。
遊びで追いかけっこをしたときに
さっと90度走る方向をかえて視界から消えたりします。
これはこっちも人間ですからだまされませんよ。
横の机の下なんかにいるのが丸見えでも
あれ?どこ?どこにいるの?
とふざけてみると
飛び出してきてぴょーんと垂直跳びをして
大喜びすることがありますよ。
用語解説
ほりほり 掘る動作のこと。本来はアナウサギは土を掘って植物の根っこを食べたり巣穴を作るのです。うちでは古いジーンズや服の裏地みたいなつるつるの布を忙しそうに掘っています。
垂直跳び Binkyともいうそうです。大変興が乗ったときのうさぎの全身を使った喜びの表現です。遊んでいてうまいこと気が合うと目の前で飛ぶこともあります。そんなとき大抵の下僕は嬉しくて鼻血を出しそうになります。