兎の意匠
うさぎの形をしたお菓子は食べられない、とか、うさぎの柄の真ん中を破って中身を出す包装はつらい とか 雪うさぎが溶けるのがイヤだ とか初めはそのようなことしか思っていませんでした。
でも、せっかくなのでと本棚に温存されていた「兎とかたちの日本文化」という本を手に取り、知ったことを少し書くことにします。
・まず兎の図柄は伝統的な型に基づいて書かれているものが多く、おおもとは中国や仏教の伝説に基づく「月に兎がいる」にある。
・兎が月や月光菩薩、月読神、産神などを暗喩している。
・連珠合璧集という連歌用語の室町時代の参考書があり、そこに兎の項目がある。
連珠合璧集はデジタル保存されたものがネット公開されていました。
「兎トアラバ 月 萩 雪野 筆の毛 馬 耳・・(ほかにも書いてありましたが草書を読めませんでした・・あららら)」
昔の日本画などで兎が空を仰ぎ見るようなポーズをとっているのは、絵の枠外の空に浮かぶ月をも示しているのだそうで、ただのキメポーズではありませんでした。なにかと秋草と一緒に描かれていたりするのも 兎とあらばこれでしょう の連想に基づいていたのですね。
・お菓子などで兎が伏せたポーズなのは神饌の名残であるらしい。
多産(2年で200匹になったというニュースもありました)な兎は繁栄や豊かさに結びつく力を表すものなのです。先に書いたように神性もあります。繁栄や再生を表すのは洋の東西を問いません。
お菓子に関しては丸く成形して赤いお目々をかけばかわいくデザインできる便利さもあったと思います・・これは私見です。
印象的だったのは、波に兎の図柄、いわゆる波兎が「月 海上に浮かんでは、兎も波を走るか、面白き浦の景色や・・」という謡曲竹生島に由来するらしいこと。ここでの海とは琵琶湖で春です。
波兎は単純に海(太平洋とかね)で白波が立っていることだと思っていましたがこんな穏やかな春の夜のシーンに由来するとは。
下僕にとっては、お月様はかつて生きて一緒にいたうさぎたちを連想させますので、月が湖面に映ってちらちらゆれているのを「兎も波を走る」というとは、なんと静かで開放的な表現、月に二次元的にしまわれているうさぎが三次元で走ったり跳ねたりしているかんじがします。手は届かないけれどBinkyっぽさがあります。
満月が湖面に映る景色を見る機会があればいいなあと思います。
最近の兎の意匠は何かを暗示する役割ではなくCawaii側面が強調されていますね。あらすてき、かわいい、と喜ぶのは浮気するみたいでうちのうさぎに済まないという複雑な気持ちになります。
「うさぎとかたちの日本文化」今橋理子著 東京大学出版会
内容ぎっしりでほんの一部しか理解できていない気がします。掲載されているたくさんの兎デザイン関連の写真を眺めて幸せになっています。本の帯に「かわいい」だけじゃ、ダメなんです。と書かれているのですが・・。
アメちゃん
ちまたまさん、こんにちわ。
うさぎの形のお菓子といえば
私は上用饅頭を思い出します。素朴でかわいいですよね。
あの焼きごてで付けた耳や、赤い目を見るたび
和菓子の職人が、チョンチョンって一つ一つつけてる姿が想像できて
ああ、楽しそうだなぁ〜、やってみたいなぁって思います。
ちまたま Post author
アメちゃんさんこんばんは!おまんじゅう丸くて愛おしい。うさぎが一生懸命おまんじゅうになっている感じがします。洋菓子などのすごいリアルなのは食べるのがつらいです~。