獣医さん2
駆け込んだ動物救急病院とその後の動物高度医療センターについて。
ちょっとくどくどと長く書きます。
結末はうさぎは黒うさぎと一緒に行ってしまったのだけれど、うさぎが道案内をしてくれていろいろな場所を知りました。そしてずいぶん感動しました。
5月のいい季候の頃でした。夜のへやんぽのときに少し元気がないかなと感じていました。明け方ケージから聞き慣れないバタンバタンという音が聞こえたので見に行くと、うさぎが身の置き所なく座ったり、伸びたり、体をよじったりしていました。
その様子は、痛い!痛い!と叫んでいるようでこのままだと痛みでショックになるかもしれないと怖くなりました。
動物病院があく時間まで待てないかも、そもそも今日の仕事を休めない。
夜間救急病院を調べて電話すると「今日は院長がいるのでうさぎも大丈夫ですからどうぞ」といわれました。この夜間救急病院は地域の獣医師の有志で始めた病院で夜間診療のみで専属の先生がいます。救急処置が終われば昼間にかかりつけの先生にかかってくださいという立場です。
あたふたと受診すると先生も看護師も眠そうなそぶりもなく、てきぱき診察が始まりました。ただ、うさぎを診察台に乗せるときに先生も私も異口同音に「おや?」といいました。全身の力が無いように感じたからです。
レントゲンはそれほどひどい所見ではないようでしたがこのときの違和感がとても気になり、このまま黙って帰ったらうさぎに申し訳ない、でもうるさい危険下僕と思われたくないと迷ったあげく「いつもの痛がり方と全く違うんです」と言いました。仕事を休めずまた救急病院に来るかも知れないことも伝えました。先生は明日も私が当番ですからどうぞと言ってくれ、うさぎは強めの痛み止めと水分補給の輸液をしてもらい楽になったようでした。そしてやはり夜も受診しました。
明け方の時はさすがにほかの患者さんはいませんでしたが、夜は大混雑でした。昼間の病院と違い、どの動物もとても具合が悪そうです。会社から帰ってすぐ連れてきたのか毛布にくるんだ犬を抱いているスーツ姿の人や半泣きになっている家族もいます。
それほど大きな病院ではないので二つある診察室の会話がよく聞こえてきます。いつから調子が悪いのか、何を食べたか、水はどのくらい飲んだか、日頃の薬は何かなど次々聞かれることにどの飼い主もすらすらと答えています。すごいぞ、自分に同じことを聞かれてここまで把握して整然と答えられる人はあまりいないぞ、と感心します。処置がうまくいったことやそうでなくても夜間に診てもらったことにお礼を言う飼い主が多いのも印象的です。
紹介されて、できたばかりの動物医療センターというところも受診しました。ここでは超音波検査や造影剤を使ったCTスキャンなど人間と同じ検査をしています。造影検査をするときに暴れてしまう場合は鎮静しますがそれにも命の危険が伴いますといわれ、鎮静するなら造影はやめてくださいとお願いしましたが、うさぎは頑張ってくれて鎮静なしですんなり検査ができたようでした。うちのうさぎは本当にいい子です。
しかし、こんな検査がうさぎにできるとは心底驚きました。検査自体はそりゃああるだろうけれど、研究機関など限定的なのだろうと思っていました。驚きが私の顔に出ていたのか、担当医は「超音波はうちのペット(エキゾ)で練習したりしてます」となごませてくれました。
ともあれ、検査をしたおかげで病状がわかり、このできたてのピカピカの病院で手術もうけることにもなりました。
今も動物救急病院の前を通ると、薄むらさきの明け方のがらんとした4車線道路を思い出します。うさぎの心配をしながらも、病院にかかるってこれが原点だよなあとしみじみ考えたことも。
うさぎ一匹に大人が(下僕も入れて)3人であれこれ相談をする図も人間のいいところが出ていると思ったし、迷ったけど心配事をしっかり相談でき、先生もうるさがらずにきちんと応対してくれた(これは高度医療センターでも、です)ことも支えになりました。
「今回のこと、私、心が洗われるようだったよ」というと、夫も「実は俺もそう思った」と言いました。
かわいいちゃんがいるとこんな気持ちにもなれるのです。
さて、診察料金はそれなりに高額でした。でも想像したほどではありませんでした。なんと言ってもどの病院でも多くの人間が熱心に対応してくれたのですから。(人間だって自費だったらもっとかかるもんね)。